実践的に考える職場と労働法/労働組合の活動に関する法律

実践的に考える職場と労働法

「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」の3つの権利を保護

 労働組合の活動に関する法律

 現行法上、労働組合は様々な法的保護を受けています。これは、労働組合が、団体交渉を通じて労働者の労働条件や経済的地位を向上させる機能を承認されており、それを促進するため法律によって一般の団体とは違った特別な地位を与えているからです。
 労働組合への法的保護を定めた最も主要法規は労働組合法です。その基礎をなすのが憲法28条です。憲法は次の3つの権利を保障しています。
 1労働者が団結する権利(団結権)、2労働者が使用者と交渉する権利(団体交渉権)、3労働者が要求実現のために団体で行動する権利(団体行動権)。
 労働組合法は労働組合を次のように規定しています。「労働者が、労働条件の維持改善を主な目的として、自主的・民主的に運営する団体」。
 賃上げや一時金について会社と交渉することは「労働条件の維持改善」です。配転や解雇、懲戒処分など個々の問題について労働組合が交渉することも「労働条件の維持改善」に当ります。会社内に限らず、政府に対し政策の実現を要求したり、反対するなどの政治的社会的活動も労働者の経済的な地位向上を図るため組合に必要な活動です。
 労働条件の維持改善のためには使用者との交渉が必要です。労働組合法は、労使対等の理念に基づく団体交渉の助成、それのための団結(労働組合の結成・運営)や団体交渉の擁護というスタイルになっています。
 この目的規定に沿って労働組合法は、刑事免責や民事免責を規定して組合活動に伴う法的責任を免責し、さらには法人格の付与、不当労働行為救済制度、労働協約の法的効力などを規定して、労働組合に対して団体交渉を援助するための積極的な保護を与えています。
 労働組合法は、事務職や技術職、あるいは正社員や契約社員・パートなど、職種や名称は異なっていても、他人に使用され、賃金によって生活している人は誰でも「労働者」と該当する規定しています。個人請負や一人親方、失業者も労働組合を結成・加入することは可能です。プロ野球やサッカーの選手会も労働組合として労働委員会や裁判で認められています。
 労働者は誰でも、公的機関の許可や届出なく労働組合を自由に設立できます。ただ労働組合法の保護を受けるためには一定の条件が必要です。
①労働者が主体となって組織している
②自主的に運営している。
③主な目的が労働条件の維持改善である。
④組合員の差別的扱いをしない、総会を少なくとも毎年1回開くなどの規定を明記する。
 逆に、使用者の利益代表者が参加したり、使用者から経済的援助を受けると労働組合として認められません。ただ最小限度の事務所の提供や、勤務時間中の協議・交渉は、これにあたりません。
 労働組合が、不当労働行為の救済を労働委員会に申し立てて救済を受ける場合は、上記の要件を満たすかどうかの資格審査が必要となります。

労働組合の活動

 労働組合は、使用者との団体交渉を通じて労働条件の維持改善を図ります。労使双方が合意すれば労働協約を締結します。合意に至らない場合には、争議行為を行います。
 団体交渉を行うには、通常、まず労働組合が、調査や会議を通じて組合員の実態や要望を把握し、労働組合としての要求にまとめます。その要求を使用者側に通知し、団体交渉を求めます。
 使用者は、正当な理由なく団体交渉を拒否できません(7条2号)。また、使用者は単に交渉に応じるだけでなく、労働組合からの要求を検討し、使用者として受け入れられない場合でも、その理由・根拠を示すなど誠実に対応しなければなりません。誠意をもって交渉にあたることが義務付けられています。
 団体交渉の結果、労使間で合意した事項を書面にし、双方の代表が署名または記名押印したものを労働協約といいます(14条)。
 労働協約は、労働者と使用者が個々に結ぶ労働契約や、就業規則よりも強い効力が認められています(16条)。使用者は、労働組合員を労働協約で定めた労働条件に従って雇用しなければなりません。
 労働組合は、争議行為によって要求を実現させることがあります。労働者には「労働者が要求実現のために団体で行動する権利〈団体行動権(争議権)〉があります。争議行為の目的及び手段・方法が正当であれば、刑事上の処罰を免除され(1条2項)、民事上の責任(損害賠償)も免除されます(8条)。
 労働組合の行う代表的な争議行為には、組合員が団結して労務の提供を拒否するストライキ)、意識的に作業能率を低下させる「怠業(サボタージュ)」などがあります。

ちば合同労組ニュース 第88号 2017年12月1日発行より

無期転換制度,来年4月 400万人以上が対象に

労契法18条 無期転換制度

来年4月1日 400万人以上が対象に

 来年4月から労働契約法のいわゆる「5年ルール」=無期転換が始まります。
 有期雇用労働者1500万人のうち3割が5年以上、同一企業で働いていると言われています。5年ルールが適用されれば、400万人以上が無期転換の対象となると言われています。
 ところがトヨタやホンダなど自動車大手などの大企業が6か月の空白期間を設けて、無期転換を阻止していたことが明らかになりました。
 18年3月31日を前にして、無期転換を回避するための大量の雇い止めが起きようとしています。10年、20年も同じ職場で働いてきた労働者が突然、雇止めを通知されたり、「辞めろ!」というパワハラや自主退職を促すケースが増えているそうです。
 各地の合同労組やユニオンで雇止めをめぐる争議が勃発しています。来年に向けて加速することは必至です。

大学での攻防

 ちば合同労組ニュース9月号でも掲載したように、無期転換問題は、全国で10万人の非常勤職員が働く大学が「焦点」となっています。その後の動きをまとめました。
 東北大学では、5年を越える契約更新ができないように就業規則を変更。無期雇用の正職員への採用試験では、821人中131人が不合格(690人が合格)。合格者は、医療職や教授秘書などが多く、不合格者は、事務職が多いと言われています。事実上の雇止めです。
 東京大学については、この間の団体交渉の結果、5千人の非常勤職員に設けられた6か月間のクーリング期間(「東大ルール」と呼ばれた就業規則の変更)の撤回を表明。しかし、5年以上の雇用を継続するためには試験をパスしなければなりません。来年度の雇止めが依然予想されます。予断は許さない状況です。

具体的な運動を

 もちろん無期転換は、非正規にとって〈雇い止めされる心配は解消される〉という点では一歩前進です。しかし、万事がOKではありません。
 郵政では「アソシエイト社員」という〈雇用は無期だが、待遇はずっと非正規のまま〉 という労働者が8万人も生みだされました。
 働き方改革のモデル職場としてマスコミに取り上げられたクレディ・セゾン社では、非正規2200人に正社員並の能力と仕事量を求めているそうです。職場は正社員も非正規社員も含めた激しい競争に置かれています。
 ちば合同労組は、スローガンだけではなく具体的な運動を展開したいと考えています。動労千葉は、JR千葉鉄道サービス(CTS)において、ストライキを含む闘いによって全員の無条件の無期転換を実現しました。
 私たちの回り、職場や地域、家族で5年を越えて働く仲間がいるはずです。しかし、労働者の「84%が無期転換を知らない」(8・28付日経新聞)状況です。
 他方で無期転換の申し出を真剣に検討・苦悩している労働者もたくさんいます。労働組合の大切さや意義を広く知ってもらい、労働契約法をも最大限駆使し、闘いをつくりだしていきたいと思います。(組合員K)
ちば合同労組ニュース 第88号 2017年12月1日発行より

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保養スタッフ募集

 避難プロジェクト千葉は来年1月3~6日、千葉県南房総市岩井・民宿小池荘にて冬休み保養を行います。福島より9家族を迎えます。ボランティアスタッフを募集しています。ぜひご参加ください。お問い合わせは組合まで。

実践的に考える職場と労働法 大焦点「働き方改革」一括8法案

実践的に考える職場と労働法

「生産性向上」で労働法・雇用政策を大転換

 「働き方改革」一括8法案

 解散・総選挙情勢ですが、改憲と並ぶ大焦点が「働き方改革」一括8法案です。安倍首相は「成長戦略」の残された突破口として「働き方改革」を位置づけています。
 「働き方改革」法案は、3月28日に決定された「働き方改革実行計画」に基づいて法案化されています。日本経済再生に向けた「一億総活躍(労異動力の総動員)」として多様で柔軟な働き方を選択できるようにするとして戦後雇用政策の大転換を打ち出し、さらには生産性向上を究極の目的として掲げています。

8時間労働の抹殺

 「残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)」は、07年の第1次安倍政権が提出を断念したホワイトカラーエグゼンプションです。米国ではホワイトカラー労働者の労働法適用を除外する制度で、狭義には労働時間規制の適用除外ですが、それにとどまらない重大性があります。ですので「残業代ゼロ」は正確な批判ではない面もあります。
 法案には「労働基準法第4章で定める労働時間、休憩、休日、深夜の割増賃金に関する規程は、対象労働者については適用しないものとする」と明示されています。労働基準法の労働時間の規定が丸ごと適用除外になることは本当に大変な問題です。
 適用除外の対象業務は、法案には〈業務に従事した時間と成果との関連性が高くないと厚生労働省令で定める業務〉としか書いてありません。
 また裁量労働制とも違って使用者は労働者に業務命令・指示ができるので「朝までにこの仕事を仕上げろ」と指示ができ、深夜割増も残業代も必要なくなります。
 具体的な適用要件は、平均給与額の3倍を上回る水準と規定されているだけです。経団連はかつて年収400万円以上は残業代ゼロが望ましいと主張しました。
 これとセットで「残業時間の罰則付き上限規制」が法案化されています。〝残業規制〟とはまったく逆で、36協定制度をさらに無意味化し、過労死ライン80時間を超える百時間の残業を合法化するものです。労災保険での過労死の認定基準は80時間です。「百時間未満」が法律に明記されれば、過労死・過労自殺について企業は「法律の範囲内で責任はない」と主張できます。

裁量労働制の拡大

 企画業務型裁量労働制の対象の大幅な拡大も盛り込まれています。企画業務型裁量労働制の対象に「事業運営に関する実施管理業務」と「課題解決型提案営業」を新たに加えます。管理職と営業職の大半が対象になりえます。
 過労自殺が起きた電通では3分の1の社員が対象になるとも言われ、悪用されている「名ばかり管理職」「定額固定残業制」は軒並み合法化され、企業の裁判リスクはほぼなくなるとも指摘されています。

個人請負化を推進

 新たに急浮上したのが雇用対策法の大幅な変更です。雇用対策法の目的に「多様な事情に応じた就業」「労働生産性の向上」を盛り込み、国の施策として「多様な就業形態の普及」を位置づけます。これは戦後の雇用政策の大転換です。
 雇用対策法は、雇用政策の基本法として位置づけられる法律で、憲法の勤労権に基づき国の責務による雇用保障や失業対策を定めた法律です。 法案では、雇用対策法の名称を「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用安定及び職業生活の充実等に関する法律」と変更し、働き方改革の理念を体現する基本法として位置づけています。
 経産省の「『雇用関係によらない働き方』に関する研究会報告書」は、「兼業・副業」「フリーランサー」のような「時間や場所、雇用契約にとらわれない柔軟な働き方」が必要だとして、労働者の個人請負化を打ち出しています。
 「労働力をシェアする」との宣伝文句で〈クラウドソーシング〉が話題です。ネットで労働者と業務発注者をマッチングし、働き手と企業の両方から手数料を得るという事業です。企業と働き手の業務契約は個人請負契約。労働基準法も最低賃金法も適用されない究極の雇用破壊です。
 雇用対策法をこうした方向に転換し、社会保障制度や教育訓練システム、税制なども含めて抜本的に変えるべきと主張しているのです。

雇用の徹底破壊

 「多様で柔軟な働き方」の文脈で、地域・職務・時間限定社員を導入するために「同一労働同一賃金」が強調されています。
 「個人請負も含めた多様な働き方を用意するから働ける時にはそれなりに働け。同じ労働時間や同じ内容なら同じ賃金を払う。能力や成果に違いあれば賃金に反映させる」というのです。「非正規雇用の待遇改善」「同一労働同一賃金」の名のもとに雇用を徹底的に破壊しようとしているのです。
 「働き方改革」法案は、ひとことで言えば、雇用と賃金、労働条件を徹底的に破壊しながら、「労働力の一億総動員」「生産性向上」を至上命題として、戦後労働法制と雇用政策の大転換を狙うものです。
ちば合同労組ニュース 第87号 2017年10月1日発行より

改憲、労働法制改悪反対9・30千葉集会

改憲、労働法制改悪反対9・30千葉集会

〝職場から戦争反対を〟

 千葉市民会館で9月30日、ちば合同労組や動労千葉などの呼びかけで「改憲と労働法制改悪に反対する9・30千葉集会」が行われました。この間の地域集会として最大規模の140人が集まりました。
 諸町委員長が主催者あいさつ。戦争と改憲への信任を迫る安倍政権の総選挙情勢に立ち向かおうと訴えました。
 ゲストスピーカーは「日の丸・君が代」不起立を闘った東京都の元教員の根津公子さん。「戦争と関係のない職場はない。とりわけ学校職場は戦争と直結している。だからこそ戦争反対の仕事ができる」と語ってくれました。
 「職場から戦争協力拒否を」と題し4労組が登壇。
 動労千葉が11・5労働者集会の結集をアピール。船橋の病院労組が賃下げや勤務日数の増加などの労働条件の大改悪との闘いを報告。ユニオン習志野は組合結成の経緯と労働委員会闘争の報告を行いました。介護職場分会は、労働者や利用者の権利破壊と戦争は一体の問題と訴えました
 三里塚芝山連合空港反対同盟や内房線と地域を守る会、高校生や大学生、市民団体などの発言を受け、11・5日比谷野音集会への結集を確認しました。

ちば合同労組ニュース 第87号 2017年10月1日発行より

東京大学で8千人を雇止め 18年無期転換めぐり焦点化

東京大学で8千人を雇止め
18年無期転換めぐり焦点化

 「450万人の衝撃 無期雇用、迫る新ルール」。〈最低賃金の正社員〉が社会に膨大に生みだされようとしている――8・9日経新聞が実態を暴露した。郵便局では8万人の「アソシエイト社員」という形で進む。東京大学での約8千人の雇い止めが大きな波紋を呼んでいる。

トップ大の大量解雇

 2018年4月からの労働契約法施行に伴う「無期転換」 に際して、東京大学当局は、長年働く470人は無期転換するが、約8千人の有期雇用の教職員を雇止めすることを明らかにした。
 雇止めの対象となるのは、①「短時間勤務有期雇用教職員」と呼ばれる大学の事務や、大学病院での看護スタッフなどの約5300人。②「特定有期雇用教職員」と呼ばれる特任の准教授・講師・助教・研究員や、大学病院などの看護師・薬剤師・医療技術職員など約2700人。これに加えて③東大に通う非常勤講師が1200人。①~③をあわせると1万人を超える。
 これまで東大は有期雇用の教職員について雇用期間「上限5年」と3カ月間のクーリング期間を適用してきた。労働契約法が改定され、3カ月のクーリング期間は認められなくなると、これを6カ月に延長する就業規則改定を実施した(これを「東大ルール」などと呼んでいる)。
 批判の的になるや「無期転換ルールと東大ルールは、考え方が異なる」と言い訳に終始。約1万人の労働者の無期転換権の行使を阻むために、大学自らが労働契約法の脱法・違法行為を行う極めて悪質なものだ。
 東大当局は18年4月から「職域限定雇用職員」という非正規教職員を公募すると発表。毎年秋に実施される試験を受け、それに合格すれば、非常勤ながら定年まで働くことが可能になるという。
 ただし、「専門的かつ高度な仕事をする教職員であり、予算の裏付けがある部署に限っての募集」と言われ、大学にとって採算のとれない部署で働く人は、そもそも対象外だ。
 8千人のうち再び大学に雇用される労働者が何人いるかはまったく未知数。大学と組合側は平行線のままだ。

大学が大きな焦点

 現在、全国の国立大学で働く非常勤教職員は約10万人にのぼる。改定労働契約法が施行された2013年、多くの大学で教職員の無期転換を阻むための「5年上限」が次々に計画された。
 しかし早稲田大学をはじめ上限5年枠撤廃の闘いが各大学で巻き起こり、早稲田では15年秋の和解で3千人が無期転換権を認められた。この結果を見て、5年上限撤廃に転換する大学が増えてきた(千葉大学もその一つ)。
 ただ無期転換をすると発表している国公立大学は90のうちわずか6大学にすぎない。ほとんどの大学が様子見の状態と言われている。東京大学の攻防が、全国の大学や無期転換を控えた450万人の労働者の状況に波及していくのは間違いない。
 東京大学はかつて全共闘運動がもっとも活発に闘われた大学でもある。これ以降も、全国の教職員組合の中心的大学となり、大学における新自由主義化の「抵抗勢力」をなしてきた。これをつぶそうというのが今回の大量雇い止めの狙いだ。
 隣の韓国では、非正規雇用撤廃の先頭に学校における非正規労働者がゼネストの先頭に立っている。教育現場での闘いは非常に重要な位置を占めている。この闘いに注目し、支援連帯の輪を広げたい。
(組合員・K)

ちば合同労組ニュース 第86号 2017年9月1日発行より

改憲・労働法めぐる連合の混乱と流動化/労働運動変革は最前線の課題

改憲・労働法制をめぐる連合の混乱と流動化

労働運動の変革は最前線の課題

 連合の神津会長が7月13日に安倍首相と会談し、連合は「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ法案)の容認に転じました。
 今回の件は、逢見事務局長(UAゼンセン)が主導し、3月末から水面下で交渉を進めていたと報じられています。残業時間上限規制100時間を決めたときも同じ構図でした。逢見が2年前に事務局長に就任し、派遣法改悪などでもずっと同じ手口でした。次期会長は逢見で最終調整が進んでいました。
 これに対して「逢見出てこい」の横断幕を掲げたデモ隊が連合本部を包囲し(写真)、後日の中央執行委員会でも反対と反発が噴出して、連合は残業代ゼロ反対を堅持、逢見は次期会長を断念しました。
 安倍首相の改憲政策の最重要の柱が連合=労働組合対策にあることは間違いありません。安倍首相と逢見が手を握って連合を自民党の別働隊にして改憲翼賛の運動を展開したのです。自民(公明)・維新・小池新党だけでは改憲投票は乗り切れません。
 さらに安倍政権は改憲レベルの問題として戦後労働法制(雇用と賃金)を破壊しようとしています。詳細しませんが、07年労働契約法の制定以来、①非正規のままで無期雇用とか②労働時間規制の撤廃、③金銭解雇制度など戦後的なあり方を根本から覆す労働分野の改憲です。

9条改憲と労働分野の改憲

 いま「人手不足なのに賃金が上がらない」が書籍や記事で話題になっています。
 安倍政権は「雇用者数が増加した。アベノミクスの成果だ」と言っていますが、その実態は65歳以上と中高齢の女性の非正規労働者が増えているだけです。わずかに賃金上昇傾向はありますが、それを上回る勢いで低賃金の非正規雇用が増えているため賃金平均が上がらないのです。
 人口減少問題は大変な問題で、簡単に言えば安倍政権は、正規雇用を徹底的に破壊しつつ限定社員などの非正規で高齢者や女性を総動員し、さらには労働時間規制も撤廃して極限的に〝生産性〟を向上しようということです。
 〝1億総活躍〟〝女性が輝く社会〟は、結婚・出産・育児・介護・病気……労働者の数十年の職業人生を前提にした年功賃金・終身雇用、社会保障制度などを最後的に解体し、若年者・女性・高齢者などをその都度、低賃金でいつでも解雇できる限定社員として動員していこうというもの。いわば「戦後標準モデル」の雇用を文字通り最後的にメチャクチャに破壊しようとしているのです。
 今回の件は、安倍の思い通りにはならないことを示しました。UAゼンセンだけで連合は制圧できない。週刊誌は連合内における製造業と非製造業の対立と書いてますが、その本質は、雇用の徹底破壊と改憲をめぐり、連合内で動揺と混乱、流動が始まったのです。
 地方組織では今回の件で怒りが噴出し、「改憲だけは絶対に止めなければならない」という声が出ています。いまこそ堡塁を守り抜いてきた組合・職場・活動家の点を線につなげ面にするときです。
 労働者の中に募る危機感を現実的な展望のある運動へ転化させよう。労働者が団結して闘うことに信頼を寄せてくれる運動を始めよう。


労働学校へご参加を

テーマ 資本主義とはどういう社会か
日時 2017年8月19日(土)13時~ /講師 鎌倉孝夫(埼玉大学名誉教授)

ちば合同労組ニュース 第85号 2017年8月1日発行より

実践的に考える職場と労働法/育児・介護休業法

実践的に考える職場と労働法

所定労働時間の短縮、残業・深夜業の制限も

育児・介護休業法

 育児・介護休業法は、1育児休業、介護休業の制度、2子の看護休暇、介護休暇の制度、3子の養育や家族の介護を容易にするための残業や深夜業の制限、所定労働時間の短縮などの措置――などを定めています。
 頻繁に制度が変わるので注意が必要です。制度・法律の基本的な知識を知り、有効に活用すれば闘いの大きな武器になると思います。

育児休業制度

 1歳に満たない子を養育する労働者は、開始予定日の前日までに事業主に申し出ることにより育児休業をすることができます。両親ともに育児休業をする場合は、最大で子が1歳2か月まで育休が取得できます。保育所に入れなかったなどの事情があれば1歳6か月まで可能です。
 育休中の賃金支払い義務は規程されていませんが、雇用保険から育児休業給付金が出ます。育休開始前の2年のうち1年以上、雇用保険に加入している労働者が対象です。
 給付額は、一時金などを除く賃金の約3分の2(67%)が支給されます(平均賃金日額×休業日数×67%)。育休開始から半年経過後は50%になります。休業制度と同様に給付金も最大で1歳6か月まで支給されます。
 育休中の健康保険や厚生年金の保険料は免除されます。

介護休業制度

 要介護の状態にある家族を介護する労働者も、2週間前までに事業主に申し出れば育休と同じように介護休業を取ることができます。
 介護休業は、同一家族について3回まで計93日間まで取得できます。介護休業給付金も育休給付金とほぼ同じで最大93日まで支給されます。
 育児・介護休業は、日々雇用労働者は適用除外となっていますが、それ以外はパートや契約社員、派遣社員も取得できます。
 要介護状態とは、病気やけが、高齢などで2週間以上の介護が必要な場合を指します。介護保険法の要介護認定ではありません。対象となる家族は、事実婚を含む配偶者・実父母・配偶者の父母・子、同居かつ扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫です。親以外でもOKです。

子の看護休暇

 小学校に入る前までの子を養育する労働者は、1年間に5労働日まで、けがや病気の子の世話や通院のための休暇を取得できます。半日単位で使うことも法律に規程されています。子が2人以上の場合は10日まで取得できます。
 病気は風邪などの短期で治る病気でも、小児ぜんそくなどの慢性疾患でも特に制限はありません。予防接種などもOKです。
 厚労省の通達では、書面の提出に限定されておらず当日、電話で口頭で申し出ることも可能としています。年次有給休暇と違い、使用者は時季変更もできません。有給・無給の賃金の扱いは法律で規定していません。

介護休暇

 要介護状態にある家族の介護を行う労働者は、1年に5日(2人以上の場合10日)まで介護休暇を取ることができます。こちらも半日単位の利用も可能です。対象家族は、介護休業と同じです。食事介助などの生活介護だけでなく、必要な買い物や書類の手続きでも利用が可能です。

残業の制限

 3歳までの子を養育する労働者、要介護状態の家族を介護する労働者が請求した場合、事業主は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはなりません(育児・介護休業法の規程)。
 また小学校に行く前までの子を養育する、あるいは家族を介護する労働者が請求した場合、事業主は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、残業は、1月に24時間まで、年に150時間までに制限されます。

深夜業の制限

 小学校前の子の養育、家族介護の労働者が請求したときは、上記と同様に、事業主は午後10時から午前5時までの深夜時間帯に労働させてはなりません。

所定労働時間の短縮

 育児休業をしないで3歳前の子を養育する労働者が申し出たら、所定労働時間を短縮し、労働者が働きながら育児を容易にする措置(育児のための所定労働時間の短縮措置)を講じなければなりません。

家族を介護する労働者に関する措置

 介護休業をしていない労働者からの申し出により、所定労働時間の短縮その他、労働者が就業しつつ家族を介護することを容易にするための措置を講じなければなりません。

 ※

 上記の規程は、それまでの雇用期間が1年未満や、週2日以下勤務の労働者は除外などの規程もありますので、注意して下さい。厚生労働省が出している「育児・介護休業法のあらまし」という分厚いパンレットはそれなりに参考になります。

ちば合同労組ニュース 第85号 2017年8月1日発行より

安倍首相改憲明言 〝改憲阻止〟を組合の課題に

臨時国会

安倍首相改憲明言 〝改憲阻止〟を組合の課題に

法定労働時間の適用除外&上限100時間

 安倍首相は6月24日、産経新聞社の講演会で「臨時国会が終わる前に衆参両院の憲法審査会に自民党の案を提出したい」と述べました。
 「自衛隊を憲法にしっかりと位置付け、『合憲か違憲か』という議論は終わりにしなければならない」「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」とも言っています。
 秋の臨時国会は、改憲と労働法制が焦点です。大げさな話ではなく重大情勢です。労働組合として外に打って出る取り組みが必要だと思います。また「働き方改革」関連法案といわゆる「残業代ゼロ」法案が一括法案として国会に提出されることが予想されます。労働法制改悪との闘いも待ったなしです。
 「残業代ゼロ法案」は、労働基準法改悪案としてすでに国会に提出されています。(1)労働時間規制を適用除外とする高度プロフェッショナル制度の創設と(2)企画業務型裁量労働制の営業職への適用拡大――2つの法案です。
 まず(2)の「企画業務型裁量労働制」とは、事業運営に関する「企画、立案、調査及び分析」業務については、一定時間を働いたとみなす裁量労働を認める制度です。
 その対象業務として新たに「課題解決型提案営業」を加えるというのです。その具体的内容と範囲は不明瞭で、法人向けの営業はほぼすべてが対象との分析も。過労自殺が起きた電通(広告代理店)では3分の1の社員が対象になるとも言われています。
 前者の(1)は「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)」。週40時間・1日8時間の法定労働時間規制を適用除外にして、労働時間ではなく「成果」を基準とした働き方にするというものです。つまり個人に課せられた「成果」を達成するまでが〝業務時間〟とみなされることになります。
 労働基準法関連では、ほかにフレックスタイム制の枠を1か月から3か月に拡大するなどの重要な動きもあります。

「働き方改革」関連法案

 これとは別に「働き方改革実現会議」などで議論されてきた、(3)「残業時間の上限100時間法案」やいわゆる(4)「同一労働同一賃金」の関連法案が臨時国会に出てきます。
 労基法36条に基づく36協定には〈1週間15時間、1月45時間、1年360時間〉という限度時間が設定されています。この「時間外労働の限度に関する基準」に基づき労働基準監督署は助言・指導を行う仕組みになっています。
 しかし、労使が合意すれば、弾力措置として限度時間基準を超えた時間数を設定できます(特別(エスケープ)条項)。この例外規定による青天井の36協定に対して労基署は行政指導はできますが、他の要件が整っていれば最終的に届出を受理します。協定が無効となることもありません。
 つまり事実上、労働基準法上の残業時間数には上限がないのが現状なのです。厚生労働省の調査では1か月の特別延長時間の内訳で最も多い時間帯は「70~80時間」でその比率は36・2%。過労死基準である「80~100時間」が16%、そして「100時間超」の会社が5・5%も存在します。その割合は、実は大企業ほど高いのが現状なのです。
  それを今度は上限規制で「100時間未満」にすると言うのです。当初、過労死認定基準80時間が攻防ラインと言われていましたが、朝日新聞6月4日付記事『働き方改革を問う』では、電通事件が転機となりつつも「連合の神津会長には〝100時間未満〟が苦し紛れの最後の手立てだった」という状況だったことが明らかにされています。
 この法案が成立すれば、現在の過労死の労災認定基準が80時間であるにもかかわらず、「100時間未満」が法律で明記されることになり、企業は「法律の範囲内」と主張できるようになります。
 今後の労災認定や労使協定・労働協約、雇用保険の認定基準(残業月45時間以上が連続3か月続けば正当な理由のある自己都合退職とされ、待機期間・給付制限なしで求職者給付が受給できる)などに、悪影響が及ぶことは間違いありません。
 そのほか「同一労働同一賃金」関連法案や、金銭解雇制度なども法案化されます。紙面が足りないので続きは次の機会に。
(書記長)

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労働学校へご参加を

 ちば合同労組では組合として労働学校に団体受講しています。組合員はぜひ参加して下さい。

 テーマ 労働法大改悪について
 日時 7月15日(土)13時~ 講師 片峯潤一(動労総連合書記)
 「労働者の闘争の本当の成果は直接の成功にあるのではなく、労働者の団結がますます深まっていくことにある」(共産党宣言)。階級的労働運動の勝利の展望を提起する。

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ちば合同労組ニュース 第84号 2017年7月1日発行より

共謀罪反対デモ/国鉄集会に1600人

共謀罪反対デモ

国鉄集会に1600人

 国鉄闘争全国運動や動労千葉の呼びかけで6月11日、東京・江戸川区総合文化センター大ホールで国鉄闘争の全国集会が開催され、1600人が集まりました。ちば合同労組も参加しました。国鉄分割・民営化30年を迎え撃ち、国鉄闘争を先頭に労働運動の変革と再生を展望する集会となりました。(写真 上)

 韓国から鉄道労組の代表2人も参加し、午前中には共謀罪反対銀座デモを行いました。(写真 下)

ちば合同労組ニュース 第84号 2017年7月1日発行より

自治体丸ごと民営化へ向かう柏市

自治体丸ごと民営化へ向かう柏市

現場労働者の団結を議論と闘いの基礎に

公営住宅 老朽化が著しい施設は建て替えを前提とせず、築40年以上が経過している4施設については、廃止に向けて段階的に着手します。
私立保育園の整備 必要なサービス量の確保については、私立幼稚園の整備により対応します。公立保育園(23園)のありかたについて、廃止や民間事業者への移行を含めて検討し、送料の縮減を図ります。
小学校 適正規模に満たない小規模校のうち、単学級以下の学校(小学校4校、中学校1校)を対象に、隣接校との集約化(統合)を含めた検討を進めます。
庁舎・出張所 出張所はマイナンバーの普及に伴い、自宅やコンビニで証明書を取得できることから、統廃合も視野に入れて検討します。

「柏市公共施設等総合管理計画(基本方針編)」より

 柏市は3月に「公共施設等総合管理計画(基本方針編)」を策定しました。150㌻に及ぶもので、市の庁舎や出先機関、学校をはじめ建物と道路や水道管などのインフラを部門ごとに列挙して、統廃合や民営化を示唆しています。
 職員の処遇や身分については言及していませんが、この通りに進めば、市の職員として残るのは幹部(候補)職員だけとなり、それ以外の大半の公務員は雇用の期限付きの非正規職員や民間の労働者に置き換えられることは、容易に想像がつきます。
 運営方法としては民間施設への転用・活用が前提になっており、たとえば「マイナンバーの普及による『コンビニ交付サービスの活用』により、市民課などの証明書申請・交付窓口も縮小し、施設を前提としないサービス提供方法へ変更する」と書いてあります。自治体のありかたの大転換がはらまれています。

公立保育園全廃も示唆

 今回、特に強調されているのが市営住宅と保育園と小中学校に関わることです。

公営住宅については「老朽化が著しい施設は建て替えを前提とせず、築40年以上が経過している4施設については、廃止に向けて段階的に着手」

公立保育園の今後について市として初めて言及し、「必要なサービス量の確保については私立幼稚園の整備により対応します。公立保育園23園については、廃止や民間事業者への移行を含めて検討し、総量の縮減を図ります」

・小学校については「適正規模に満たない小規模校のうち、単学級以下の学校(小学校4校、中学校1校)を対象に、隣接校との集約化(統合)を含めた適正配置の検討を優先的に行います。学校の適正規模を維持し、規模の縮減(ダウンサイジング)も検討」

 ――と記載されています。公立保育園の廃止や民営化についてはこれから具体的に対象園を絞っていくと思われます。
 公立保育園で働く労働者の多くは3年契約の「任期付き職員」です。雇い止めをさせない闘いが必要です。そもそも、日々子どもたちや保護者のことを真剣に考えて働いている職場と労働者が簡単にリセットされていいわけがありません。
 まず何が起きようとしているのかを真剣につかみ議論を開始することが必要です。労働運動・労働組合の課題であり、それぞれの職場で働く労働者が団結して闘うことが事態を転換させることを、議論と闘いの基礎にすることだと思います。

激変する自治体職場

 少し大きな視座で見ると「自分たちの子どもの時代には正社員や正職員がなくなる」現実味が増えています。仕事がきつくなって職場の団結や連帯感も薄れ、アクシデントや失敗は「個人の責任」にされ、「告げ口」「足の引っ張り合い」も増えかねません。
 でも、この悪循環は労働者の団結で断ち切れると思います。まず現場で起きていることを一緒に議論し、団結を固めて職場を変えていく展望をつくっていく。労働組合にはその力があるはずです。まずは、そのことにエネルギーを注ぎたいと思います。
 例えば、この10~15年で公的介護の現場は劇的に変化しました。2000年に介護保険制度ができる前は、従事する労働者は公務員かそれに準ずる待遇を受けていました。それが介護保険によって民間参入と競争原理が持ち込まれ、いまや介護職場は最低賃金スレスレの低賃金や人員不足、長時間労働などが深刻化しています。離職率の高さがそれを物語っています。
 1987年に中曽根政権が労働組合つぶしと利権を目的に強行した「国鉄分割・民営化」から今年で30年を迎えていますが、JR各社も「選択と集中」でローカル線の廃止(北海道は路線の半分が維持困難)や、運転士や駅員を含めた外注化と非正規雇用化が焦点になっています。国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は、十数年間、鉄道業務の外注化と闘って食い止めています。(投稿/次回へ続く/柏市公共施設等総合管理計画全文は柏市ホームページより閲覧可能)

ちば合同労組ニュース 第83号 2017年6月1日発行より

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