改憲・労働法めぐる連合の混乱と流動化/労働運動変革は最前線の課題

改憲・労働法制をめぐる連合の混乱と流動化

労働運動の変革は最前線の課題

 連合の神津会長が7月13日に安倍首相と会談し、連合は「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ法案)の容認に転じました。
 今回の件は、逢見事務局長(UAゼンセン)が主導し、3月末から水面下で交渉を進めていたと報じられています。残業時間上限規制100時間を決めたときも同じ構図でした。逢見が2年前に事務局長に就任し、派遣法改悪などでもずっと同じ手口でした。次期会長は逢見で最終調整が進んでいました。
 これに対して「逢見出てこい」の横断幕を掲げたデモ隊が連合本部を包囲し(写真)、後日の中央執行委員会でも反対と反発が噴出して、連合は残業代ゼロ反対を堅持、逢見は次期会長を断念しました。
 安倍首相の改憲政策の最重要の柱が連合=労働組合対策にあることは間違いありません。安倍首相と逢見が手を握って連合を自民党の別働隊にして改憲翼賛の運動を展開したのです。自民(公明)・維新・小池新党だけでは改憲投票は乗り切れません。
 さらに安倍政権は改憲レベルの問題として戦後労働法制(雇用と賃金)を破壊しようとしています。詳細しませんが、07年労働契約法の制定以来、①非正規のままで無期雇用とか②労働時間規制の撤廃、③金銭解雇制度など戦後的なあり方を根本から覆す労働分野の改憲です。

9条改憲と労働分野の改憲

 いま「人手不足なのに賃金が上がらない」が書籍や記事で話題になっています。
 安倍政権は「雇用者数が増加した。アベノミクスの成果だ」と言っていますが、その実態は65歳以上と中高齢の女性の非正規労働者が増えているだけです。わずかに賃金上昇傾向はありますが、それを上回る勢いで低賃金の非正規雇用が増えているため賃金平均が上がらないのです。
 人口減少問題は大変な問題で、簡単に言えば安倍政権は、正規雇用を徹底的に破壊しつつ限定社員などの非正規で高齢者や女性を総動員し、さらには労働時間規制も撤廃して極限的に〝生産性〟を向上しようということです。
 〝1億総活躍〟〝女性が輝く社会〟は、結婚・出産・育児・介護・病気……労働者の数十年の職業人生を前提にした年功賃金・終身雇用、社会保障制度などを最後的に解体し、若年者・女性・高齢者などをその都度、低賃金でいつでも解雇できる限定社員として動員していこうというもの。いわば「戦後標準モデル」の雇用を文字通り最後的にメチャクチャに破壊しようとしているのです。
 今回の件は、安倍の思い通りにはならないことを示しました。UAゼンセンだけで連合は制圧できない。週刊誌は連合内における製造業と非製造業の対立と書いてますが、その本質は、雇用の徹底破壊と改憲をめぐり、連合内で動揺と混乱、流動が始まったのです。
 地方組織では今回の件で怒りが噴出し、「改憲だけは絶対に止めなければならない」という声が出ています。いまこそ堡塁を守り抜いてきた組合・職場・活動家の点を線につなげ面にするときです。
 労働者の中に募る危機感を現実的な展望のある運動へ転化させよう。労働者が団結して闘うことに信頼を寄せてくれる運動を始めよう。


労働学校へご参加を

テーマ 資本主義とはどういう社会か
日時 2017年8月19日(土)13時~ /講師 鎌倉孝夫(埼玉大学名誉教授)

ちば合同労組ニュース 第85号 2017年8月1日発行より

実践的に考える職場と労働法/育児・介護休業法

実践的に考える職場と労働法

所定労働時間の短縮、残業・深夜業の制限も

育児・介護休業法

 育児・介護休業法は、1育児休業、介護休業の制度、2子の看護休暇、介護休暇の制度、3子の養育や家族の介護を容易にするための残業や深夜業の制限、所定労働時間の短縮などの措置――などを定めています。
 頻繁に制度が変わるので注意が必要です。制度・法律の基本的な知識を知り、有効に活用すれば闘いの大きな武器になると思います。

育児休業制度

 1歳に満たない子を養育する労働者は、開始予定日の前日までに事業主に申し出ることにより育児休業をすることができます。両親ともに育児休業をする場合は、最大で子が1歳2か月まで育休が取得できます。保育所に入れなかったなどの事情があれば1歳6か月まで可能です。
 育休中の賃金支払い義務は規程されていませんが、雇用保険から育児休業給付金が出ます。育休開始前の2年のうち1年以上、雇用保険に加入している労働者が対象です。
 給付額は、一時金などを除く賃金の約3分の2(67%)が支給されます(平均賃金日額×休業日数×67%)。育休開始から半年経過後は50%になります。休業制度と同様に給付金も最大で1歳6か月まで支給されます。
 育休中の健康保険や厚生年金の保険料は免除されます。

介護休業制度

 要介護の状態にある家族を介護する労働者も、2週間前までに事業主に申し出れば育休と同じように介護休業を取ることができます。
 介護休業は、同一家族について3回まで計93日間まで取得できます。介護休業給付金も育休給付金とほぼ同じで最大93日まで支給されます。
 育児・介護休業は、日々雇用労働者は適用除外となっていますが、それ以外はパートや契約社員、派遣社員も取得できます。
 要介護状態とは、病気やけが、高齢などで2週間以上の介護が必要な場合を指します。介護保険法の要介護認定ではありません。対象となる家族は、事実婚を含む配偶者・実父母・配偶者の父母・子、同居かつ扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫です。親以外でもOKです。

子の看護休暇

 小学校に入る前までの子を養育する労働者は、1年間に5労働日まで、けがや病気の子の世話や通院のための休暇を取得できます。半日単位で使うことも法律に規程されています。子が2人以上の場合は10日まで取得できます。
 病気は風邪などの短期で治る病気でも、小児ぜんそくなどの慢性疾患でも特に制限はありません。予防接種などもOKです。
 厚労省の通達では、書面の提出に限定されておらず当日、電話で口頭で申し出ることも可能としています。年次有給休暇と違い、使用者は時季変更もできません。有給・無給の賃金の扱いは法律で規定していません。

介護休暇

 要介護状態にある家族の介護を行う労働者は、1年に5日(2人以上の場合10日)まで介護休暇を取ることができます。こちらも半日単位の利用も可能です。対象家族は、介護休業と同じです。食事介助などの生活介護だけでなく、必要な買い物や書類の手続きでも利用が可能です。

残業の制限

 3歳までの子を養育する労働者、要介護状態の家族を介護する労働者が請求した場合、事業主は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはなりません(育児・介護休業法の規程)。
 また小学校に行く前までの子を養育する、あるいは家族を介護する労働者が請求した場合、事業主は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、残業は、1月に24時間まで、年に150時間までに制限されます。

深夜業の制限

 小学校前の子の養育、家族介護の労働者が請求したときは、上記と同様に、事業主は午後10時から午前5時までの深夜時間帯に労働させてはなりません。

所定労働時間の短縮

 育児休業をしないで3歳前の子を養育する労働者が申し出たら、所定労働時間を短縮し、労働者が働きながら育児を容易にする措置(育児のための所定労働時間の短縮措置)を講じなければなりません。

家族を介護する労働者に関する措置

 介護休業をしていない労働者からの申し出により、所定労働時間の短縮その他、労働者が就業しつつ家族を介護することを容易にするための措置を講じなければなりません。

 ※

 上記の規程は、それまでの雇用期間が1年未満や、週2日以下勤務の労働者は除外などの規程もありますので、注意して下さい。厚生労働省が出している「育児・介護休業法のあらまし」という分厚いパンレットはそれなりに参考になります。

ちば合同労組ニュース 第85号 2017年8月1日発行より

連載・介護労働の現場から〈働き方編13〉/仲間づくり(3)フットワーク

連載・介護労働の現場から〈働き方編13〉

仲間づくり(3)フットワーク

▲茹でガエル

 国から事業所に払われる介護報酬はどんどん削られて、経営側は経費のコストを下げている。
 いきなり人員を解雇したりはないが、離職した人員の補充をしないとか、パートの増員で補う。ボーナスや手当減給、業務体制の見直し。光熱費、物品などの経費削減…。
 労働者がモチベーションを下げないように、少しずつコストをカットしている。いわゆる茹でガエルの法則で労働者は少しずつ労働強化やブラック化に慣れてしまう。カエルじゃあるまいし、そのたびに労働者は漠然と気づいているが、その不満は声にならない。
 でも、もう労働者はかなり茹で上がっているのだ。これ以上、どんな小さな労働強化にも黙っていてはいけない。

▲軽いフットワーク

 業務の小さな見直し、ちょっとした労働強化や定期以外の異動が、伝わってきたとしよう。黙って受け入れる前に「どうしてそれを行うのか?」「それで、どのようなメリットがあるのか?」「そのメリットは労働者の利益より優先するものか?」を経営側や担当者に聞いてみよう。
 人手不足だからと労働者側がなんでも受け入れてしまえば、納得したことにされてしまうのは自明の理。労働者サイドで考えても理解できないことは、どんなに小さなことでもすぐに訊きにいく。
 一日でも早く、一人でも二人でもいい。そして、上司との小さな交渉は、すぐにメールやSNSなどで発信する。そのフットワークの軽さは必要だ。自分たちだけで事実確認してる間に仲間が茹で上がって死んじゃったら取返しがつかない。また、決定事項でなく、誤報や噂だけの時もある。
 柔軟な行動力は、労働者本位の交渉力につながるだけでなく、労働者が自分の労働について問題意識を持つきっかけになる。介護労働者の自己犠牲的体質を方向転換しなければ、労働環境は良くならない。

▲上司と対等に話す

 介護労働者は、仕事のことで、職場の誰と本音で話せるだろうか? 後輩、同僚、リーダー、主任、部長、施設長…。主任あたりまでは、ふだん接触があるのだから、気軽に本音を話せるようになりたい。
 求人広告などで「風通しのいい職場」とあっても、ウソだろというのが多い。風通しは、自分がドアを開けなければ、よくならない。勇気が必要なら勇気を持とう。嫌な情報もそれが逃避できない現実なのだ。悪く思われたくない、損をしたくないとネガティブに考えず、当たって砕けろと楽観的な突破力を身につける。
 上司とヒラの労働者は、役割が違うだけで、人間としては対等だ。対等なやりとりをすればいいと思う。命令だから従わなければならないのではなく、仕事としてどうなのかで判断することによって、働きやすくなる。他人より自分自身の承認を優先して働く。
 (あらかん)

ちば合同労組ニュース 第85号 2017年8月1日発行より

映画紹介『リフ・ラフ』/ケン・ローチ監督-1990年制作

映画紹介『リフ・ラフ』

 労働者階級を描くイギリス映画は何本も観たが、労働者の連帯感や暖かみを感じる、そんな思いを強くさせる映画だ。ケン・ローチ監督で1990年制作の映画。サッチャー政権時代の最後あたりのロンドンが舞台。
 主人公スティーヴは刑務所を出た後、建設現場の仕事に就く。そこでは雇用保険も払わない雇用主がムショ帰りや偽名などワケありの労働者を日雇いしている。現場責任者の口癖が「毎週木曜日は給料日。しょーもない奴はクビになる日だ」。
 映画は主人公が路上で寝袋で寝ているシーンから始まるのだが、新入りに住む所がないことを知ると、みんなで「空きビル」へ引っ越し作業。スクワットと言い、空きビルや空き家を占拠して住むことは欧州ではよくあるらしい。
 建設現場では、互いにからかったり、助け合ったり。かと思えば、賭博や、偽名のため賃金の小切手を換金できない労働者から手数料をぼったくろうとしてケンカになったり…
 ある日、スティーヴは現場で忘れ物のバッグを見つけ、歌手志望のスーザンと知り合う。彼女が歌う酒場のステージに仲間と出かけるが、ちょっとした「騒動」が起き、スーザンが『With A Little Help From My Friends』を歌う。「自分は歌うのが下手だけど、君のような友達がいればなんとかやっていける」という歌詞。かつてなくビートルズの曲がイカした感じに聞こえた。
 映画は、スーザンともハッピーエンドにならず、組合活動家ラリーの解雇や仲間の転落死と続く。主演は『トレインスポッティング』に出演したロバート・カーライル。彼の軽快な感じが映画を成り立たせる。最終シーンはトレスポのノリだ。

ちば合同労組ニュース 第85号 2017年8月1日発行より

戦略特区を使った医療民営化 成田・国際医療福祉大学の正体

成田市 戦略特区を使った医療の民営化

国際医療福祉大学の正体

 森友、加計に続く、「第3の忖度(そんたく)」と言われる安倍政権の誘致疑惑大学が千葉県にある。今年4月に成田市に開学した国際医療福祉大学(国福大)だ。

戦略特区を利用

 大学における医学部新設は1979年以来認められていない。だが安倍政権は、国家戦略特区で「規制緩和」に動く。これに対し日本医師会などが新設反対の声明などを発表。〈医師の人材養成には特区はなじまない〉という獣医学部と同様の理由だ。
 国は国家戦略特区で「新設するとしても1校」「際だった特徴を有する医学部」と条件をつけて医学部新設方針を決定した 。15年11月には、国は成田市に医学部新設を決定。このプロセスは加計学園と同じ手法がとられた。

市・大学が連名

 加計学園のケースと違うのは、今治市が公募で加計学園を選んだのに対して、成田市は最初から国福大と連名で特区申請した点にある。公募さえない異例の事態。国福大の担当者と成田市の小泉一成市長との会食は応募前までに12回、綿密な打ち合わせがあった。成田市は国福大ありきで、他の私立大学が入り込む余地はなかったのである。

130億の税金が

 市は事業決定のかなり前に京成線公津の杜駅の近くの広大な土地を23億円で購入。成田市は国福大の用地購入費や建設費として約130億円の税金を投じている。このプロセスや資金額を見ても最初から「国福大ありき」なのだ。
 加計学園は土地無償譲渡に36億円、建設費に96億円の公的資金が使われたが、成田市の例は、全国的に見ても市単独の補助金としてはダントツの金額だ。この大盤振る舞いの成田市の潤沢な資金源は、成田国際空港株式会社の固定資産税なしにはありえない。農民から土地を奪って作られた空港会社の腐敗の極地がここにある。

医療の新自由主義

 公的資金をあてにする手法はこれにとどまらない。国福大の医学部や病院の運営費用は約500億円と言われる。この資金調達のために、大学理事長は、病院の所有権を大学から分離することに固執した。国福大は特区の特例としての株式会社方式を企んだのである。
 さすがに自治体が営利企業に土地を無償提供できないということで頓挫し、代わりに「社団法人・成田国際医療都市機構」がつくられた。この社団法人が成田市から出資を受け、独自に資金を集めて病院を建設し、国際医療福祉大学はそれを借り入れる方式をとった。
 この手法により、病院の賃料やコンビニや調剤薬局のテナント料など、医療外収入を得られると言う。徹底した金儲け、徹底した民営化こそが国家戦略特区の特徴だ。経営を別会社化し、医療そのものを金儲けの道具にする安倍の「成長戦略」の目指すコースと合致している。

地元から反撃を

 なぜマスコミは報道しないのか? それは、国福大が厚労省や文科省の官僚、マスコ ミOBの天下り先となっているからだ。しかし、この腐敗の事実は加計グループの千葉科学技術大学(銚子市)と共に早晩暴露されるだろう。地元では住民訴訟も始まっている。千葉県から安倍政権へ闘いを起こそう!
 (組合員K)
ちば合同労組ニュース 第85号 2017年8月1日発行より

組合員から、編集後記

【組合員から】

 7月号2面「これで回答と言えるのか」の当該組合員です。唐突で申し訳ありませんでした。質問と回答がかみ合わないような状況が、立場の強さの差を背景として意図的に生み出されている、というのは各種報道でもよく見かけます。しかし労働組合は、まさに労使の立場の強さを調整することを目的として、存在や活動を認められているのです。
 私自身の事案はまだ世間的には軽微な部類かもしれませんが、労働組合は、「甚大な損害」や「法令上の不具合」が表面化する以前にも、大きな存在意義・活動理由があるのではないでしょうか。私としても、「まだ軽い」状況の人にこそ、労働組合加入や結成を呼びかけて行ければと思います。

【編集後記】

 ちば合同労組などの呼びかけで9月30日に改憲・労働法制改悪に反対する集会を準備しています。みんなが力を合わせて行動することに信頼感を持ち、一人ひとりが主体的に動くことができる改憲阻止の運動をつくりだしたいと思います。職場の仲間・同僚に声をかけて一緒に参加できる集会にするにはどうしたらよいのか。皆さんの意見やアイデアをお願いします。

ちば合同労組ニュース 第85号 2017年8月1日発行より

安倍首相改憲明言 〝改憲阻止〟を組合の課題に

臨時国会

安倍首相改憲明言 〝改憲阻止〟を組合の課題に

法定労働時間の適用除外&上限100時間

 安倍首相は6月24日、産経新聞社の講演会で「臨時国会が終わる前に衆参両院の憲法審査会に自民党の案を提出したい」と述べました。
 「自衛隊を憲法にしっかりと位置付け、『合憲か違憲か』という議論は終わりにしなければならない」「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」とも言っています。
 秋の臨時国会は、改憲と労働法制が焦点です。大げさな話ではなく重大情勢です。労働組合として外に打って出る取り組みが必要だと思います。また「働き方改革」関連法案といわゆる「残業代ゼロ」法案が一括法案として国会に提出されることが予想されます。労働法制改悪との闘いも待ったなしです。
 「残業代ゼロ法案」は、労働基準法改悪案としてすでに国会に提出されています。(1)労働時間規制を適用除外とする高度プロフェッショナル制度の創設と(2)企画業務型裁量労働制の営業職への適用拡大――2つの法案です。
 まず(2)の「企画業務型裁量労働制」とは、事業運営に関する「企画、立案、調査及び分析」業務については、一定時間を働いたとみなす裁量労働を認める制度です。
 その対象業務として新たに「課題解決型提案営業」を加えるというのです。その具体的内容と範囲は不明瞭で、法人向けの営業はほぼすべてが対象との分析も。過労自殺が起きた電通(広告代理店)では3分の1の社員が対象になるとも言われています。
 前者の(1)は「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)」。週40時間・1日8時間の法定労働時間規制を適用除外にして、労働時間ではなく「成果」を基準とした働き方にするというものです。つまり個人に課せられた「成果」を達成するまでが〝業務時間〟とみなされることになります。
 労働基準法関連では、ほかにフレックスタイム制の枠を1か月から3か月に拡大するなどの重要な動きもあります。

「働き方改革」関連法案

 これとは別に「働き方改革実現会議」などで議論されてきた、(3)「残業時間の上限100時間法案」やいわゆる(4)「同一労働同一賃金」の関連法案が臨時国会に出てきます。
 労基法36条に基づく36協定には〈1週間15時間、1月45時間、1年360時間〉という限度時間が設定されています。この「時間外労働の限度に関する基準」に基づき労働基準監督署は助言・指導を行う仕組みになっています。
 しかし、労使が合意すれば、弾力措置として限度時間基準を超えた時間数を設定できます(特別(エスケープ)条項)。この例外規定による青天井の36協定に対して労基署は行政指導はできますが、他の要件が整っていれば最終的に届出を受理します。協定が無効となることもありません。
 つまり事実上、労働基準法上の残業時間数には上限がないのが現状なのです。厚生労働省の調査では1か月の特別延長時間の内訳で最も多い時間帯は「70~80時間」でその比率は36・2%。過労死基準である「80~100時間」が16%、そして「100時間超」の会社が5・5%も存在します。その割合は、実は大企業ほど高いのが現状なのです。
  それを今度は上限規制で「100時間未満」にすると言うのです。当初、過労死認定基準80時間が攻防ラインと言われていましたが、朝日新聞6月4日付記事『働き方改革を問う』では、電通事件が転機となりつつも「連合の神津会長には〝100時間未満〟が苦し紛れの最後の手立てだった」という状況だったことが明らかにされています。
 この法案が成立すれば、現在の過労死の労災認定基準が80時間であるにもかかわらず、「100時間未満」が法律で明記されることになり、企業は「法律の範囲内」と主張できるようになります。
 今後の労災認定や労使協定・労働協約、雇用保険の認定基準(残業月45時間以上が連続3か月続けば正当な理由のある自己都合退職とされ、待機期間・給付制限なしで求職者給付が受給できる)などに、悪影響が及ぶことは間違いありません。
 そのほか「同一労働同一賃金」関連法案や、金銭解雇制度なども法案化されます。紙面が足りないので続きは次の機会に。
(書記長)

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労働学校へご参加を

 ちば合同労組では組合として労働学校に団体受講しています。組合員はぜひ参加して下さい。

 テーマ 労働法大改悪について
 日時 7月15日(土)13時~ 講師 片峯潤一(動労総連合書記)
 「労働者の闘争の本当の成果は直接の成功にあるのではなく、労働者の団結がますます深まっていくことにある」(共産党宣言)。階級的労働運動の勝利の展望を提起する。

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ちば合同労組ニュース 第84号 2017年7月1日発行より

共謀罪反対デモ/国鉄集会に1600人

共謀罪反対デモ

国鉄集会に1600人

 国鉄闘争全国運動や動労千葉の呼びかけで6月11日、東京・江戸川区総合文化センター大ホールで国鉄闘争の全国集会が開催され、1600人が集まりました。ちば合同労組も参加しました。国鉄分割・民営化30年を迎え撃ち、国鉄闘争を先頭に労働運動の変革と再生を展望する集会となりました。(写真 上)

 韓国から鉄道労組の代表2人も参加し、午前中には共謀罪反対銀座デモを行いました。(写真 下)

ちば合同労組ニュース 第84号 2017年7月1日発行より

これで回答と言えるのか?

これで回答と言えるのか?

質 問

AAがBBという事態だが、これについてどう考えるか?

回答(?)

パターン1:YYはZZである。
パターン2:質問者の勝手な意見に過ぎない。
パターン3:回答する必要を認めない。
パターン4:(完全無視で言及すらしない)

 いずれも質問に対する回答となっていませんね。

 私は製造業(以下A社)で研究開発の部署に在籍しており、「人事評価制度およびその運用における不適切事例」ということで会社側と交渉中なのですが、組合から出した「質問書」に対する会社側「回答書」にはこのような文面が多く並んでいます。
 新聞やTVでもよく見聞きするやり取りですが、A社も「例に漏れない」ということでしょうか。
 一方、A社では「コアバリュー」なるものが制定されており、社内外向けに宣伝されています。しかしながら、労使間のやり取りにおける会社側のこのような姿勢は、第三者から見て、次のように「コアバリュー」の精神にまったく反するものと受け取られても仕方ないのではないかと思います。

◆「既成事実・既存手法だから正しい」では、「問題認識」が不適切となるため「解決」も適切には行えず、従って「改善」が行われない、もしくは「改善」が見当違いのものとなり、「A社コアバリュー」の一つである「challenge」が適切に実践されているとは到底言えない状態である。

◆「多数派だから正しい」では、「A社コアバリュー」の一つである「diversity」に完全に逆行している。

◆「職位・立場が上だから正しい」では、「上」も「下」も思考停止状態となり、「法令・ルール順守」が形骸化し、組織ぐるみの暴走・不祥事の源泉となり、つまり「A社コアバリュー」の一つである「one team」が「社内外向けに整えた体面」とは異なった形で具現化した状態である。

 また、会社側団交出席者(弁護士を含む)が、「法令で明示的に禁止されていることでないならば行ってもかまわない」という脱法的な思想を持っている点も問題です。
 名実ともに「立派な会社である」と評されるに足る組織体制・制度運用の構築および確立に向けて、まずは個別事案である私の件について前向きな労使協議が行われることを目指していこうと思います。
 降格降給解雇などの「問題」に直面しているが声を上げられないでいるという人や、まだ問題が顕在化していない人も巻き込んで、皆で、冒頭に出したような不誠実な「回答」との闘い方を考えていきましょう。
 (投稿・組合員B)

ちば合同労組ニュース 第84号 2017年7月1日発行より

連載・介護労働の現場から〈働き方編12〉仲間づくり(2)

連載・介護労働の現場から〈働き方編12〉

仲間づくり(2)コミュニケーション

▼メンタル研修のムダ
 介護労働は、一日中歩き回っているといっても過言ではない。勤務中、他の職員と業務以外で口を利くヒマもない。シフト制で勤務時間が合わないので、帰りに飲み会なんてまずない。プライベートなことはほとんどわからない。
 そんな薄い関係でどうやって仲間づくりができるんだろう。仲間どころか労働に対する感想や不満を話す機会もなく、一人で労働のつらさやストレスを背負い込み、メンタル不調になっても無理して対人職をこなし、もう叫びたくなるような心の状態で勤務し、ついにバーンアウトで退職…が介護労働者の典型的な離職パターン。
 それに対し事業所は離職対策として、メンタル研修をやり、外部から来た講師が「規則正しい生活をしよう」「睡眠をとろう」「趣味を持とう」「合コン行ったら」と得意げにアドバイスする。
 ほんとムカつく。そんなこと到底できない働き方を強制してるのは経営側なのだ。こんなムダな研修に労働時間を奪われ、研修当日はサービス残業必至。参加者から搾取した残業代が講師のギャラに化ける。

▼ナンパする

 自分のメンタルは自分で守る。メンタル不調の原因となっている労働の問題は労働の改善でしか解決できない。一人ではできない。仲間が必要だ。コミュニケーションは自分で作る。会う機会を必死で見つけ労働の問題を話すのだ。
 仕事場以外どこで、会える?
更衣室、休憩室、職員トイレ、エレベータ、物品倉庫、洗濯室、喫煙所…。それらの場所で職員の姿を見つけたら、「お疲れさま」だけで済ませてはいけない。ナンパに躊躇(ちゅうちょ)してたら、仲間はゲットできない。まず顔の筋肉をゆるめ、チャラ男、おせっかいおばさん、ヘラヘラ女に瞬時に変身! 近寄って声をかけ、自己紹介してみよう。
 ほとんどの職員はコミュニケーションに飢えているのか、警戒心がなくナンパの成功率は高い。

▼秘密結社

 ナンパの壁を突破してもオルグするぞと暗い欲望を丸出しにしてはいけない。きつい労働やめんどくさい利用者も笑わせるネタに変えて、この人と話してると楽しいと思わせる。
 そのうち、ナンパ師が更衣室とか休憩室に行く時刻に合わせてくれるようになると、自然と仲間ができ、携帯メールの交換→情報共有が可能になる。休憩室にバレンタインチョコや誕生日プレゼントが積んであったりする。居酒屋やランチに誘っても都合をつけてくれて、さらに仲良くなる。
 次に、仲良くなったのを愚痴や気晴らしに終わらせない。「更衣室情報部」とか、「非非会議(非常勤非公式会議)」とかネーミングすると、秘密結社みたいで楽しいよ。そして行動は小さな反乱から始める。少人数の行動でも、メールやSNSを通じ、情報は、事業所全体に伝わる。経営側の言動は晴天白日の下にさらされる。もみ消すことはできない。(あらかん)

ちば合同労組ニュース 第84号 2017年7月1日発行より

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