銚子市立病院・市財政の破綻はなぜ起きたか/第二の森友学園

第二の森友学園 銚子市・千葉科学大学

銚子市立病院・市財政の破綻はなぜ起きたか

安倍人脈が教育反動支配と特区で巨大利権

 第二の森友学園として浮上した「加計学園グループ」。
 現在、焦点ととなっている のが淡路島(南あわじ市)につくられた吉備国際大学と愛媛県今治市に開設予定の岡山理大獣医学部だ。
 南あわじ市では12年、加計学園グループが、生徒減少で廃校となった志知高校(土地・建物の評価額約30億円)の無償譲渡を受け、リフォーム費用20億円ののうち13億円を市が負担し、学生が市に住民票を移せば1人あたり30万円の補助金を出すという破格の条件で大学を開設した。
 南あわじ市はけっして裕福な自治体ではない。当時の市税収入は年60億円。それが土地・建物を無償提供し、税収の6分の1を補助金として提供したのである。
 同じく無償提供で注目を集めているのが今治市の岡山理大獣医学部の用地。約37億円の市有地がやはり無償で学園に渡ることが3月3日に今治市議会で決まった。しかも192億円の施設整備費を市・県と加計学園で折半する取り決め。
 獣医学部の新設は、特区を使って52年ぶりの新設。公募のタイミングなど針の穴にラクダを通すような手配で進んだ。
 学園トップの加計孝太郎は安倍首相の「親友」。
 安倍が大学卒業後に米国へ留学した際に知り合った。第2次安倍政権の発足以降も、判明しているだけでもゴルフ4回、食事10回を一緒にする仲だ。妻・昭恵は、森友学園だけでなく加計学園の運営する神戸市の保育施設「御影インターナショナルこども園」の名誉園長でもある。
 似たような筋書きで、加計学園グループは、岡山県高梁市で約60億円、宮崎県延岡市でも約90億円の支援を受けている。

90億を無償提供

 前置きが長くなったが、千葉県でも似た話がある。銚子市の千葉科学大学。2004年に設立された加計学園系列の岡山理大の姉妹校である。
 安倍首相は、05年の開校式典、14年の10周年式典に出席し、「私と加計さんは、どんな時も心の奥でつながっている腹心の友」と語っている。
 同大学は、日本初の「危機管理学部」を開設したことで有名だ。拉致問題に熱心な安倍首相が「日本にも危機管理のプロが必要だ」と公言していたのと関係があるとの指摘もある。
 千葉科学大学は元銚子市長の野平匡邦が誘致した。野平元市長は97年から99年まで加計学園の拠点である岡山県の副知事で、加計学園・岡山理科大学の客員教授だったこともある。開校前年に市民が1万7635筆の「大学誘致の是非を問う住民投票の請願」を提出したが、市議会が否決した。
 銚子市への大学誘致の条件として加計学園側は土地の無償譲渡と校舎建設費などの補助金95億円を要求した。最終的には77億5千万円の補助金を銚子市が加計学園に出し、土地は無償貸与となった。
 銚子市の一般会計予算は241億円(昨年)。実に財政規模の3分の1を大学誘致に充てたのだ。このときの借金を今なお年間4~5億円も返済している。市債は現在約300億円。08年には市立病院の経営危機が起きたが、今度は市そのものが財政再建団体になる寸前だ。銚子はいま〈第二の夕張〉と言われる。
 森友学園問題を最初に追求した豊中市の木村市議は「この問題の本質は、このカルト右翼学園に対する異常な便宜供与が行われたこと」と語っている。
 安倍は、教育基本法の改悪、「日の丸・君が代」強制、「つくる会」教科書を先導し、教育の民営化と規制緩和を協力に推進してきた。森友学園や加計学園の錬金術的な膨張は、教育支配と教育特区のフル活用ぬきにはありえない。
 ちなみに野平氏は、4月の市長選で返り咲きを目指している。国家戦略特区で加計学園の水産・獣医学部を誘致することを公約にしている。
 「医・獣医など法律で新設を認められない学部は、特区を使って新設すれば儲かる。獣医学部は特区で(岩盤規制に)穴を開けた」と野平氏。
 安倍人脈が教育を破壊・支配しながら教育を隠れ蓑に巨額利権を得て、地方自治体を破綻の危機に陥れているのである。これほどの不正があるだろうか。隣の韓国では、チェスンシル事件をきっかけに百万人規模のデモでパク政権が倒れた。少なくともこれと同程度の事件ではないのか。

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編集後記

 銚子の科学大学についての記事を書いた直後に『週刊朝日』でこの問題を取り上げていた。地元では誰もが知っている話なのだが、今までほとんど認知されていなかったことが恐ろしい。今から振り返ってみると、当時の市民病院廃止反対の闘いはとても重要でした。(S)

 春闘の取り組みはささやかなものでしたが、職場の労働者が団結させ崩さなければ、必ず展望を見出すことはできると感じた春闘でした。(T)

ちば合同労組ニュース 第81号 2017年4月1日発行より

職場と労働法 年間1千人を超える労災死亡者の現実

実践的に考える職場と労働法

今なお年間1千人を超える労災死亡者の現実

あなたの職場の安全衛生は?

労働災害で死亡する労働者は今なお年間1千人を超えます。戦後の労災死亡累計は20数万人。日清日露戦争の戦死者数を超えます。高度経済成長末期で労働者の安全は二の次だった1971年の労災死亡は6712人とピークを記録。翌年、労働安全衛生法が制定されると75年には年間3725人に激減しました。
労働安全衛生法規が〈先人の血で書かれた文字〉と言われる由縁でもあります。
安全衛生は、労働者の生命・身体・健康を守る最も根源的な労働条件です。職場に存在する危険を減らし、設備・環境・体制を整えて、事故や病気を発生させないことは何よりも大切なことです。
しかし、効率や経済性のために安全衛生がしばしば犠牲になるのが現実です。生活の糧を稼ぐために危険な仕事をせざるをえない場合、労働者の直接的な関心の対象にはならない面もあります。
安衛法は、事業者とその他の関係者に対して、①職場における安全衛生管理体制の整備、②危険・健康障害の防止措置の実施、③機械・有害物などに関する規制、④安全衛生教育・健康診断などの実施――を義務づけています。
案衛法の行政監督の仕組みは基本的に労働基準法と同じで、罰則や労働基準監督制度による監督・取締りも行われます。

安全衛生管理体制

一定規模以上の事業場は、総括安全衛生管理者を選任し、その下に所定の資格をみたす安全管理者および衛生管理者を選任することが義務づけられています。労働者の健康管理を担当する産業医の選任や特定作業について作業主任者の選任も定めています。
もちろん一定規模に満たない小さな職場でこそ安全衛生体制は大切です。10人規模以上の職場で工業的な職場では安全衛生推進者、それ以外の職場では衛生推進者が必要です。10人以上が働いていればどんな職種でも衛生推進者が必要です。みなさんの職場ではどうでしょうか?
さらに製造業や運送業などで常時50人以上が働く職場では安全委員会、その他の業種の事業場では衛生委員会の設置が義務づけられています。議長以外の委員の半数は、事業場の過半数組合・代表者の推薦により指名されます。
衛生委員会は、衛生に関する重要事項について調査・審議して事業者に意見を述べます。長時間労働やメンタルヘルス対策も衛生委員会の付議事項です。
常時50人以上の労働者を使用する使用者は産業医を選任しなければなりません。産業医は、健康状態に問題のある労働者を発見した時は事業者に対して休ませたり作業を軽減させるなどの措置を勧告できます。産業医は毎月1回は職場巡視し作業実態をチェックしなければなりません。
産業医が職場巡回しないなど形骸化したり、主治医が職場復帰を認めたにも関わらず会社の意向に沿って「復帰不可」と判断するなど問題ある産業医もいます。

健康診断

労働者を1人でも使用している事業者は、雇い入れ時と年1回の健康診断を実施しなければなりません。費用は事業主の負担が原則です。事業者が健康診断の実施義務を怠った場合は50万円以下の罰金となります。しかし一般健診は、業務遂行との関連において行われないとして賃金の支払いは義務づけられていません。厚生労働省は賃金支払いが望ましいとは言っています。有害業務に従事する労働者が対象の特殊健康診断は、所定労働時間内の受診が原則で賃金支払いは必須です。

安全衛生教育

「労働者の危険又は健康障害を防止するための措置」では、事業者の講ずべき措置として「危険防止措置」「健康障害防止措置」「作業場の整備措置」「作業場からの退避措置」「労働者の救護措置」などが規定されています。
「機械等並びに危険物及び有害物に関する規制」と合わせてボイラーやクレーンなどの検査証、機械の防護措置、危険物・有害物の製造禁止や有毒性の調査などが規定されています。
「労働安全衛生規則」をはじめ、「ボイラー及び圧力容器安全規則」「クレーン等安全規則」「四アルキル鉛中毒予防規則」「電離放射線障害防止規則」「粉じん障害防止規則」「事務所衛生基準規則」などの詳細な規則が体系的に設けられています。
安全衛生教育の実施や無資格者の就業制限などを定めた「労働者の就業にあたっての措置」として3種類の安全衛生教育が定められ、雇い入れ時にすべての業務について安全衛生教育が義務づけられています。危険有害業務や職長着任時にも特別の安全衛生教育が必要です。これらは臨時労働者を含むすべての労働者が対象です。
仕事中に発生した労働者の傷病事故は労災保険で補償されます。バイトや日雇い労働者もすべて対象です。労災保険料は労働者の負担はなく、事業者が支払う賃金総額に掛金がかかる仕組みです。詳しくはまた今後に紹介したいと思います。

ちば合同労組ニュース 第78号(2017年1月1発行)より

実践的に考える労働法 就業規則万能化との闘い

jissen-hou-1実践的に考える職場と労働法

就業規則の万能化との闘い

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(写真 CTSの就業規則改悪に反対する動労千葉)

近年、就業規則の存在が前面に出てきています。就業規則の万能化の動きです。
建前かも知れませんが〈労働者保護〉という労働法の基本線から考えたとき、労働者の同意もないまま使用者側が就業規則を変更することで一方的に労働条件を変更する権限がどこにあるのか、という根本的疑問がわいてきます。
労働基準法は、就業規則作成の義務(89条)や作成手続き(90条)を定めていますが、読めば分かる通り、たんなる手続き規定に過ぎません。就業規則の効力は労使の鋭い争点であり、判決や学説も百家争鳴でした。
ところが07年に制定された労働契約法に「労働契約の内容は就業規則で定める労働条件とする」と明記されました。
さらには就業規則による労働条件の不利益変更について従来の判例は「高度の必要性を要する」とされてきましたが、労働契約法では「合理性」にトーンダウンしています。
つまり、就業規則が合理的な内容でそれを周知すれば、労使で合意した労働契約となるという理屈です。

世界中で闘い

就業規則(労働契約法)との闘いは、労働運動にとって大きなテーマです。
韓国やフランスでも就業規則をより上位に置く動きが強まり、就業規則による労働条件変更を制度化しようとしています。
韓国では、就業規則による不利益変更を大幅に緩和し、勤務成績不振の労働者を簡単に普通解雇できるようにしようとしています。フランスでも、整理解雇の緩和や労働時間の延長が、就業規則を労働協約の上位に置く形で制度化されようとしています。
韓国やフランスの労働組合は激しいゼネストを展開して闘っています。
聞くところによると、日本では、近年の弁護士激増政策で弁護士があふれ、従来は不人気だった労働法を専門にする若手弁護士が増えているそうです。こうした弁護士が最初に学習するのが労働契約法なのだそう。労働組合法や労働基準法を武器にした昔の労働弁護士とは少々趣が異なるようです。

闘いの第一歩

いずれにせよ闘いの手掛かりをつかむために自分の職場の就業規則を入手することは必須です。まずは徹底研究が必要です。

※作成・変更、届出

常時10人以上の労働者を使用する事業所では就業規則の作成義務があります。過半数組合か過半数代表者の意見書を添付して労働基準監督署に届け出る必要もあります。
労基署への届出がなされているかどうか、過半数代表者の意見書が添付されているかどうか大半の労基署は見せてくれないようです。
しかし労基法105条の2は「厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、この法律の目的を達成するために、労働者及び使用者に対して資料の提供その他必要な援助をしなければならない」とあります。
※周知義務
会社側は従来、就業規則の周知には消極的で懲戒処分などに際していきなり持ち出すケースが多かったのですが、就業規則の万能化の動きに伴い積極的に周知する会社も増えています。裁判所も周知していればOKという方向に誘導している印象です。周知されていないのはNGです。

※記載事項

必要記載事項は、「始業及び終業の時刻」「休憩時間」「休暇」「賃金」「退職に関する事項」など。制度があれば必ず記載(相対的必要記載事項)は、「退職金」「安全衛生」「表彰」「制裁」など。
賃金や退職金について別に規則を定めることはOKですが、賃金は絶対的必要記載事項であり、賃金規定は就業規則の一部です。パートや契約社員も対象であり、パートなどの就業規則がなければ一般就業規則がそのまま適用されます。
※労働者の意見聴取義務
使用者は、就業規則の作成・変更を届け出る際には、労働組合または労働者代表の意見書を添付しなければなりません。ところが、この意見書は使用者の一方的な制定権を前提にして単に意見を述べる権利にすぎない扱いです。
とはいえ使用者の一方的裁量が認められるわけではないので、不利益変更に対し反対意見を表明するのではなく意見表明そのものを拒否することは有効な戦術です。さらに労働組合との交渉の状況は就業規則の合理性を判断する重要な要素にもなります。

※効力

労働契約法9条は、原則として就業規則の変更で労働条件の不利益変更はできないとしています。不利益変更でもそれに同意する労働者については変更OKで、反対の労働者は、〝合理性〟の有無が問題になります。合理性が認められなければ、従前の労働条件が効力を持続します。

ちば合同労組ニュース 第75号(2016年10月1日発行)より

雇用・労働法制をめぐる安倍政権の攻撃

〈ちば合同労組学習資料〉

雇用・労働法制をめぐる安倍政権の攻撃

ちば合同労働組合 2016/08/24 koyou-housei201608.PDF
このパンフレットは、
【1】労働者が団結して闘うことに展望を示したい。
【2】雇用・労働法制をめぐる安倍政権の攻撃。
【3】労働運動再生の道を示すCTS闘争。
――の3章構成の学習資料のうちの2章の部分を抜粋したものです。雇用・労働法制をめぐる安倍政権の攻撃の全体像を明らかにしたいと考えています。ご活用ください。

◎抜本的・根本的な安倍政権の雇用政策の転換

雇用・労働法制をめぐる安倍政権の攻撃は、本当に歴史的な転換、戦後労働法制の解体をめざす攻撃です。これは日本のみならずいま世界中で起きている問題です。
8月3日の内閣改造で、安倍首相が「次の3年間の最大のチャレンジ」という位置づけで「働き方改革」を提唱し、「働き方改革担当大臣」を新設しました。一億総活躍担当大臣が兼務しています。
安倍首相は記者会見で「最大のチャレンジは、『働き方改革』であります。長時間労働を是正します。同一労働同一賃金を実現し、『非正規』という言葉をこの国から一掃します」と述べています。
そして働き方改革担当大臣のもとに「働き方改革実現会議」も設置し、年度内をめどに、実行計画を策定すると言っています。

◎労働行政の大転換―労政審をまる無視

これ自体が労働行政の大転換です。建前とはいえ、労働問題は、使用者と労働者の利害が対立するので、労働法の改定や労働政策を変更するときには、厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会(労政審)の審議や調査が必要という慣習・仕組みになっています。
労政審は、公益・労働者・使用者の各代表10人の計30人で組織される三者構成方式を採っています。これはILO(国際労働機関)の原則に踏まえたものです。たとえば最低賃金法には、最低賃金を決めるとき政府は労政審の意見を反映させなければならないと規定しています。労働基準法や職業安定法などにも書いてある。
もちろんこれは建前で、労政審の労働者委員はすべて連合推薦です。労働貴族がちょっと建前っぽいことを言って、多少の歯止めをかける措置がつけ加えて、全体としては承認していく仕組みです。1990年代以降、こういう構図で労働法の後退・解体がドンドン進行したことは間違いありません。
ともあれ「長時間労働の是正」だとか「同一労働同一賃金の実現」を言うならば、厚生労働大臣が労政審に諮問して進めるのが、これまでの通常の流れです。 Continue reading →

16時間夜勤を合法化する労働基準法

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16時間夜勤を合法化する労働基準法

労働時間とは?

今回は「労働時間とは何か」を考えてみたい。長時間労働の問題など論点は多様ですが今回は職場闘争の観点から。
労働時間はいつ、どこで、どんな態様で始まるのか。門から? タイムレコーダー打刻? 更衣室? 作業着手?
資本主義社会では、「時間」をめぐる問題は最も〝本質〟に関わる問題です。どんな経営者も、自分が支払った賃金以上に労働者を働かせることを最初から意識しています。〝時は金なり〟です。資本家は1分でも多く働かせたい。労働時間をめぐる闘争こそ労働組合にとって最も古く、そして中心的テーマです。
資本家は、単に8時間の労働力を買っただけではありません。その「瞬間刻々」を最大限の強度で使用したい。また機械や技術が陳腐化する前にできれば24時間リレー制で働かせたいと願っています。

実働1日38分増

かつて日本の工場は、工場の門を出入りする時間で労働時間を管理していました。8時始業なら8時に工場の門に滑り込んでタイムレコーダーに打刻すればセーフ。製鉄所など広い工場では、打刻後に構内バスで職場に行き作業着に着替えて仕事にかかるのが一般的でした。5時終業ならば4時半ぐらいに仕事を終え入浴して門まで行って5時に打刻すれば「終業5時」です。
これは経営者に言わせれば朝夕30分ずつ無駄に賃金を払っている。それで松下電器などで「現場到着制」が始まりました。工場の門にあったタイムレコーダーを作業現場に移動、職場に到着してから打刻させたのです。作業着に着替えて打刻、8時ジャスト作業開始!というわけです。
参考文献『労働基準法・実践の手引き』によれば三菱重工長崎造船所では、週休2日制とバーターで従来は労働時間とされた始業終業の関連行為(打刻・更衣・安全保護具の着脱・現場までの移動・洗面入浴など)がすべて時間外とされ、実働が1日38分延長されました。88年当時の年間出勤日数246日で掛けると「19日と3時間48分」、ほぼ1カ月の出勤日に相当する実労働時間の増加でした。
これに対する長船労組の闘いの成果がかの有名な「三菱重工業長崎造船所事件最高裁判決(作業着の着替えも労働時間/使用者の指揮命令下にあれば労働時間)」です。
私は不勉強でよく知らないのですが、職場闘争で有名な三菱長船労組です。その背後で激しい職場闘争を展開したはずです。研究課題です。

8時間制の解体

労働時間の原則(労働基準法32条)は「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない」「使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない」となっています。
お題目は画期的内容です。ですが法定8時間を強制する効力は実質ゼロです。使用者は36協定を締結して労働基準監督署に届ければ、時間外・休日にいくら長時間労働をさせても罰せられません。
しかも、36協定における上限となる労働時間についても労働基準法の定めはないのです。厚生労働大臣が上限を決めていますが(現在は週15時間・年360時間)、現実には「特別条項付き協定(エスケープ条項)」を許容しており無制限、そもそも過労死ライン(月80時間)超の限度時間を定める企業もあります。
調査によれば労働者代表と結ぶ36協定より労働組合と締結した方が延長時間は長い。

87年の大転換

介護施設では16時間の夜勤が当たり前です(ネットで検索してみて下さい)。なぜこんなに過酷な労働が合法なのだろうか!? 実は1987年の労基法改定で労働時間の大転換があったのです。
p0073_02_01a 労働時間の規定が「1日8時間・1週48時間」→「1週40時間・1日8時間」に変わりました(週40時間制に)。
「日」と「週」の位置が入れ替わったことに注意して下さい。もともとは1日の労働時間の上限があって、その上で1週の上限が決まっていました。ところが改定後は1週の労働時間の限度がまず設定され、1日8時間は1週40時間の〝割り振りの基準〟になったのです。
その狙いは変形労働時間制の拡大です。〈1日8時間の上限規制〉という考え方を解体して、平均して週40時間の枠内に収まれば良いという理屈を編み出したのです。
多くの介護職場で採用されている1カ月単位の変形労働時間制は、就業規則で一方的に制定できます。こんな過酷な働かせ方が〝合法〟だなんて、と叫びたい気分です。
看護師の夜勤制限をかちとったニッパチ闘争が必要です。介護職場で夜勤を制限させる職場闘争をどう形成するか。大きな課題です。みなさんのご意見を!(S)

ちば合同労組ニュース 第73号(2016年8月1日発行)より

映画紹介『沈まぬ太陽』

映画紹介『沈まぬ太陽』

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御巣鷹山の事故シーンから始まる。1985年の日本航空123便墜落事故。子どもだったが良く覚えている。続いて映画は、60年代前半の労働組合の闘いのシーンが交差する。
主人公・恩地元のモデルとなった小倉寛太郎は実在の人物。日本航空労組委員長として日本航空初のストライキを指導、報復人事で約10年間の海外勤務を強いられた。
日本航空は1953年に半官半民の国営航空企業(ナショナル・フラッグ)として出発した。高度成長に伴い70年には輸送旅客数が約30倍となった。しかし急激な事業拡大に要員体制が追いつかず、労働条件の悪化と安全の危機が急速に深まった。深刻な安全問題を契機に労働組合が結成され、64年に初のスト。報復で4人の役員が解雇され、第2組合がつくられ、露骨な賃金・昇格差別が行われた。

日航は、創設から約20年、死亡事故がない。世界一安全な航空企業と宣伝された。しかし70年以降、死亡事故が頻発するようになる。輸送力の拡大とコスト削減を同時に実行し、会社に異議を唱えさせない組合敵視政策が背景にあった。
1980年代、競争促進と規制緩和は、航空業界にも波及。国鉄分割・民営化を提起した第2臨調は、日航の完全民営化と大合理化を要求した。国際線に全日空が参入し、競争とコスト削減が激化した。そして85年8月、日航ジャンボ墜落事故が発生。520人の生命が奪われた。
映画は、恩地と、労組の盟友で袂を分かち出世街道を進む行天四郎を軸に進む3時間超の長編。現実の日航は2010年に事業会社としては戦後最大の倒産で1万6千人を解雇。整備の海外委託など外注化や非正規化の先頭を進んでいる。

ちば合同労組ニュース 第73号(2016年8月1日発行)より

相模原・障害者殺傷事件に思う

相模原・障害者殺傷事件に思う

〝労働者には団結が必要〟

相模原市の障害者施設で45人の障害者が殺傷される、痛ましい事件が起きた。事件の背後にある障害者抹殺思想の不気味な広がりや、現代社会のあり方への危惧は、多くの識者が指摘しているが、労働組合の立場から考えたい。
事件のあった「津久井やまゆり園」は、もともと県立だったが2005年から指定管理者制度に移行し、民営化された。その結果、求人情報では夜間時給が905円、これは神奈川県の最低賃金と同額。深夜割増も不払いの情報も。ブラック企業そのものだ。
利潤追求、費用対効果が求められ、それが評価される競争社会、過酷なブラック職場の現状が26歳の元職員の背後にあるのは間違いない。
2000年に介護保険法が制定される過程でも「社会的入院を減らす」と言われたが、〈高齢者が税金を無駄遣いしている。だから民営化して市場原理でやっていく〉――そういう考えが根本にあった。
今回の事件は現代社会の縮図であり、資本主義のパラダイムが個々の人間性をとらえ、ゆがんだ形で現れているように感じる。

昔は道徳観念の規範として「強きをくじき弱きを助く」がそれなりに普遍的に人びとの心にあったが、いつの間にか「弱きをくじき強きにおもねる」「長いものには巻かれろ」といった価値観に逆転してしまった。どこで転倒してしまったのだろうか。
そもそも資本主義社会は、労働力を商品として、つまり人間をモノとして扱い、ひたすら利潤を追求することを原動力とする社会制度である。労働力がなくなるのは困るがその担い手である労働者の生活には興味ない。むしろ労働者同士が賃金をめぐって競争する方が望ましく、だから労働者を殺さず生かさずの状態に置いておこうとする。
しかし労働者の側も黙ってはおらず、団結して資本と闘い、長い時間をかけて8時間労働制や、医療・年金・教育などの社会保障制度をかち取ってきた。
資本主義の社会様式と、人間らしく生きようとする労働者階級との拮抗する激突のただ中にあるのが現代社会である。一度獲得した諸権利の上にあぐらをかいていれば、すぐにまた引っくり返される。

高度経済成長期を経て日本の労働運動は徐々に力を失っていった。1987年の国鉄分割・民営化から本格化した新自由主義政策が現在を規定している。非正規・低賃金・人員削減がはびこり、競争が煽られ評価制度で労働者同士が密告しあう。

資本主義が極限的に推し進められれば、社会保障は解体され、労働者は生きていけなくなる。しかし資本主義の自己運動は自制する術を持たない。恐慌を繰り返し、戦争に行き着く。
社会のあり方が人々の価値観に影響を与えるのなら、その逆もしかり。もう一度労働者が団結して、人間らしく生きさせろと立ち上がれば、やがては社会のあり方を変革できる。一人ひとりが現代社会の分岐点で選択を求められている。
私も介護施設で働く。閉ざされた空間にたくさんのお年寄りが押し込まれ、やりたいこともできずに1日無気力に座って過しているのを見ると、自分の仕事は、高齢者を「効率よく(お金をかけずに)」死なせてやることかと絶望感に苛まれることもある。
職員も利用者も共に生きた人間だ。仕事と割り切って〝こなし介護〟だけにはいかない。愛憎悲喜交々である。ときに虐待の誘惑に駆られるし、ときにはちょっとした言葉や笑顔に救われる。みんなまだ生きた人間だ。

共に生きていく社会を守るために何よりも必要なのは、労働者の団結だ。仕事の大変さや責任、そして誇りを共有し、教えてくれる仲間。個々の労働者には思いや誇りがある。だけど声を大に「俺たちが職場を動かしている」と言う人間がいなければ、その思いも誇りも資本のものになりねじ曲げられる。(A)

ちば合同労組ニュース 第73号(2016年8月1日発行)より

共に闘い、経験し、学ぶ-社前ビラで考えたこと

共に闘い、経験し、学ぶ

(社前ビラで考えたこと)

6月中旬、HRセンター社前ビラ配布に行って来ました

車で入構していく労働者が減速して受け取ってくれました。「ご苦労様です」「お疲れさま」など声をかけてくれたり、笑顔で受け取ってくれる労働者が多かったのが印象的でした。
下請けのA社の労働者もB社の労働者もみんな怒っているからこそ受けとる。年配の労働者と若い労働者の間にある緊張感もビラの受け取り具合でよくわかりました。

n0072_01_01a(不当解雇阻止の闘いで)年配の労働者が職場に残ることで今度は若手の仕事がなくなる、残れなくなるという分断攻撃を乗り越えるための闘いは、生半可じゃないと思ったけど、その分断を打ち破るような闘いを起こしていくためにも、ちば合同労組の青年部はどんどんビラ配りに行こう。自分たちの職場で仲間を組織化していく勉強にもなるし、「労働運動とは何か」が、労働組合を職場に作る闘いを共に経験することでつかめます。
毎日、命を張って闘い、労働者を組織化している労働者の生き様や、労働運動に命を懸けている生き方から学ぶことは、青年部は今後の生き方・闘いにおいて必要だと思いました。一度でも良いので、ぜひビラ配りに結集してください!(副委員長)

ちば合同労組ニュース 第72号(2016年7月1日発行)より

職場の矛盾や弱点を見つけ出して闘いの糸口に

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今月から「実践的に考える職場と労働法」と題して連載を始めます。どんな職場でも闘いの手掛かりは必ずある。職場の矛盾や弱点を見つけ出して闘いの糸口にしたい――そういう気持ちで労働基準法や労働安全衛生法を実践的にチェックしたいと思います。合同労組やユニオンの運動にとって、〈労働者の権利の擁護〉は必須課題であり、動労千葉の「運転保安闘争」的領域と並ぶ労働運動実践の重要な要素ではないかと思います。
試行錯誤ですが『実践の手引き・労働基準法』(西村卓司・古谷杉郎著/91年)と『労働法第11版』(菅野和夫著/16年)を参考文献にして勉強しながら書いていきます。みなさんの意見・感想もよろしくお願いします。

職場の矛盾や弱点を見つけ出して闘いの糸口に

職場闘争の出発点

職場闘争の出発点として、労働基準法・労働安全衛生法と就業規則の読み込みは大切な一つの手だと思います。それだけで法律違反をいくつか発見できるはずです。門に入ってから門を出るまでの自分の行動を注意深く検討することで、さらに多くの法律違反や権利放棄の事実に気付くはずです。
憲法27条第2項「賃金・就業時間・休息その他の勤労条件に関する規準は法律で定める」を受けて労働条件の最低基準を定めたのが労働基準法です。労基法が労働者保護法と言われる由縁です。
労働法は、百年を超える長い労働者階級の闘いによって生まれたものです。法律それ自身が自立的に展開して労働者を保護しているわけではないことには留意する必要があります。〈闘いなくして権利なし〉です。

民法に優先される

労働法が民法と競合する場合は労働法が優先されます。

いわゆる市民法(民法)は、法の前に万人が平等であるという建前で〈契約自由の原則〉が優先されます。民法上では、労働者も資本家も平等だから契約自由の原則なのだというわけです。
しかし資本主義の世の中ではそれはうわべだけの話です。労働者を解雇する資本家と解雇される労働者が対等であるとの説明はとうてい納得できません。
契約の自由をタテにした資本家の支配や権利侵害に対して世界中の労働者の長い闘いによって、労働者の生活や権利を保護する労働法が生み出され、それは市民法に優先されるようになったのです。
「資本家も労働者も1対1の対等・平等」とする最近の傾向には本当に警戒が必要です。

07年には労働契約法が施行され、労働契約は労働者と使用者の合意が原則だと強調されるようになり、ますます労基法が後景化されています。
「本人が同意すれば労働時間規制は適用除外OK(残業代ゼロ制度)」「最低賃金以下でも本人が同意したならいいじゃないか」という安倍政権の論議は超危険です。

労働条件の最低基準

労働基準法の大半の条文は強行規定です。
強行規定というのは、当事者の意思や状況にかかわりなく無条件に適用される法規ということです。労基法違反の企業は刑事罰となり、法律の規準に達しない労働契約はその部分については無効となり労基法の最低基準が適用されます。労働法以外の法律では、無効のままで空白になるのとはずいぶん違います。
しかし、その内容がやはり最低基準にとどまっているのは、これが資本家の譲歩の限界だということです。

そもそも産業革命後の英国で最初に工場法が制定されたのは、資本家の熾烈な競争によって長時間労働や児童労働がエスカレーションし労働者の健康悪化と平均寿命低下が深刻化し、そもそも資本主義として維持できなくなる危機に陥ったからです。
最低基準の設定は実際には資本家の利益にためにあることも忘れてはならないと思います。
日本の労働者の現状が、最低基準の遵守をめぐって争われている現状は悔しい限りですが、ここが出発点です。

労働基準法や労働安全衛生法、労働契約書や就業規則を読み込むことは、職場で闘いを開始するにあたって、適切な闘争課題、闘争形態を選び出すために重要だと思います。労働者が警戒すべき点、利用できる点を知ることは大切なことです。(S)

ちば合同労組ニュース 第72号(2016年7月1日発行)より

労働法制改悪反対-フランスで120万人がデモ

労働法制改悪反対 フランスで120万人がデモ

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地域合同労組にとって、オルグ(組織者)の存在は非常に大きいと思います。地域と職場に飛び込んで労働者と話をし、労働組合を組織する。今の時代、結果を出すのは簡単ではありませんが。
ちば合同労組としても、やはりそれぞれの組合員がそれぞれの職場で仲間と共に分会づくりに取り組む。これが基本です。ユニオン習志野や介護職場などいくつかの職場でささやかながら組織化と闘いが始まっています。
世界中で労働法制の改悪にデモやストが闘われています。安倍政権の雇用破壊・労働改悪との闘いはこれからです。

(委員長)

ちば合同労組ニュース 第70号(2016年5月1日発行)より

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