介護労働の現場から〈02〉なぜ介護職?

介護労働の現場から〈02〉
2013年5月6日

なぜ介護職?

異業種から介護職を希望すると、面接で必ず志望動機を訊かれる。介護が専門職なのと、福祉に対する意識調査が目的かと思われる。しかし、応募する側は介護未経験でも、介護は過酷な労働で低賃金だということを承知でいる。他に仕事がなく、やりたくもないのに背に腹替えられず介護をやろうとする応募者に志望もモチベーションもない。あるのは覚悟だけである。
就活でわかったことは、施設介護は24時間体制なので、勤務は4交代、早勤(7時~16時)、日勤(9時~6時)、遅勤(11時~19時)、夜勤(17時~翌9時)が、曜日固定制ではなく、毎月変動するシフトが組まれる。パートでもダブルワークは不可能だ。

報酬は未経験の場合、千葉で月給手取り15万前後。パートは820円から950円止まり。採用時に健康診断が義務付けられていることも多く、最近は保健所でやってくれないので、総合病院で検査料と診断書で自費で2万円程度かかる。

私の場合、50代後半で前職のコールセンターを希望退職して、雇用保険受給にハローワークに行った。大混雑の職業相談窓口で、カウンセラーが「もう定年年齢だし、事務、接客、営業はきびしい。60過ぎるとぶっちゃけ3K職場くらいしか受かる可能性はないね。」という。ハローワークがこんなぶっちゃけトークをするなんて…。以下、私とぶっちゃけカウンセラー(BC)との対話。

私「3K? 汚い、きつい、危険ですか? 体力もちますか?」
BC「ちがうよ。管理人、警備、介護の3Kなら求人はかなりあるよ」
私「管理人、いいですね。人の世話するの嫌いじゃないし…」
BC「それが最近すごい競争率でね。電気の資格かなんかないと無理だね。介護どう?」
ということで、資格を取るために介護の職業訓練に応募したが、不合格。どうして?
BC「訓練校だって、就職で受かる可能性が高い若い人を採るからね」
自費で資格を取るには10万円近くかかる。でもその後、ラッキーなことに無料のヘルパー2級講習にくじ引きで受かり、講習を受けることにした。

講習中に、親戚が入居している老人施設に見舞いに行き、ヘルパーさんに「私、介護職にむいていますか?」と訊ねたら、「あってると思う。がんばってね」という返事、図に乗って、近所のデイサービスに応募したら即日に合格。資格取得後、フルタイムパートで就職した。

天職かもしれないと思った。身体が動く限り介護の仕事を続けようと思った。

(あらかん)
(ちば合同労組ニュース34号から)