仲間たち

労働映画

映画紹介『仲間たち』

 浜田光夫、松原智恵子、舟木一夫らが出演。1964年の日活映画、東京五輪の年である。舞台は川崎の工場街。浜田が演じるのはトラック運転手、特に将来の夢もないが頑張り屋だ。ある日、乗合バスの通る道で浜田のトラックが故障し、バスも立ち往生、車掌役の松原と言いあいに。
当時はバスにも車掌が乗っていたのだ。車体には「臨港バス」と書いてある。んっ? 川崎の臨港バス? そう、昨年12月に36年ぶりのスト決行で世間から支持を集めた川崎鶴見臨港バスなのである。お宝な映画を発掘した感じです。
映画は、東北から出てきた前向きな若者が恋人もでき独立しようと頑張るも事故を起こし夢が絶たれる、でも仲間や恋人の助けで立ち直る話。タイトルが『仲間たち』である。
松原の兄と結婚の約束をした同僚が妊娠して車掌の仕事を続けられない。兄の会社は争議中で結婚資金が準備できないのだ。そこで車掌仲間で会社に掛け合い事務の仕事に就くことに。浜田は、交通事故で手をケガし運転ができなくなり、会社から解雇を通告される。しかし、仲間が掛け合って、治るまで整備の仕事をすることに。
仲間に何か起きると、みんなで集まって議論し、大勢で社長や会社に掛け合うシーンが何度も出てくる。そういうのが映画になる時代もあったのだ。
2人がデートでライブや落語に行く。スパイダースや林家三平が出てくる。工業地帯のフレアスタック(煙突の炎)が象徴的に映る。臨港バスや営業所もおそらく本物を撮影。当時の川崎駅前や映画街も出てくる。レア映像が多い映画だ。

ちば合同労組ニュース 第79号 2017年2月1日発行より