明日へ

労働映画

映画紹介 『明日へ』

 ようやくDVDを購入して観ました。
「お客様は神様! 会社の繁栄は従業員の繁栄!」をスローガンに業績を伸ばしてきた大手スーパー。意地の悪い客のクレームや上司のイヤミにがまんし懸命に働く労働者たち。
そんなある日、業務をすべて外部委託することが発表され、従業員全員に一方的な解雇通知が出される。
主人公ソニは、夫は出稼ぎ中で高校生の息子と幼い娘を育てるために必死に働いている。ソニは5年間、無欠勤でサービス残業にも耐えて(同僚から後ろ指をさされるほど)、正社員への昇格が決まったばかり。しかし正社員の話は無慈悲に踏みにじられる。
そんな彼女が組合の交渉員に任命され、葛藤の中でリーダーとして成長し、最も団結を信じて最後まで闘い抜く――。実話をモデルにした映画である。
韓国では、期間の定めのある労働者を2年以上雇用すれば、雇用主は「期間の定めのない労働契約」を結んだとみなす「非正規職保護法」が2007年に制定された。
この法律を快く思わない大財閥イーランドが傘下のスーパー「ホームエバー」で法律の施行直前に女性従業員を大量解雇したのだ。かくして510日間に及ぶ闘いが始まった。
その後、日本にも同じ内容の法律ができた。2012年に制定された労働契約法18条。日本版では18年が焦点となる。この映画は娯楽としてみるには重いテーマを突き付ける。
サイドストーリーでソニの息子をめぐる話は映画として良い。宣伝文に映画『建築学概論』スタッフ製作とあったが、なるほど韓国映画っぽいと感じた。

ちば合同労組ニュース 第69号(2016年4月1日発行)より