連載・介護労働の現場から〈働き方編15〉

労働組合という選択肢(2) よし、やってみよう

介護労働こそ労働組合

 これまで、介護現場への入職から仲間づくりまでの働き方を書いてきた。これまでの段階で、思っていることを言う→本音で行動する→小さな交渉を重ねる→信頼のおける仲間がかなりの数揃ってきた等の条件をクリアできていたなら、いつでも労働組合を結成することができるはずだ。
 介護労働者にこそ労働組合がふさわしいと思う。労働集約型の介護は、現業職の労働者がほとんどの業態を支えている。現業職がいなければ一日もまわらない。労働者が組合をつくるのは、鬼に金棒持たせたようなもの。
 それに、ほとんどヒラ社員で構成され、出世階段がある仕事ではない。待遇改善、賃金向上を望むなら、出世より組合活動というわけだ。

労組結成

 労働組合を結成するかどうかは、仲間でよく話し合うといいと思う。2人いれば結成できるが、時期と実力を見極めて慎重にやったほうがいい。すでに、利害が対立する経営側と議論できる体制になっており、経営側に影響力をもつ潜在的な力をもっている。
 その上で、これ以上労働条件の改善を労働組合ぬきでやるには無理で、結成メンバーだけでは限界となる時期。経営側と労働者側双方に存在感が高まっていれば、労働者が組合に入るハードルはぐっと低くなる。
 つぎに、労組は任意加入、自主的に団結して自主的に運営する。あたり前だが、幹部にゆだねて代わりにやってもらう組織ではない。新組合員全員に、どんどん役割を振ろう。苦労すると、団結力が強まる。
 組合の役割は闘うだけでない。ぬるま湯の社会福祉法人や新規参入の株式会社などは、現場についてアイデアも費用対効果の考えすらもない。こうやったら利用者が集まるとか、こんな条件ならいい人材がくるとか、労働組合ならそんな提案もできる。そういうアイデアの実現が可能になる労働組合は楽しい。

こんな職場は労組より告発

 労働環境が過酷すぎて新人がすぐ辞めるような現場は、労働者全体が無秩序崩壊状態になっていることが多い。監査や外部調査をウソで固め、虐待、身体拘束や感染症が蔓延していても、壊れた労働者はほとんど罪悪感もない。
 そんな職場の労組は、労働者のモラル欠如とも向き合うことになり、孤立する。労組より行政当局に違法を告発するのが先だ。今日、事業所への行政処分は日常茶飯事。その大半が労働者の告発によるもの。告発後に経営側の対応をみてから、労組結成で打開できるかどうか見極めたほうがいい。

労働組合の社会的役割

 介護の労働組合は、対経営者だけでなく、外に向かって介護労働者の業務や生活実態を発信する役割があると思う。どうしたら、働きがいのある仕事になるか? を提案し、主体的に「働く環境」を切り拓いていく。今は、ほとんどゼロと言っていいほど、現場の労働者からの声や提案が国の政策に届いていない。
 この国の介護を変えていくのは、介護労働者の働き方次第。自らの労働と向き合い、仲間とつながり、地域で専門家としてネットワークの一員となる。従来の要求型、抵抗型、イデオロギー依存型労働組合を超えた介護の職能共同体としての労組が必要な時期だと思う。(了)

【あとがき】

 長い連載でしたが、その一か所でも、「よし、やってみよう」という行動のヒントになれば幸いです。
 最後に、私の5年余りの介護職生活、関わった多くの介護労働者が高齢者を支えるために、悩み、葛藤しながら議論し、辞めないでともに行動してくれたことを忘れない。介護はいい仕事です。
(あらかん)

ちば合同労組ニュース 第87号 2017年10月1日発行より