船橋市介護施設で結核の集団感染

保健行政の縮小と社会福祉の民営化が原因

 船橋市保健所が2月24日、市内の介護施設などで結核の集団感染があったことを発表した。昨年8月に90代の女性が肺結核と診断され、女性が利用していた介護施設の30代の男性職員の発病と別の職員6人の感染を確認。さらに女性が利用していた別の介護施設でも30代の男性職員の発病を確認したとのこと。
 最近、県内外の介護施設で結核感染が増えている。
 千葉県は全国2番目の伸び率で高齢者が増えており、高齢化率は25%を超え4人に1人が高齢者だ。高度経済成長期以降、千葉に居住して東京に通勤する〝船橋都民〟〝千葉都民〟と呼ばれた「団塊世代」が60歳台後半を迎え、急速に高齢者人口が増加する。
 これに伴い特養や有料老人ホームの開設ラッシュが続く。しかし介護労働者の数が同じようには増えない。賃金その他の待遇は改善されないにもかかわらず施設間で職員の取り合いが生じている。現場では人手不足が深刻化しており、組合員が働く介護施設でも夜勤回数が数年前に比べると5割増しの状況だ。
 ハッキリ言って、夜勤や長時間・変則的労働で介護職員は疲弊し、食生活など生活リズムも乱れて免疫力も低下している。同様の理由で職場の安全衛生も後退している。こうした状況が介護施設での結核流行の背景にある。

保健所の削減

 近年の結核流行は、結核行政の後退も大きな要因だ。戦後、患者数は大きく減少したが根絶したわけではない。しかし結核に対する軽視は、一部の懸念の声を無視して対策予算や厚生施設、教育や研究の努力を後退させた。
 結果として90年代以降、集団感染の増加・重症化・高齢者・社会的弱者の発症増加が目立つようになったのだ。米国でも似た状況だ。
 94年に保健所法が改悪されて地域保健法となり、全国で多くの保健所が削減された。保健所は憲法25条(生存権)が国に義務づけた「公衆衛生の向上及び増進」を担う機関である。保健行政の改悪はもはや棄民政策そのものだ。
 介護行政も同じだ。〈生産を担わなくなった高齢者にどれだけの社会的資源を割けるのか〉という議論から始まり、新たな税の導入による負担増と市場化された介護産業に群がる資本、介護難民……
 安倍政権の「選択と集中」政策によって、大多数の地域社会で鉄道や学校、保健所や病院、あらゆる社会的インフラが後退と縮小を開始している。80年代の国鉄分割・民営化から始まった新自由主義政策が社会保障制度と地域を破壊してきたことに事態の本質がある。
 介護・教育・自治体・鉄道・医療……労働者が自らの職場で闘うことは社会の普遍的利害を体現すると自信を持っていえる時代が来ている。
 介護労働者の大幅賃上げと要員確保のための労働条件の大幅向上は、利用者と介護労働者を守るために絶対に必要な闘いだ。ちば合同労組も介護職場で①夜勤回数の制限、②必要な人員の確保、③大幅な賃上げ――を掲げた春闘を開始した。(A)

ちば合同労組ニュース 第80号 2017年3月1日発行より