介護労働の現場から〈07〉将来性のある職場

介護労働の現場から〈07〉
2013年11月7日
将来性のある職場

「辞めてやる」と思ったが、泣いてばかりいた利用者の赤城さんが最近いい顔で笑うようになったことや、ガンで余命3か月の井村さんがか細い命の灯を点しながら、私の料理だけは頑張って食べてくれることなどを思うと、辞める覚悟で、職場の労働環境を変えようと思った。就職して2か月足らずだが、わずか7名の職場、みんなでどうにかできるはずだ。
その頃、以前のコールセンターの同僚で、希望退職ののち介護職に就いた40~50代の2人から次々と連絡が入り、介護の仕事を辞めるというので、3人で集まって食事をした。1人は老人保健施設、もう1人は特別養護老人ホームで介護職についている。大きな施設は設備や人員も整っているだろうし、正社員なので労働条件、福利厚生もいいのではと思っていたが、どこも共通した問題があり、話は盛り上がった。

勤務は1か月単位の変動労働制の24時間4交代制。始業30分前までには出社しろと言われ、タイムカード打刻は一仕事した後、終業時も打刻をしてから毎日サービス残業をやる慣例。「誰もおかしいと思わないのよね」。
以前のコールセンターは、始業や終業時刻が来ると、通話途中でも一斉交代し、出入口のタイムカードの設置場所まで1分とかからなかった。「それが当たり前だと思っていたよね」。
そして、初めての給与明細をみたら、手取り14万円足らず…。「やってられないわぁ。この1か月、新人なので体調だけは壊さないように、寄り道しないで帰って、家では食べて寝るだけ。その対価がわずか14万円。家賃や光熱費引き落とされて、5万しか残らない。」と二人は口ぐちに言う。

「あはは…、だまされたわね。ハローワークに。ハロワは中高年の女は介護職に誘導するでしょ。私なんか、もう一度コールセンター希望してたのよ。それが、門前払いで紹介すらしてくれない。『コールセンターはいつ潰れるかわからない。介護は将来性があり、ずっと働けますよ』」。
「うそだ。私なんかもう腰痛で、整体に通ってるよ。なにが将来性、使い捨てじゃないの」
「入浴係になると、職員2人で浴室にこもって、午前20人、午後10人、パパッと服をひん剥いてずらっと並ばせて、ここはナチスの収容所か…。途中でわめいて抵抗する人にはシャワーぶっかけておしまい。こっちもTシャツに半パンでばっちり腰痛ベルトして、汗がどんどん出るからタオル鉢巻き。黙々と洗い、シャワーで流して、バスタオルをかけて着服係に渡す。」

「すごい効率主義よね。新人はとにかく動いていないと叱られる。ナースコールのPHS持たされて、廊下は走って、トイレ介助は5分以内。一斉のおむつ替えは1人1分。『いつまでかかってるの』と言われると、自分のトイレもがまんして、休憩時間が来てもだれも休憩室に行かない。」
まだまだ続きます。
(あらかん)
(ちば合同労組ニュース39号から)