連載・介護労働の現場から〈最新スペシャルレポート②〉

人手不足とは何か

▼人手不足の結果

 人手不足だと、介護職員は時間に追われ、すべてを効率優先、利用者の尊厳は二の次になる。
たとえば居室におむつ替えに入り、ドアを閉めない。うっかり忘れたのではなく、ドアを閉める心のゆとりがない。あるいは、臭いがこもらないように、わざと開けておく。
 これは、性的虐待になる不適切ケアである。さらに廊下にまで臭いが充満し、衛生面でも問題だ。これを他の職員が誰も注意しない。
 また、人手不足というのは、ありえない量の仕事を一人の職員に任せるということである。車椅子の利用者を食堂に移動するために、ベッドから車椅子に移乗し、エレベータ前に十数台ほどの車椅子の利用者を待たせておく。そしてエレベータで4台ずつ運ぶ。すべて一人でやるので、その間待っている利用者たちを見守っている職員は誰もいないのだ。
 夜勤の一人勤務、30人の利用者のバイタル測定の時間が15分。こんな不可能極まりないスケジュールをどうこなすか? 何日前かのバイタル記録の数字を適当にアレンジして15分で30人分記入する。これがオープン以来ずっと続いている。夜勤は1人なので、居室巡回などやったことにすることは日常茶飯事だ。
 身体介護については、障害や病気をもった高齢者に合わせた介助が必要だが、男子職員は声かけもせず、利用者の身体を持ち上げモノを放り投げるようにベッドや車いすに落とす。利用者の不安、痛み、屈辱は表情を見ればわかる。れっきとした身体的虐待だ。
 さらには食事介助は袋にゴミを詰め込むごとくのペース。その他、衣類やシーツ交換を行わない。整容をしない。利用者の髪のもつれ、目ヤニ、洟やよだれのこびりつき、強い口臭…。
 記録上はやったことになっていても、実際は行っていないことは一目瞭然だ。

▼人員配置が足りない

 介護保険法では、3対1の人員配置基準、70人の利用者なら常勤換算で24人の介護職員が必要だ。ところがシフト表では常勤換算で16人しかいない。施設長や事務員は含まない。しかし介護補助という洗濯、掃除、シーツ交換などの業務のパートが10人近くいる。
 数か月前、施設長は介護補助全員に、介護職不足を補うために、業務として排泄介助の一部をやってほしいと提案したが、全員が拒否すると、時給を下げたという。
 職員名簿と勤務実態が果たしてあっているのか? 介護補助も介護職として人員を割り増し、介護報酬や処遇改善金を不正受給しているのかもしれない。
 機械がモノを扱うのではなく、人が人のケアをするのが介護。人手不足は、ケアされる人の尊厳を壊し、そのことによって、ケア労働者は罪悪感から加害者に変質していく。これが介護の人手不足のつらい現実なのだ。(つづく)

ちば合同労組ニュース 第88号 2017年12月1日発行より