介護労働の現場から〈09〉労働時間を守ろう

介護労働の現場から〈09〉
2014年1月5日
労働時間を守ろう

私が介護の仕事を続けるためにはまず労働時間、契約書に書いてあるとおりに働く。当然でしょ。
日勤勤務は〈朝9時~18時まで、昼休みは1時間〉という契約書の労働時間を守るためには①仕事は勤務時間内にする②昼休みには職場を離れる。それだけのことだ。
施設の責任者は、「定時に帰らないと残業代は出ないよ」と言っているので「仕事残っていますが帰ります」と帰ればいい。労働時間を守るのを拒むのは、介護業界の労働慣行がしみ込んだ先輩たち。新人は仕事が遅く、半人前だから、決められた仕事が終わるまで残ってタダ働きをするのが当然という考え方なのだ。それにパートの私が仕事を残せば、社員 である先輩のサービス残業が増える。
帰ろうとすると、「あらかんさんは帰る時間にはシビアだね」と無愛想な声で先輩が言う。「時給制だからね。お疲れ様でした」とさっさと職場を離れる。本当は、正社員もさっさと帰ろうよと言いたい。人を増やさず、残業代も払わず、タダ働きさせて儲けているのに加担してどうするの? 先輩、あんたも労働者なんだよ。「定時で帰ると仕事がまわっていかない」という先輩の口癖もお人好しにもほどがある。それを考えるのは責任者の仕事でしょうが。
そこで、同じ時期に入職した2人に「勤務時間守ろうよ」と呼びかけると、「まず、あらかんさんやってよ」と言うので、早速次の朝からやることにした。
夜勤からの申し送り(報告)が9時からで、そ れまでに出勤して記録(利用者に関する日報)を読めと言われていたが、読まないで申し送りに出席すると、先輩が「記録読んでないの?」
「後で読みます。それより夜勤は9時までなので、申し送りの時間は夜勤はいつも残業ですよね」
「それじゃ日勤は早く来る?」
「いやですよ。夜勤は9時15分まで勤務にして、その分、前日に15分遅く出勤するようにしたらどうですか?」
夕方5時からの夜勤勤務は、日勤退勤の6時まで1時間勤務時間が重なる。夜勤は5時15分出勤、5時45分から日勤→夜勤の申し送りをやって、日勤は6時退勤ということになった。
申し送りは勤務の最後のしめくくり仕事だから、サービス残業はあっさりとなくなった。今までは退勤時間の6時から残務仕事をや り、それが一通り終わってから、夜勤への申し送りをしていた。
休憩時間も、もう1人いれば1人ずつ休憩に入れるので、昼休みの時間帯は、責任者が入ることとなった。
この決定の過程でわかったことは、本当は誰もサービス残業やりたくないこと、交渉するには抗議するという下から目線ではなく、法に依りヘゲモニーを握るという上から目線で臨むということ。
しかし、人間相手の仕事なので、労働時間を守れない場合もある。しかし、労働時間を優先するという共通認識があれば、助け合ってどうにかなるものだ。(あらかん)
(ちば合同労組ニュース41号から)