また一人 退職 この現実を闘いに転化するには

組合活動

職場でまた一人 退職した

この現実を闘いに転化するには?

n0062_01_01a マイケル・ムーア監督の『シッコ』を観た。米国における医療制度と諸外国の「社会主義的な」医療制度とを対比し、米医療制度がいかに歪められているのかを描く。
ふと気付かされたのは、医療制度の充実した英仏の人間ではなく、米国人の視点で映画を観ている自分である。

薬局で「日用品、置いてないの?」と訊くシーンには苦笑した。日本もすでに営利目的の医療が忍び込んでいる。
介護もそうだ。介護保険制度で「介護の社会化」と言いながら、同時に「営利目的の介護」を生み出した。その毒がじわじわと社会を深淵に追い込んでいる。
映画で印象に残ったのは、ある人の発言だ。「戦時中は完全雇用が実現した。人を殺すためにできることが、人を
救うためにできないはずはない――」
職場ではまた一人職員が辞めた。人員不足で無理なシフトを組まれ、睡眠障害になって仕事に穴をあけ、自主退職
に追い込まれた。

職場はますます人員不足になり、まともにシフトを組めない。残業込みが当たり前、充分な休息を確保できずに次の勤務。さらには他部署の応援のために夜勤明けで働け、と言う。それを〝有志〟の体裁をとって利用者を人質に迫ってくるのだ。
決まって聞く言い訳は「募集しても人が来ない」。しかし、それは違法残業させてよい理由にはならない。人を減
らして経営はボロ儲けしている。

このままでは事業所閉鎖の危機だ。従業員全員解雇もあり得なくはない。その前にどうやったら増員させ、事業所を存続させ、仲間の雇用を守ることができるのか、現実的に闘いの方針を出さなければならない。

資本主義の論理がいかにデタラメであるか、私たちがいかに簡単に騙されているかを考えながら映画を見終えた。

ちば合同労組ニュース 第62号(2015年9月1日発行)より