実践的に考える職場と労働法

労働契約法・派遣法の18年問題

 今回は、いわゆる「2018年問題」について整理したいと思います。無期転換ルールとは、12年改定の労働契約法により「有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、有期契約労働者の申し込みにより期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換される」というものです。
 図のように13年4月1日以降の労働契約が対象となり、契約期間が1年の場合、その5年後の18年4月から無期転換申込権を持つ労働者が存在することになります。
 もっとも全員が18年4月から無期転換申込権が発生するわけではなく、例えば3年契約の場合はすでに16年4月で発生した人もいます(図)


 労働契約法18条によれば、無期転換申込権が発生した労働者から無期転換の申し込みがあった場合、使用者は申し込みを承諾したものと強制的にみなされて拒否できません。つまり申し込んだ時点で無期労働契約が成立します

2017年問題

 「18年問題」としてテレビや新聞で取り上げられていますが、実際には、企業側が「2017年中に契約更新をやめてしまおう」と雇い止めする17年から18年3月が大きな焦点となります。
 もう一つの18年問題が労働者派遣法です。派遣法が15年に改悪され、派遣会社と有期雇用契約を結ぶ派遣労働者は、同じ職場で働けるのは3年となりました。これは15年10月1日から適用され、18年9月30日が3年(抵触日)となります。
 他方、派遣法改悪で、「無期雇用派遣労働者」として派遣会社と雇用契約を結べば、3年ルールが適用されず無期派遣が可能となりました。
 大手派遣会社も軒並み導入しています。とはいえ無期雇用の場合、派遣契約が解除となって次の派遣先が決まるまでの間も派遣会社は賃金を支払わなければならず、「優秀なスタッフを囲い込むだけの制度だ」と批判されています。
 派遣労働者については話が少し複雑で、上記のように派遣受入期間の3年ルールによって派遣切りが行われる可能性がある上に、派遣法改悪前までは期間の定めのなかった26業種の派遣労働者で15年10月1日以前から継続して5年以上の雇用契約がある場合は、18年4月1日に労働契約法の5年ルールの問題が生じるので、派遣先・派遣元の双方から派遣切り・雇い止めがなされる可能性があります。
 いずれにせよ、2018年4月を前にして、無期雇用転換や派遣法の抵触日による無期雇用や直接雇用を拒んで契約を打ち切る企業が一斉に出てくる可能性が「18年問題」「17年問題」です。

限定正社員化

 法律では無期雇用転換は、契約期間のみが無期なだけで、それ以外は従前と同一の労働条件です。つまりパートや契約社員の労働条件のまま雇用期間だけ無期にするものです。政府の狙いは「限定正社員」化です。この場合、「無期」といっても従来の正社員とは違います。地域限定・職務限定であり、店舗や工場が閉鎖になったり、その業務が縮小・廃止になれば解雇できるというものです。
 結局、近年の深刻な人手不足を解消し、なおかつ低賃金のままで、しかもいつでも解雇できる〝雇用〟を創出しようとしているのです。ユニクロやスターバックスなどがこの方向でパートや契約社員の限定正社員化を進めています。
 他方で、早稲田大学や東北大学など、5年ルールの適用を免れようと5年以内の更新回数制限や雇い止めが大きな焦点になっています。
 JR東日本の子会社であるJR千葉鉄道サービス(CTS)も、契約・パートについては最長5年で雇い止めとし、選別した労働者のみを無期転換するという脱法制度の就業規則化を強行しました。これについては動労千葉の闘いによって、希望者が「65歳まで働きたい」と表明すれば全員を無期転換すると団体交渉で明言させました。

労働局の指導も

 無期転換を逃れようとして有期雇用労働者に3月末での雇い止めを通告していた一般財団法人消防試験研究センターに対し、東京労働局が是正指導し、争議は雇い止め撤回で和解したことがニュースになりました。東京労働局の指導は大きなインパクトを与えているようです。
 5月6日付の東京新聞には非正規労働者の85%が無期転換ルールを知らないと報じていました。おそらく18年4月を前に年末から来年3月にかけて焦点となることが予想されます。安倍政権の進める労働法制と雇用破壊、さらには個々の企業の雇い止めに対して、労働組合としてあらゆる戦術を駆使し、抵抗し、反撃し、闘いをつくっていく必要があります。組合員のみなさんの意見と議論をお願いしたいと思います。

ちば合同労組ニュース 第83号 2017年6月1日発行より