改憲・労働法制をめぐる連合の混乱と流動化

労働運動の変革は最前線の課題

 連合の神津会長が7月13日に安倍首相と会談し、連合は「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ法案)の容認に転じました。
 今回の件は、逢見事務局長(UAゼンセン)が主導し、3月末から水面下で交渉を進めていたと報じられています。残業時間上限規制100時間を決めたときも同じ構図でした。逢見が2年前に事務局長に就任し、派遣法改悪などでもずっと同じ手口でした。次期会長は逢見で最終調整が進んでいました。
 これに対して「逢見出てこい」の横断幕を掲げたデモ隊が連合本部を包囲し(写真)、後日の中央執行委員会でも反対と反発が噴出して、連合は残業代ゼロ反対を堅持、逢見は次期会長を断念しました。
 安倍首相の改憲政策の最重要の柱が連合=労働組合対策にあることは間違いありません。安倍首相と逢見が手を握って連合を自民党の別働隊にして改憲翼賛の運動を展開したのです。自民(公明)・維新・小池新党だけでは改憲投票は乗り切れません。
 さらに安倍政権は改憲レベルの問題として戦後労働法制(雇用と賃金)を破壊しようとしています。詳細しませんが、07年労働契約法の制定以来、①非正規のままで無期雇用とか②労働時間規制の撤廃、③金銭解雇制度など戦後的なあり方を根本から覆す労働分野の改憲です。

9条改憲と労働分野の改憲

 いま「人手不足なのに賃金が上がらない」が書籍や記事で話題になっています。
 安倍政権は「雇用者数が増加した。アベノミクスの成果だ」と言っていますが、その実態は65歳以上と中高齢の女性の非正規労働者が増えているだけです。わずかに賃金上昇傾向はありますが、それを上回る勢いで低賃金の非正規雇用が増えているため賃金平均が上がらないのです。
 人口減少問題は大変な問題で、簡単に言えば安倍政権は、正規雇用を徹底的に破壊しつつ限定社員などの非正規で高齢者や女性を総動員し、さらには労働時間規制も撤廃して極限的に〝生産性〟を向上しようということです。
 〝1億総活躍〟〝女性が輝く社会〟は、結婚・出産・育児・介護・病気……労働者の数十年の職業人生を前提にした年功賃金・終身雇用、社会保障制度などを最後的に解体し、若年者・女性・高齢者などをその都度、低賃金でいつでも解雇できる限定社員として動員していこうというもの。いわば「戦後標準モデル」の雇用を文字通り最後的にメチャクチャに破壊しようとしているのです。
 今回の件は、安倍の思い通りにはならないことを示しました。UAゼンセンだけで連合は制圧できない。週刊誌は連合内における製造業と非製造業の対立と書いてますが、その本質は、雇用の徹底破壊と改憲をめぐり、連合内で動揺と混乱、流動が始まったのです。
 地方組織では今回の件で怒りが噴出し、「改憲だけは絶対に止めなければならない」という声が出ています。いまこそ堡塁を守り抜いてきた組合・職場・活動家の点を線につなげ面にするときです。
 労働者の中に募る危機感を現実的な展望のある運動へ転化させよう。労働者が団結して闘うことに信頼を寄せてくれる運動を始めよう。


労働学校へご参加を

テーマ 資本主義とはどういう社会か
日時 2017年8月19日(土)13時~ /講師 鎌倉孝夫(埼玉大学名誉教授)

ちば合同労組ニュース 第85号 2017年8月1日発行より