戦略特区を使った医療民営化 成田・国際医療福祉大学の正体

医療・介護

成田市 戦略特区を使った医療の民営化

国際医療福祉大学の正体

 森友、加計に続く、「第3の忖度(そんたく)」と言われる安倍政権の誘致疑惑大学が千葉県にある。今年4月に成田市に開学した国際医療福祉大学(国福大)だ。

戦略特区を利用

 大学における医学部新設は1979年以来認められていない。だが安倍政権は、国家戦略特区で「規制緩和」に動く。これに対し日本医師会などが新設反対の声明などを発表。〈医師の人材養成には特区はなじまない〉という獣医学部と同様の理由だ。
 国は国家戦略特区で「新設するとしても1校」「際だった特徴を有する医学部」と条件をつけて医学部新設方針を決定した 。15年11月には、国は成田市に医学部新設を決定。このプロセスは加計学園と同じ手法がとられた。

市・大学が連名

 加計学園のケースと違うのは、今治市が公募で加計学園を選んだのに対して、成田市は最初から国福大と連名で特区申請した点にある。公募さえない異例の事態。国福大の担当者と成田市の小泉一成市長との会食は応募前までに12回、綿密な打ち合わせがあった。成田市は国福大ありきで、他の私立大学が入り込む余地はなかったのである。

130億の税金が

 市は事業決定のかなり前に京成線公津の杜駅の近くの広大な土地を23億円で購入。成田市は国福大の用地購入費や建設費として約130億円の税金を投じている。このプロセスや資金額を見ても最初から「国福大ありき」なのだ。
 加計学園は土地無償譲渡に36億円、建設費に96億円の公的資金が使われたが、成田市の例は、全国的に見ても市単独の補助金としてはダントツの金額だ。この大盤振る舞いの成田市の潤沢な資金源は、成田国際空港株式会社の固定資産税なしにはありえない。農民から土地を奪って作られた空港会社の腐敗の極地がここにある。

医療の新自由主義

 公的資金をあてにする手法はこれにとどまらない。国福大の医学部や病院の運営費用は約500億円と言われる。この資金調達のために、大学理事長は、病院の所有権を大学から分離することに固執した。国福大は特区の特例としての株式会社方式を企んだのである。
 さすがに自治体が営利企業に土地を無償提供できないということで頓挫し、代わりに「社団法人・成田国際医療都市機構」がつくられた。この社団法人が成田市から出資を受け、独自に資金を集めて病院を建設し、国際医療福祉大学はそれを借り入れる方式をとった。
 この手法により、病院の賃料やコンビニや調剤薬局のテナント料など、医療外収入を得られると言う。徹底した金儲け、徹底した民営化こそが国家戦略特区の特徴だ。経営を別会社化し、医療そのものを金儲けの道具にする安倍の「成長戦略」の目指すコースと合致している。

地元から反撃を

 なぜマスコミは報道しないのか? それは、国福大が厚労省や文科省の官僚、マスコ ミOBの天下り先となっているからだ。しかし、この腐敗の事実は加計グループの千葉科学技術大学(銚子市)と共に早晩暴露されるだろう。地元では住民訴訟も始まっている。千葉県から安倍政権へ闘いを起こそう!
 (組合員K)
ちば合同労組ニュース 第85号 2017年8月1日発行より