働き方改革は戦後最大規模の資本攻勢だ

働き方改革は戦後最大規模の資本攻勢だ

 過労死遺族の「過労死を自己責任にする法案反対」との必死の訴えにも関わらず「働き方改革」関連法が6月29日、採決強行で成立しました。
 ところで昨年末に出た厚生労働白書を読むと、〈成長という視点から見た(労働政策を含む)社会保障〉というフレーズのオンパレードです。安倍政権の成長戦略の基軸に「働き方改革」が据えられ、少し前に「岩盤(規制)」などと非難されていた厚生労働省がいまや安倍政権の突撃部隊になっていることがよく分かります。
 簡単におさらいすると①労働時間規制を撤廃する高プロ制度や裁量労働制拡大(今回見送り)、②個人事業主やフリーランサーなど非雇用の働き方に誘導する雇用対策法の抜本的改変、③同一労働同一賃金など、戦後日本の労働政策を根本から覆す法律です。
 これは単に法律にとどまる問題ではありません。想起するのは1949年のドッジラインによる整理解雇です。GHQ財政金融顧問ドッジの指導で吉田内閣が実施した経済財政政策によって国鉄10万人首切りや東芝など民間企業の整理解雇(50万人)や中小企業の倒産(1万社以上)が起き、争議の頻発と共に下山事件や松川事件が発生し、やがてレッドパージが吹き荒れ朝鮮戦争へ向かいました。
 かつてのように大量整理解雇が直ちに焦点になっているわけではありませんが「働き方改革」「同一労働同一賃金」「AI失業時代」という形であらゆる産別・職場で大変な資本攻勢との対決が急務になっています。JR東日本では働き方改革の総本山のような攻撃が始まっています。
 他方、ストや労働組合の復権の雰囲気も出てきています。資本の攻撃と労働者の闘いは一対でもあります。労働組合復権に転換すべく運動化していきたいと思います。(B)

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テーマ 階級的労働運動について
日時 7月21日(土)13時~ 講師 片峯潤一(動労総連合書記)
 ちば合同労組は団体受講しています。ぜひご参加ください。次回のテーマは動労千葉の外注化阻止闘争。

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

改憲阻止大行進へ討論集会を開催

〝職場から改憲反対の運動をつくろう〟

改憲阻止大行進へ討論集会

 千葉市内で6月9日、「改憲発議を許すな!6・9千葉県討論集会」を約70人で行いました。9月の「改憲・戦争阻止大行進!千葉県実行委員会」(仮称)の結成へ向けた議論を開始しました。
 この間、ちば合同労組や動労千葉、百万人署名運動千葉県連絡会や裁判員制度はいらない千葉県実行委員会、婦人民主クラブ全国協議会と〈職場から改憲反対の運動をつくるには〉〈小さくとも自分たちの手で始めよう〉と議論してきました。
 集会には、青年労働者から戦争経験者の90歳代までの幅広い層が集まり、それぞれの経験や闘いの教訓を共有できました。地域に労働組合をつくることが、市民運動も含めた地域の人々にとって大きな力になると感じました。

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

実践的に考える職場と労働法/労働基準法における休日の規定

実践的に考える職場と労働法

労働基準法における休日の規定

休日は午前0時から午後12時まで暦日が原則

 労働基準法の規定では、使用者は労働者に毎週少なくとも1回の休日を与えなければなりません。
 労働基準法は〈1日8時間〉〈週40時間〉を法定労働時間とし、週休2日制を想定しているのですが、法律としては週休2日制を規定せず、最低基準として週1日の休日を要求するに留めています。
 労基法が定める最低限度の休日を「法定休日」と呼びます。これを超える休日は「法定外休日」と呼ばれます。所定労働時間が8時間の会社では月曜から金曜日で法定労働時間の40時間となるので、土曜が法定外休日、日曜が法定休日となるのが一般的です。
 ちなみに休日労働には、時間外労働という考えはなく、休日労働が深夜に及ばない限り何時間労働しても休日労働としての割増賃金(3割5分以上)を支払えばよいとされています。休日労働が8時間を超えても割増率6割にはなりません。深夜の場合は、6割以上になります。

「休日」とは

 「休日」とは、労働契約上、労働者が労働義務を負わない日をいいます。あらかじめ労働義務が存在しないものとされている点で単なる休業日とは異なります。
 また休日は、単なる継続24時間ではダメで、午前0時から午後12時までの暦日が原則です。ごく例外的に、交替制勤務者については,番方編成による交代制など一定の場合(勤務割表などでその都度設定されるものはNG)や、旅館業や自動車運転者に一定の特例が認められています。
 休日を与える単位となる「週」は、必ずしも日曜から土曜の暦週に限られず継続した7日間であれば良いので、就業規則などでどの曜日が週の起点となるかを定める必要があります。特に規定がない場合には日曜が起点となります。ちなみに週1回の休日を与えていれば、その曜日は問われず、日曜でなくとも法律上は問題ありません。
 「変形休日制」は、4週間を通じ4日以上の休日を与える場合には、週休1日の原則が適用除外されています。変形労働時間制と併用して残業代を減らすためにけっこう悪用されています。
 変形休日制を実施するためには、変形制の単位期間の起点を就業規則等に記載することが必要です。法律上は、4週28日の最初の4日間に休日を入れて24日連続で働かせることも可能です。もちろん法定労働時間を超えるので別の問題は生じます。

休日の振替

 休日の振替は、他の労働日(振替先)を休日(振替休日)とする一方、従来は休日であった日に労働者を労働させることをいいます。
 休日を振り替えた後の状態が週休1日の原則(変形週休制をとる場合は4週あたり4日)を満たせば、振り替えた休日の労働は、通常の労働日となり、割増賃金の支払が不要となります。とはいえ振り替えた結果、週の法定労働時間を超える場合には時間外割増賃金の支払が必要です。具体的には週をまたいで休日を振り替えると40時間オーバーで2割5分以上の割増賃金が発生することになります。
 振替先の労働日は、労働契約上あらかじめ労働義務がないものと定められた日として、休日になります。
 「使用者は労働者の個別的同意を得ずに休日振替を命じうるか」という問題がありますが、裁判例では、使用者が休日を他の労働日に振り替えることができる旨を定めた規定が存在し、振替先の労働日をあらかじめ特定すれば、使用者は労働者の個別的同意を得ずに休日振替を命じることができるとされています。
 あらかじめ振替先を指定しないで休日に労働させ、後にこれに代わる休日(代休)を与える場合は、休日の変更がなされていないので休日労働のままであり、3割5分以上の休日割増賃金が必要となります。この場合には、代休日を与えることは法律上必ずしも要求されません。

年間休日数

 年間休日数の平均は120日。土日祝日に盆・年末年始を加えるとこの数字になります。平均で月10日の休みです。1日8時間・週40時間の法定労働時間めいっぱいで働くと年間休日数は105日となります。夏休みや正月休み、祝日がないパターンです。
 統計では、自動車などの大手製造業は年間休日が多く(約130日)、外食・小売・サービス業は、土日やGW、年末年始など通常の人が休みである期間に営業するので休日が少なく、労働時間も長くなっています。
 休日手当の額
 休日に出勤した場合、会社は基本給とは別に割増賃金を支払う義務があります。1時間あたりの賃金が千円として休日に8時間働けば千円×1・35×8=1万800円。つまり時給単価×1・35×休日労働時間数で休日労働の賃金額が算定できます。

ちば合同労組ニュース 第96号 2018年07月1日発行より

労働者の命奪う働き方法案を阻止しよう

労働者の命奪う働き方法案を阻止しよう

 「働き方改革」関連法案をめぐる国会攻防が緊迫しています。5月31日に衆院本会議で採決する見込みと報道されています。同法案とカジノ法案の成立を図るため6月20日までの会期を2週間から1か月の範囲で延長する動きも出ています。少なくない人びとが必死に訴えて闘う中で少しずつ情勢が動き始めています。
 過労死遺族でつくる全国過労死を考える家族の会が5月中旬に安倍首相に面会を申し入れましたが安倍は拒絶。5月22日から首相官邸前で座り込みを始めました。
 家族の会代表の寺西さんの夫は飲食店の店長でした。夫が過労自殺した際、会社は「店長には裁量がある。勝手に働いて勝手に死んだ」と言い放ったそうです。裁量労働制の大幅拡大で、過労死が増えるだけでなく、過労死が自己責任になると危機感を訴え続けています。
 首相官邸前での「人の命を奪う法案を採択すべきではない」の訴えには、連合の神津会長も陣中見舞いに来ざるを得なくなり、連合は全国一斉行動を実施。千葉でもやっているのを目撃しました。
 連合は昨夏、UAゼンセン出身の逢見事務局長(当時)が首相官邸に足繁く通い、高度プロフェッショナル制度を容認する動きが暴露され、連合本部が抗議デモに包囲される大騒動になりました。
 自己保身的とはいえ、連合幹部らが反対のポーズを取らざるをえないほど現場・下部の組合員の危機感と怒りは噴火寸前のマグマのようになっているのです。
 高プロ制度は、第1次安倍政権の時代から何度も断念に追い込まれ、安倍にとって10年越しの悲願です。労働法制の改悪・解体は、けっして権力万能で進行するわけではなく、ギリギリの均衡状態の中での採択強行なのです。微力であっても本気で反対し、本気で行動することが状況を転換すると思います。
 東京駅自販機の順法闘争・ストの報道が象徴的ですが、労働組合の存在が少しずつ人びとの認識の俎上に上りつつある感じもします。労働者の団結と労働運動の再生を展望し、法案阻止へ6月がんばりましょう。
(S)

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テーマ 労働法制改悪との闘い

日時 5月19日(土)13時~  講師 山本志都(労働弁護士)
ちば合同労組は団体受講しています。ぜひご参加ください。次回のテーマは働き方改革関連法案です。

ちば合同労組ニュース 第95号 2017年06月1日発行より

実践的に考える職場と労働法 危険・健康障害防止の措置

実践的に考える職場と労働法

労働者の危険・健康障害防止の措置

事業主には労働者を退避させる義務がある

 労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする法律です。
 戦争犠牲者の規模に匹敵すると言ってもよい労働災害の犠牲者と、長い労働者の闘いでつくられた法律です。労働者の血で書かれた法律です。闘いの武器として活用することは有意義だと思います。
 労働安全衛生法は、
◎安全衛生管理体制
◎労働者を危険や健康障害から守るための措置
◎機械や危険物・有害物に関する規制
◎安全衛生教育
◎労働者の健康を保持増進するための措置
 ――などについて定め、職場の安全衛生に関する網羅的な法規制を行っています。
 今回は、労働安全衛生法第4章「労働者の危険または健康障害を防止するための措置」を中心にみていきます。

労災防止の責任

 労働災害を防止する第一義的責任は、労働者を使用する事業主にあることは言うまでもありません。労災防止のための基準や規則を定めても事業主に守る気がなければほとんど実効性はありません。
 その意味では、労働者の安全衛生を確保するために必要な措置を事業主に義務づける第4章は、労働安全衛生法で最も重要な部分と言えます。
 会社に労災防止の措置を確実に行わせるためにもこの部分はしっかり覚えておいて損はないと思います。
 労働安全衛生法が定める事業主の講ずべき措置の具体的内容は、技術的細部にわたることも多く、その大部分は厚生労働省令に規定され(2100か条以上)、その内容を理解することは簡単ではありません。

事業主の義務

 20~22条は、事業主に対して次の危険や健康の防止措置を義務づけています。

(1) 機械・器具・設備による危険、爆発性の物・発火性の物・引火性の物などによる危険、電気・熱・引火性の物などによる危険

(2) 掘削・採石・荷役・伐採などの業務の危険、墜落や土砂崩落のおそれのある場所の危険

(3) 原材料・ガス・蒸気・粉じん・酸素欠乏・病原体などによる健康障害、放射線・高温・低温・超音波・騒音・振動・異常気圧などによる健康障害、計器監視・精密工作などの作業による健康障害、排気・廃液・残滓物による健康障害

 (1)は、プレス事故、足場崩落事故、塗料の爆発、配電盤接触による感電など。(2)は、トンネル掘削中の土砂崩壊、採石作業中の落石など。(3)は、電池製造時の鉛中毒、有機溶剤作業の蒸気吸引、マンホール内作業の酸欠、チェンソー作業による振動障害、計器監視による視力障害などがその具体例となります。
 こうした労働災害を防止する措置を講ずることを義務づけているわけです。
 また23条では、就業場所の通路・床面・階段の保全、採光・照明・保温・防湿、休養、避難・清潔に必要な措置など労働者の健康保持のための措置を義務づけています。
 具体例としては、山積みされた荷の上での作業、油で汚れたタイル上での作業などでの労災事故を防止するための措置規定です。
 24条は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を義務づけています。具体例は、同じ姿勢による腰痛や急な動作の反動による脱臼などです。

危険急迫の退避

 今ひとつ、重要な規定として25条は、労働災害発生の急迫した危険があるときは、事業主は、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させるなどの必要な措置を講じることを規定しています。
 25条は、20~24条と比較すると生々しい規定です。もともと国会に法案が提出された際、25条はありませんでした。しかし「労働者の退避権」が議論になり、最終的に「事業者の退避させる義務」として新たに25条が設けられることになったそうです。
 重要な規定なので繰り返しますが、労働災害が発生する急迫した危険があるときは、事業主は、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる義務があります。当然と言えば当然の規定ですが、労働者の生命と健康を守るためにも、この規定(条文)だけは覚えておいて欲しい。
 その後、25条の2に「救護に伴う労働災害の防止の措置」が追加され、建設業などで爆発や火災などが生じた場合、労働者の救護に際しての労災発生を防止するために、救護に必要な機械などの備え付け、管理が義務づけられました。
 また労働契約法第5条は、「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする(安全配慮義務)」を定めています。損害賠償責任も負います。
ちば合同労組ニュース 第95号 2017年06月1日発行より

「会計年度任用職員制度」反対の声を

職場からの報告

「会計年度任用職員制度」反対の声を

 現在、地方自治体で任用(雇用)されている臨時職員や非常勤特別職員の多くは2020年度から新制度の「会計年度任用職員」に移行することが決まっています。
 ですが、その中身はほとんど知られていません。私が先日、参加した学習会で教えてもらった中身をいくつか紹介します。
 それは、長年にわたる非正規公務員の闘いによってかちとってきた権利や労働条件を破壊し、全面的に公務員の非正規化を推し進めるものです。早急に研究や分析を進め、認識を深めて闘いの指針を打ち立てていくことが必要だと思います。
1「フルタイム制度」と「パートタイム制度」で、給与体系と手当に差をつける。双方とも賃金は「報酬」扱いにして、いわゆる生活給の要素をなくす。期末手当も一部支給可能としている。
21日あたりの勤務時間が5分でも短い場合は「パートタイム型」の適用になる。
31年毎に再採用するという考え方になるので、毎年試用期間が設けられる。この期間中は雇いどめされる可能性が高くなるし、何年たっても時給はあがらないかもしれないし、その「権利」さえなくなってしまう。
4新制度に移管することによって犬猫飼育の指導員や学校保育専門支援員などの「非常勤特別職」が現在は持っているスト権や団体交渉権などが失われ、労働協約や毎年の継続雇用の「期待権」もなくなってしまう。
 ……こうしてみると、新制度は「待遇改善」どころか毎年の非正規職員の雇いどめが大量に行われる可能性が出てきています。民営化・民間委託化と一体で進めば、正規職員はごく一部の幹部とその候補だけになってしまいます。
 現在でも支給させている交通費や夏期・冬期の一時金などの手当の支給や、労働条件について、これを低下させない取り組みが必要です。わからないことや現場の状況について組合までお知らせください。(T分会)

ちば合同労組ニュース 第95号 2017年06月1日発行より

実践的に考える職場と労働法 意外に知らない労働・社会保険

実践的に考える職場と労働法

意外に知らない労働・社会保険

1日限りの雇用でも労災保険は給付されます

 わりとよく聞かれるテーマなので労働保険・社会保険の加入についてまとめてみます。労働保険は労災保険と雇用保険、社会保険は厚生年金と医療保険(健康保険)、介護保険を指します。5つをまとめて「広義の社会保険」と呼ぶこともあります。
 労働保険の適用は、事業所単位で正社員、パート・アルバイトを問わず労働者を一人でも雇用していれば業種・規模を問わず適用事業となり、事業主は加入手続きを行い、労働保険料を支払わなければなりません。NPOや個人事業主も加入義務があります。例外は、別の制度がある公務員や、小規模な個人事業主の農林水産業(暫定任意適用)だけです。

労災保険

 一人でも雇用すれば加入義務がありますが、実際には中小企業を中心に未手続きの事業所は相当あります。労災申請をしようとしたら未加入のケースはありえます。もちろん労働者に過失はないので労働者は保険給付を受けることができます。その場合、事業主は保険料や追徴金、給付費用の徴収を受けます。罰則もあります。
 労災保険料は全額を事業主が負担します。労災事故の発生率などで保険料率が決まるので金属・石炭鉱業と新聞・金融業では35倍以上の差があります。労災事故が生じると保険料が上がり、事故がないと下がる仕組みなのでしばしば労災隠しが発生します。
 保険料は年度ごとに会社が払った賃金総額に保険料率を掛けて事後精算する仕組みなので、きちんと契約書を交わさないような1日だけの雇用でも手続き上は問題なく労災事故になれば保険給付は行われます。たとえ不法就労者でも保険給付は行われます。中小事業主や一人親方には特別加入制度もあります。

雇用保険

 雇用保険は、従業員5人以下の個人経営の農林水産業などが任意適用となりますが原則として労働者を雇用する事業所はすべて対象となります。
 適用事業所で働く労働者で、一般被保険者の対象となるのは、週20時間以上で1か月以上働く見込みがある労働者です。アルバイト・パートでも週20時間を超えれば雇用保険に加入できます。
 ただし学生や別の制度がある公務員は適用除外となります。雇用保険では、一般被保険者のほかに、65歳以上の高年齢被保険者、季節労働者などの短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者などがあります。
 雇用保険料は労使折半で、労働者の負担分は賃金の0・3%(農林水産・建設は0・4%)です。事業主は同額+αを支払います。65歳以上の保険料は現在免除(保険給付は行われる)。日雇被保険者は一般保険料+印紙保険料を負担します。
 雇用保険財政は現在、空前の黒字で積立金は6兆円余。実は01年頃は破綻寸前でした。小泉政権は支給率や支給日数を大幅カットし、さらには自己都合退職者の受給資格を退職前半年勤務から1年に延長しました。これで資格取得のハードルが一気にアップ。1970年代半ばに5割を超えた雇用保険の受給率は2割を割り込みました。
 こうしてリーマンショックで大量失業が生じても雇用財政はまったく揺らがず今や積立金が6兆4000億円を超えるに至ったのです。

厚年・健保

 厚生年金と健康保険の適用事業は、すべての法人、国・地方公共団体、5人以上を雇用する個人事業主が該当します。農林水産など第1次産業、理容・飲食・旅館などの接客業など一部業種は5人以上でも適用除外となります。
 70歳未満の労働者は原則として強制加入です。日雇労働者や季節労働者、臨時の事業所で働く人は適用除外となります。
 短時間労働者は、通常労働者の4分の3以上の日数・時間で働く人は適用されます。さらに、501人以上の事業所では、20時間以上+賃金8万8000円以上の労働者も適用となります。
 いわゆる「130万円の壁」とは、年収がこの額を超過すると配偶者の扶養からはずれることです。職場の健康保険と厚生年金に加入できない場合は、国民健康保険や国民年金(16340円)の保険料の支払いが必要になることを指します。また年収103万円を超えると配偶者の扶養控除がなくなり、住民税・所得税が増えます。
 保険料は労使折半で、健康保険料の労働者負担分は賃金の約5%、厚生年金は9%強です。40~65歳の介護保険料は健康保険料と一緒に徴収され、労働者負担分は1%弱です。
 保険料は原則として労使折半で賃金から天引きとなります。労働保険・社会保険料が約15%天引きされ、さらに住民税と所得税も加えると手取りは額面賃金の75~80%になるはずです。(S)

ちば合同労組ニュース 第94号 2018年05月1日発行より

実践的に考える職場と労働法/有給休暇は労働者の権利

実践的に考える職場と労働法

年休ちゃんと使ってますか?

年次有給休暇は法律で定められた労働者の権利

 皆さんは年次有給休暇(年休)をちゃんと使っていますか? 意外に細かいルールを知らない人も多いと思います。
 年次有給休暇とは、その名の通り「有給」で休むことができます。つまり休んでも賃金が減ることがない休暇です。厚生労働省は「一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇」と解説しています。

●法律上当然に発生

 年休が発生する条件は、

①働き始めた日から6か月経過していること
②その期間の全労働日の8割以上出勤したこと

 ――この2要件を満たすことで法律上当然に労働者に生ずる権利です。会社の裁量で与えるものでも労働者が請求して発生するものでもありません。必ず発生します。
 最初に年休が発生した日から1年が経過すると、それまでの1年のうちに8割以上出勤していれば今度は11日間の年休が発生します。その後も同様に②の要件を満たすことで最大20日間の年休が発生します。
 労働時間が少ないパート労働者にも年休は発生します。労働日数による比例付与となり、例えば週4日なら7日の有休からスタートして最大15日が発生します。
 年休を使わずにいると発生から2年で時効消滅します。
 例えば2017年4月1日に入社した人なら17年10月1日に10日、18年10月1日に11日分の有休が発生します。しかし最初に発生した10日の有休をまったく使わずにいた場合、2年の時効に当たる19年10月1日に消滅し、同時に12日間の年休が新たに発生します。
 年休は発生日から2年以内であれば繰り越すことができるので、上記の例であれば、19年10月1日に10日間が時効消滅し、11+12日の年休の権利を持つことになります。

●理由は必要なし

 年休は労働者の「休む権利」なので休む理由は自由です。申請書の提出などが必要な場合でも「私用」と書けば問題ありません。実際は、冠婚葬祭や病気など「遊ぶ以外の用事」がなければ年休が請求しにくい職場も多いですが、法律上は「理由を会社に伝える義務はない」と言えます。
 裁判でも「年休の利用目的は労基法は関知しない。年休をどう利用するかは使用者の干渉を許さない労働者の自由」となっています。
 原則として労働者が指定(請求)した時季に使用者は年休をを与える必要があります。「時季指定権」と言います。
 他方で法律は「ただし、請求された時季に年休を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季に与えることができる」と規定しています。会社側の「時季変更権」です。
 ちなみに時季となっているのは「バカンスのように季節的であることが望ましい時期」ということらしい。あまりピンときません。
 会社はいつでも変更できるわけではありません。時季変更権の行使の適否は、事業の内容・規模、労働者の担当業務、事業活動の繁閑、他の労働者の年休とのとの調整など様々な要因を考慮して判断されることになります。
 使用者は労働者の希望が実現できるように配慮が求められ、いつも要員ギリギリで「君が休むと操業できない」は理由になりません。

●様々な付与の方法

 労使協定により時間単位で使えるようにできます。
 同じく労使協定により5日を超える年休について、協定で定めた時季に使えるようにできます。①一斉休業方式、②班・グループの交替休業方式、③年間計画表による個人方式などがあります。この場合、時季指定権・変更権は共に消滅します。

●年休中の賃金

 年休の期間・時間の賃金は次の3つのいずれかです。

 ①平均賃金
 ②通常の賃金
 ③健康保険の標準報酬月額の30分の1(労使協定)

 分かりやすいのは②で実際に労働したものとして扱う賃金の支払い方式で、実際、最も一般的なケースです。

●皆勤手当はどうなる?

 厚労省の調査では皆勤手当は全企業の3分の1以上で制度化されています。年休を使うと「休み」として扱われ皆勤手当がなくなると思われがちですが、年休を使った人の皆勤手当を減らしたり、支給しないことは違法です。
 労基法附則136条は、年休を取得した労働者に対して不利益取扱い(精皆勤手当や賞与の減額、欠勤扱いとすることによる不利な人事考課など)は禁止しています。ただこれについて罰則は設けられていません。

●労働基準法に違反

 年休は、労働基準法39条が定める労働者の権利です。労働者に年休を与えなかったり、取得を拒否すれば、労基法違反です。違反は「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科せられます。

▼年休を使った日の分に決められた賃金を払わない
▼正当な理由もなく会社が時季変更権を行使し、年休を取る日を変更させる
▼年休取得日に出勤を命じる

――などはすべて違法です。(S) 

ちば合同労組ニュース 第93号 2018年04月1日発行より

雇用破壊の大攻撃に対抗し無期転換めぐる闘いへ

雇用破壊の大攻撃に対抗し無期転換めぐる闘いへ

 いよいよ4月1日から無期雇用転換制度が始まります。すでに雇い止めなどの記事がかなり出ています。ちば合同労組は、動労千葉と共に無期転換問題連絡会をつくり、「労働組合に入って無期転換を申し込もう」「雇い止めや試験制度と闘おう」「無期転換後の労働条件を改善しよう」と訴えています。
  ※
 ところで厚生労働省が発行している『無期転換の準備、進めていますか?~有期契約労働者の円滑な無期転換のためのハンドブック~』を読むと、露骨に〝多様な正社員への転換〟〝従来の「正社員」と役割や責任を明確に区分〟と書いてあります。
 無期転換制度はそれ自体の政策意図は、いわゆる「限定社員」「準社員」を創出して、外注化や分社化、転籍などと一体で正社員・正規雇用と置き換える大変な攻撃です。安倍政権の進める「働き方改革」の核心をなす攻撃です。
 ハンドブックによれば、多様な正社員とは、勤務地や労働時間、職務などの労働条件に制約を設けた正社員です。
 厚労省や政府の様々な検討会議では、御用学者や使用者側の人間が〈事業所の移転や縮小で容易に整理解雇できるようにすべきだ〉と主張し、特に限定社員や準社員については、事業所の撤収や業務の縮小は解雇の合理的理由となるなどと議論しています。

高齢者雇用と外注化

 無期転換を考えるに際し参考になるのが高齢者雇用問題です。01年から年金の支給が段階的に65歳からの支給となり、高齢者雇用確保法などによって65歳までの再雇用や定年延長が法制化されました。さらには雇用保険の高齢者雇用継続給付などにより、低賃金の60~65歳の労働者約150万人が新たに創出されました。
 雇用保険の高齢者雇用継続給付は、定年前賃金と比較して61%以下に低下した場合、60歳以後の各月の賃金の15%を雇用継続給付金として雇用保険から支給します。例えば、定年前に賃金30万円だった人が定年後に18万円で再雇用された場合、2万7千円を支給するというものです。
 こうした政策誘導もあって各企業は再雇用者の賃金を3~4割カットし、さらに50代半ばの賃金大幅減額にも踏み込み、50~60代の低賃金労働者が大量に創出されました。
 しかも話はこれにとどまりませんでした。例えばJR東日本では、1980年代の国鉄分割・民営化の前に採用された大勢の労働者が退職期を迎えたため、それをグループ会社に再雇用して、鉄道業務の外注化(アウトソーシング)を進めたのです。
 NTTでは65歳までの定年延長とセットで50歳で地域子会社に転籍させ、しかも賃金は15~30%減額したのです。再雇用を利用して、大幅な賃下げによる人件費削減、そして分社化と転籍を押し進めたのです。NTTは数百のグループ企業に再編され、雇用形態も文字どおり〝多様〟となったのです。NTTでは壊滅的な雇用破壊が進みました。
 高齢者雇用継続制度は、外注化や分社化、転籍とセットとなることで外注化や分社化、転籍の導水路となり、やがては現役世代の雇用の破壊につながる問題でした。

無期転換で何が起きる

 無期転換制度の対象者は約1500万人とも言われます。単純計算でも高年齢労働者の10倍の規模です。個々の無期転換をめぐる問題を超えて全社会的に何が起きようとしているのか?
 いまあらためて動労千葉の闘いが重要だと思います。動労千葉が21世紀冒頭から十数年闘っている外注化は、退職者の雇用確保と引き換えに鉄道業務の外注化(やがては転籍と分社化)への協力を労働組合に迫る攻撃との闘いでした。動労千葉は数十人の退職組合員に対する再雇用拒否=解雇の攻撃を受けながらも外注化を阻止してきました。
 数年前に外注化の突破口は開かれましたが、闘いは継続し、外注先のJR千葉鉄道サービス株式会社(CTS)において労働組合を組織化する闘いに入っています。
 外注先のCTSでは、無期転換制度の開始前に就業規則を改悪し、選抜試験に合格した者だけの無期転換を認める超悪質な攻撃と闘い抜き、希望者全員の無期転換をかちとりました。現在、JR東日本のグループ企業では軒並みCTSと同様の取り扱いになっています。闘いの大きな地平です。
 無期転換は、外注化や分社化と一体となって正規雇用を〝多様な正社員〟〝限定社員〟〝準社員〟に全社会的に置き換える究極の雇用破壊攻撃です。安倍首相の言う「非正規という言葉をなくす」の意味するところです。

雇用破壊との闘いを

 30数年に及ぶ新自由主義の核心は、米レーガン、英サッチャー、中曽根に典型なように労働組合(労働者階級)を徹底的に攻撃して、賃金を抑制し、正規雇用を破壊することにあります。
 現代世界の労働者階級の状態は、この問題をハッキリさせなければ絶対に把握できません。「無期転換」「働き方改革」は、そういうレベルでの日本の労働者階級の歴史的な状態をめぐる攻防なのです。
 だからこそ無期転換に対して全力で立ち向かわなければなりません。動労千葉は、外注化阻止と一体で闘ったCTSの無期転換をめぐる闘いを全国に拡大したいと訴えています。ちば合同労組と一緒に「無期転換問題連絡会」をつくって、〝労働組合に入って無期転換を申し込もう〟を広く呼びかけることになりました。これは新自由主義の雇用破壊に対して労働組合を復権する歴史的挑戦です。
 20世紀初頭、英ロンドン港の港湾労働者のストライキから一般労組(ゼネラルユニオン)が生まれました。当時の英国では、労働組合の加入資格は熟練工に限られていました。大半の労働者は労働組合の蚊帳の外でした。その典型が港湾労働者で、百人の応募者をケンカさせ腕っ節の強い10人が仕事にありつくような状況でした。
 「このままでいいのか」との訴えから歴史的なストライキが始まりました。当初、労働者の敗北は必至と思われていたのですが、多額のカンパと世論の支持が集まり、ほとんどスト破りもなくストは勝利。現在でも英国最大の労働組合である運輸一般労働組合はこの時に誕生したのです。
 そんな労働組合の復権闘争として、動労千葉の国鉄分割・民営化反対闘争の継続=外注化阻止闘争と一体で無期転換をめぐる闘いに、ちば合同労組も取り組みます。(S)

ちば合同労組ニュース 第91号 2018年02月1日発行より

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無期転換 Q&A(1-6)

無期転換 Q&A

【Q1】いつから無期転換の申し込み?

 次の3つの要件で、無期転換申込権が発生。①有期労働契約の通算期間が5年を超える場合、②契約の更新回数が1回以上、③現時点で同一の使用者との間で契約している。
 契約期間が5年を経過していなくても、契約期間が3年の有期労働契約で1度の更新を行えば、通算契約期間は6年となるため、4年目ですでに無期転換申込権が発生する。通算期間のカウントは13年4月以降に開始した労働契約が対象。

【Q2】自動的に無期雇用転換されるのか?

 労働者が自ら申し込むことが必要。無期転換申込権が発生した場合に、その契約期間の初日から末日までの間に、労働社の側から申し込む。使用者には拒否権はない。無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、労働社に無期転換申込権を放棄させることは違法となる。
【Q3】申込みは口頭で良いのか?
 申込みは、口頭でも法律上は有効。しかし、口頭での申込みは、〈言った、言わない〉の争いが生じやすいので書面で申し込んだほうがよい。できれば連署で集団申請。労働組合サポートすることも重要。

【Q4】通算期間のカウントの仕組みは?

 同一の使用者との間で締結された2以上の労働契約期間を通算。ただし13年4月以降に開始した労働契約から。育児休業や介護休業で勤務しなかった期間も労働契約が継続していれば通算期間にカウント。無契約期間(空白期間)があってもクーリング期間に該当しない場合にはカウントできる。

【Q5】クーリング期間とは?

 無契約の期間が一定の長さになると通算契約期間がリセットされる。無契約の空白期間の前の通算契約期間が「1年以上」の場合は6か月以上、「1年未満」の場合はその半分以上です。

【Q6】無期転換の対象者は?

 期間の定めのある労働契約=有期労働契約で働く労働者は基本的にすべて対象。パート・アルバイト・契約社員・準社員・パートナー社員・派遣社員など、さまざまな名称であっても、契約期間に定めのある場合は、その名称にかかわらず、すべて無期転換の対象となる。国家公務員・地方公務員など労働契約法が適用されない労働者は対象とならない。また専門的知識等を有する労働者(高度専門職)、定年退職後に引き続き再雇用された「継続雇用の高齢者」については、特例で適用除外となっている。また大学等の研究者・教員は10年ルールの特例となっている。

ちば合同労組ニュース 第91号 2018年02月1日発行より

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