雇用安定法の改定/求人詐欺に一定の規制

実践的に考える職場と労働法

求人詐欺に一定の規制 雇用安定法の改定

固定残業制や裁量労働制も募集・求人時の明示項目に

 昨年3月の職業安定法の改定により、募集・求人時の労働条件の明示項目のルールが今年1月から変わりました。(上記 図・厚生労働省PDF

 ①労働条件の明示が必要なタイミング、②固定残業代や裁量労働制の明示、③求人票と労働条件が異なる場合には変更内容の明示などです。

 改定前と比較すれば「改善」と言えるとは思いますが、実際には抜け道もしっかりあるので注意が必要です。
 企業が労働者を募集するにあたって労働条件を明示する義務があります。労働基準法にも労働条件の明示義務は規定されています。しかし、これは労働契約を締結する時点での規定です。募集時の条件提示の規制は緩く、簡単にいうと「会社としては労働者の経験や能力、熱意に応じてこれくらいは提示できます」という感じでした。
 求人広告をみて好条件だと思っていざ面接を受けるとまったく違う労働条件が提示されるケースは多く、求人情報を頼りに求職活動をせざるを得ない人には本当に苦しみの源泉でした。
 今回の法改定で、原則として、初回の面接など求人者と求職者が最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示すべきとなりました。さらに試用期間・固定残業制・裁量労働制などについても明記が必要となりました。
 固定残業制は、賃金の一部としてあらかじめ一定の残業代を含む制度です。「基本給20万円(5万円の定額残業代を含む)」「支払総額20万円(基本給15万円、固定残業代5万円)」などのように賃金額が高く表示されます。固定残業制を悪用する会社はこの丸括弧の部分の提示をあいまいにします。労働者には20万円の内訳(うちわけ)が不明になります。
 実際に働き始めると「(固定残業代があるから)何時間働いても残業代はない」「労働時間も記録していない」となるわけです。労働者も「そういうものかな」と誤解したり、あきらめてしまいます。
 固定残業制を厳格に運用するならば定額部分を超える残業代の支払いが当然必要であり、残業代の計算も煩雑(はんざつ)です。しかし固定残業制を悪用すれば、残業代の支払いを免れるだけでなく、労働時間の把握も残業代の計算も不必要になるのです。
 法改正に伴って作成された「指針」により、固定残業制を適用する場合には、①固定残業代を除く基本給、②時間と金額を明記した固定残業代の内訳、③固定残業代に含めた時間外労働を超えた時間外労働については、割増賃金(残業代)を追加で支給する旨の記載が必要になりました。

派遣雇用も明示に

 募集者の氏名・名称についても、募集・求人時に明示することが求められることになりました。コンビニのアルバイト募集は、フランチャイズ本部の募集ではなくオーナー(加盟店経営者)が大半です。それが判別できるようになります。 派遣労働者として雇用する場合にも明示が必要になりました。入社したら派遣労働者で実際の勤務場所は派遣先というケースも多かったのです。

求人情報誌の問題

 多くの人は、ハローワークなどの「職業紹介」の仕組みと、求人情報誌(やウェブサイト)を利用した求職活動を区別していないと思います。
 「職業紹介」は、「求人者」(雇用主)がハローワークに対して労働条件を明示することが必要です。さらにハローワークは、求職者(労働者)に対して労働条件を明示する義務があります。
 それとは対照的に、求人情報誌に掲載されているのは求人情報(求人広告)に過ぎません。雇用安定法が規定する「職業紹介」の仕組みではないのです。単なる情報提供にすぎず、求人情報誌は求職者に対して労働条件明示の義務は負いません。雇用主も、求人情報誌に労働条件明示の義務を負いません。
 微妙な仕組みで分かりにくいですが、求人情報誌での「労働者の募集」の場合、労働条件の明示は、雇用主(募集主)→求職者(労働者)の関係性の中において必要となるのです。したがって求人情報誌を見た労働者が問い合わせるなどの当事者間の連絡・交渉の中で明示すれば、一応、明示したことになるのです。
 そういう事情もあり、今回の改正では、労働条件については、「原則として、求職者等と最初に接触する時点までに」明示するとなったのです。少なくとも企業説明会や初回の面接時には明示することになったわけです。不利な労働条件の「後出し」が少し規制されることになりました。
 いずれにせよ変更明示は重要です。求人情報誌や情報サイトを印刷し、注意して確認することは大切です。

ちば合同労組ニュース 第92号 2018年03月1日発行より

連載・介護労働の現場から〈最新スペシャルレポート⑤〉短期退職者への報復

連載・介護労働の現場から〈最新スペシャルレポート⑤〉

短期退職者への報復

◎辞めよう

 入社して本社研修後、施設に配属され、5日目でもう耐えきれなくなった。お年寄りをモノ扱いし、介護してやっていると上から目線で接し、弱みにつけこみ、食い物にする。そんなのは、介護ではない。
 高い時給の正体は、(人手不足による)放置とぼったくり。
犯罪ではないか。こんな施設も存在するのだと思った。派遣職員たちは正社員への異動を勧められたのを断わり、月末で全員辞めるという。私も辞めよう。休日一日考えて、決意を固めた。
◎やり直し
 休日に電話で施設長に退職の旨を伝えると、その日に呼び出された。エリアマネジャーと施設長の二人で応接室で1時間半ほど説得されたが、論破し振り切るのはさほど難しくなく、翌日退職届を提出した。
 それから退職まで周りの雰囲気なんかほとんど無視し、自分がいいと思う介護を貫いた。早く新しい職場でやり直して精神的ダメージを回復したかったので就活も始め、届いた健康保険証で、病院の診察を受け、体調も整えた。

◎社会保険を取り消される

 月末に退職し、国民健康保険に切り替えるために健康保険の喪失証明を本社に依頼した。すると人事課の職員が「1か月以内に退社した場合は、社会保険関係は非加入になるので、元の国民健康保険を使ったことにしてもらってください」。
 それじゃあの健康保険証はなんなのかと訊ねると「あの健康保険証は加入を取り消します」という。使った後に? 所定勤務時間などの条件を満たし、たとえ一日でも勤務すれば、社会保険に加入できるはず。
 「その一か月ルールは、国の法律に反する」と言ったが、「会社のルールです」と言い張るので年金事務所に訴える。会社は、年金事務所からの問い合わせに対し、年金事務所は会社のルールに介入しないでほしい旨を言ったそうだ。
 話にならない。社会保険加入の取り消しをして会社になんの得があるのだろうか。会社負担の健康保険料や厚生年金料の節約? なんて会社だ。
 私は、すでに以前の国民健康保険は喪失しており、会社の健康保険は加入資格取り消しで無保険状態になった。さらに使った医療費は保険適用ではなくなるので、7割の追加徴収を求められる。会社の担当者は「10割払えばいいんです」。市の国保課は「年金事務所から社会保険加入取消決定書をもらってくるまでは、国民健康保険証は発行できない」。そうか!社会保険取り消しは短期退職者に対する嫌がらせ、報復が目的なのか。
 年金事務所が、会社の社会保険事務を委託されている社労士を突き止めた。社労士は「(筆者が)採用されず、勤務実態もないというのが会社からの加入取り消しの理由」と答えたそうだ。私は採用もされず、勤務実績もない?
 今度は、私が報復する番だ。泣き寝入りするキャラではない。
(続く)

ちば合同労組ニュース 第92号 2018年03月1日発行より

映画紹介 生きる』(1952年 黒澤明監督)

 映画紹介 『生きる』(1952年 黒澤明監督)

 有名な黒澤映画です。題名となった「生きる」という普遍的テーマを描いた映画ですが、喜劇であることを忘れて色々力説したくなるのが名作の持つ力なのかなという感じです。
 市役所で市民課長を務める渡辺は、かつての仕事への情熱を忘れ、書類に黙々と判子を押すだけの無気力な日々。市役所内は縄張り意識が強く、住民の陳情はたらい回し。
 渡辺は体調不良で医師の診察を受ける。医師から軽い胃潰瘍(いかいよう)と告げられるも胃ガンで余命わずかと悟る。不意に訪れた死の恐怖。彼はあと1か月で30年間無遅刻無欠勤だったが市役所を無断欠勤し、パチンコやダンスホール、ストリップショーを巡る。ある日、おもちゃ工場に転職した元部下と遭遇。渡辺は若い彼女の奔放な生き方、生命力に惹かれる。自分が胃ガンだと伝えると彼女は工場で作ったおもちゃを見せ「あなたも何か作ってみたら」。その言葉に心を動かされた渡辺は「まだできることがある」と市役所に復帰する。
 5か月後、渡辺は死ぬ。通夜の席で同僚たちが渡辺の様子を語り始める。渡辺は市役所に復帰後、保守的な役所の幹部らに粘り強く働きかけ、ヤクザの脅迫にも屈せず、住民の要望だった公園を完成させ、雪の降る夜、完成した公園のブランコに揺られて息を引き取ったのだった。
 事情を知った記者や焼香に来た住民を前に気まずくなった助役ら市幹部が通夜の席から退出すると同僚たちは口々に「お役所仕事」への疑問を語り、渡辺の功績を讃える。しかし翌日、市役所では新課長の下いつも通りの「お役所仕事」が続く。だが新しい公園では子どもたちの笑い声が…。主演の志村喬の爛々と光る眼差しは怪演で印象が強い。

ちば合同労組ニュース 第92号 2018年03月1日発行より

3・17労働学校に参加を/講師、関西生コン支部 武谷書記次長

関西生コン支部 武谷書記次長が講師

3・17労働学校にぜひご参加を

右翼襲撃に敢然と

 「オンドレ!」「何しとんのや!」「ゴルァ!」
 関西でスゴイ闘いが起きています。YouTubeで「関西生コン」と検索すると、関生の組合員さんと右翼ヤクザまがいの集団と闘っている様子が飛び込んできます。
 この集団はなんなのでしょう? 関西協同組合、関西の財界の黒幕が呼び寄せた右翼ネトウヨ集団です。彼らは関生の事務所などに連日押しかけて、デマ中傷の宣伝を繰り返し、弾圧を引き出す挑発を繰り返しているのです。その目的は、関西地区生コン支部支部(関生支部)の産別労働運動の解体にあります。

協同組合の攻撃

 関生支部は生コン産業で働く労働者を中心に組織される産業別労働組合です。中小企業が大半の生コン産業は、セメントメーカーとゼネコンの間で安く買い叩かれるため、企業を横断する労働組合の団結を背景に中小企業の協同組合との共闘で大企業と闘ってきました。
 2010年には139日間の産業ゼネストを展開。この力が協同組合をも味方に引き入れ、大手ゼネコンを屈服させました。
 こうして中小企業164社189工場にもおよぶ巨大な協働組合ができました。結果、関係取引先である生コン輸送会社、セメント輸送会社、ダンプ業者、骨材業者、圧送業者、セメント販売会社など多くの労働者の賃金・労働条件の向上もかちとってきました。
 しかし、日本最大の協同組合の利益を独占しようと協同組合トップは、 関西の財界・政治団体と手を結び、関生つぶしを虎視眈々と狙ってきたのです。そして昨年末のバラセメントも含めたストライキの前進に対し激しい弾圧を仕掛けてきたのです。

労働組合再生の道

 関生支部と共闘関係にあった建交労関西支部・生コン産業労働組合・UAゼンセンは資本の甘言と暴力に屈して敵前逃亡しました。労働組合はいかにあるべきかを関生は教えてくれます。関生は巨大な敵に対して組合員の団結に依拠し敢然と闘っています。
 「敵の作った社会的規範というか、常識というか、そういうものに従うんじゃなく、それに対して能動的に労働者の側から相手側に作られた常識を打ち破ってきた」(武建一委員長・『関西地区生コン支部労働運動50年―その闘いの軌跡』から引用)。

動労千葉と共に

 関生支部は、国鉄闘争勝利と階級的労働運動の復権をめざして、動労千葉・港合同と共に11月労働者集会を開催し、安倍の改憲に対して「改憲阻止!3・25大行進in日比谷」を呼びかけています。
 今度の労働学校(要項1面)は、講師である武谷さんから直接、関生のお話を聞くまたとない機会です。武谷さんは暴力団と警察の弾圧・組合破壊と身体を張って闘っています。勇気百倍になるパンチの効いた講義になることは間違いありません。あなたの労働組合観も変わるかも!?
 ぜひ仲間を誘ってお集まり下さい。(組合員K)

=*=*=*=*=*=*=*=*=*

日時 3月17日(土)13時~ / 講師 武谷新吾(関西生コン支部書記次長)

テーマ 関西生コン型労働運動について

 ちば合同労組は団体受講しています。ぜひご参加ください。

=*=*=*=*=*=*=*=*=*

ちば合同労組ニュース 第92号 2018年03月1日発行より

4月に診療・介護報酬の同時改定

4月に診療・介護報酬の同時改定

 今年4月は介護報酬と診療報酬の同時改定が行われる。団塊の世代すべてが後期高齢者となる2025年を前に、実は財政問題以上に深刻なのが医療・介護提供体制だ。看護師と介護士は今後、それぞれ数十万人が不足すると予測される。このため2012年頃から矢継ぎ早の法改定が続き、「病院完結型から地域完結型へ」「病院から在宅へ」の施策が強行されている。
 高齢者が増えるにもかかわらずベッド数を135万から115万へ20万床も削減し、退院支援と称して入院日数の短縮(回転率アップ)を誘導。そして要介護状態になっても地域・在宅で暮らせと「地域包括ケアシステム」を推進している。ベッド削減でリストラされる看護師は約14万人とも言われる。これを訪問看護に回す意図なのだろう。
 基本的な発想が病院・介護施設に来ないようにする水際対策なのだ。その矛盾は地域包括ケアシステムに位置づけられる訪問看護師や介護職、ケアマネ、かかりつけ薬剤師などに来る。もちろん縮小される病院や介護施設も矛盾は深い。(M)

ちば合同労組ニュース 第92号 2018年03月1日発行より

【編集後記】ちば合同労組ニュース 第92号

【編集後記】

 米トランプ政権は「力による平和」を掲げ、核戦略の中期指針「核態勢の見直し」(NPR)を発表。多様な核戦略で柔軟性のある選択肢が可能になるとし、小型核弾頭の開発を進め、通常兵器に対しても核使用を排除しないと言っている。安倍首相は年頭会見で「今年こそ憲法のあるべき姿を示す」と表明。3月25日の党大会で自民党案を一本化し、秋の臨時国会で改憲を発議し、来年春には国民投票を実施すると言っています。新天皇即位や東京五輪の日程から逆算すると、当面、国民投票のタイミングは来春しかありません。風雲急を告げる事態です。(T)

ちば合同労組ニュース 第92号 2018年03月1日発行より

雇用破壊の大攻撃に対抗し無期転換めぐる闘いへ

雇用破壊の大攻撃に対抗し無期転換めぐる闘いへ

 いよいよ4月1日から無期雇用転換制度が始まります。すでに雇い止めなどの記事がかなり出ています。ちば合同労組は、動労千葉と共に無期転換問題連絡会をつくり、「労働組合に入って無期転換を申し込もう」「雇い止めや試験制度と闘おう」「無期転換後の労働条件を改善しよう」と訴えています。
  ※
 ところで厚生労働省が発行している『無期転換の準備、進めていますか?~有期契約労働者の円滑な無期転換のためのハンドブック~』を読むと、露骨に〝多様な正社員への転換〟〝従来の「正社員」と役割や責任を明確に区分〟と書いてあります。
 無期転換制度はそれ自体の政策意図は、いわゆる「限定社員」「準社員」を創出して、外注化や分社化、転籍などと一体で正社員・正規雇用と置き換える大変な攻撃です。安倍政権の進める「働き方改革」の核心をなす攻撃です。
 ハンドブックによれば、多様な正社員とは、勤務地や労働時間、職務などの労働条件に制約を設けた正社員です。
 厚労省や政府の様々な検討会議では、御用学者や使用者側の人間が〈事業所の移転や縮小で容易に整理解雇できるようにすべきだ〉と主張し、特に限定社員や準社員については、事業所の撤収や業務の縮小は解雇の合理的理由となるなどと議論しています。

高齢者雇用と外注化

 無期転換を考えるに際し参考になるのが高齢者雇用問題です。01年から年金の支給が段階的に65歳からの支給となり、高齢者雇用確保法などによって65歳までの再雇用や定年延長が法制化されました。さらには雇用保険の高齢者雇用継続給付などにより、低賃金の60~65歳の労働者約150万人が新たに創出されました。
 雇用保険の高齢者雇用継続給付は、定年前賃金と比較して61%以下に低下した場合、60歳以後の各月の賃金の15%を雇用継続給付金として雇用保険から支給します。例えば、定年前に賃金30万円だった人が定年後に18万円で再雇用された場合、2万7千円を支給するというものです。
 こうした政策誘導もあって各企業は再雇用者の賃金を3~4割カットし、さらに50代半ばの賃金大幅減額にも踏み込み、50~60代の低賃金労働者が大量に創出されました。
 しかも話はこれにとどまりませんでした。例えばJR東日本では、1980年代の国鉄分割・民営化の前に採用された大勢の労働者が退職期を迎えたため、それをグループ会社に再雇用して、鉄道業務の外注化(アウトソーシング)を進めたのです。
 NTTでは65歳までの定年延長とセットで50歳で地域子会社に転籍させ、しかも賃金は15~30%減額したのです。再雇用を利用して、大幅な賃下げによる人件費削減、そして分社化と転籍を押し進めたのです。NTTは数百のグループ企業に再編され、雇用形態も文字どおり〝多様〟となったのです。NTTでは壊滅的な雇用破壊が進みました。
 高齢者雇用継続制度は、外注化や分社化、転籍とセットとなることで外注化や分社化、転籍の導水路となり、やがては現役世代の雇用の破壊につながる問題でした。

無期転換で何が起きる

 無期転換制度の対象者は約1500万人とも言われます。単純計算でも高年齢労働者の10倍の規模です。個々の無期転換をめぐる問題を超えて全社会的に何が起きようとしているのか?
 いまあらためて動労千葉の闘いが重要だと思います。動労千葉が21世紀冒頭から十数年闘っている外注化は、退職者の雇用確保と引き換えに鉄道業務の外注化(やがては転籍と分社化)への協力を労働組合に迫る攻撃との闘いでした。動労千葉は数十人の退職組合員に対する再雇用拒否=解雇の攻撃を受けながらも外注化を阻止してきました。
 数年前に外注化の突破口は開かれましたが、闘いは継続し、外注先のJR千葉鉄道サービス株式会社(CTS)において労働組合を組織化する闘いに入っています。
 外注先のCTSでは、無期転換制度の開始前に就業規則を改悪し、選抜試験に合格した者だけの無期転換を認める超悪質な攻撃と闘い抜き、希望者全員の無期転換をかちとりました。現在、JR東日本のグループ企業では軒並みCTSと同様の取り扱いになっています。闘いの大きな地平です。
 無期転換は、外注化や分社化と一体となって正規雇用を〝多様な正社員〟〝限定社員〟〝準社員〟に全社会的に置き換える究極の雇用破壊攻撃です。安倍首相の言う「非正規という言葉をなくす」の意味するところです。

雇用破壊との闘いを

 30数年に及ぶ新自由主義の核心は、米レーガン、英サッチャー、中曽根に典型なように労働組合(労働者階級)を徹底的に攻撃して、賃金を抑制し、正規雇用を破壊することにあります。
 現代世界の労働者階級の状態は、この問題をハッキリさせなければ絶対に把握できません。「無期転換」「働き方改革」は、そういうレベルでの日本の労働者階級の歴史的な状態をめぐる攻防なのです。
 だからこそ無期転換に対して全力で立ち向かわなければなりません。動労千葉は、外注化阻止と一体で闘ったCTSの無期転換をめぐる闘いを全国に拡大したいと訴えています。ちば合同労組と一緒に「無期転換問題連絡会」をつくって、〝労働組合に入って無期転換を申し込もう〟を広く呼びかけることになりました。これは新自由主義の雇用破壊に対して労働組合を復権する歴史的挑戦です。
 20世紀初頭、英ロンドン港の港湾労働者のストライキから一般労組(ゼネラルユニオン)が生まれました。当時の英国では、労働組合の加入資格は熟練工に限られていました。大半の労働者は労働組合の蚊帳の外でした。その典型が港湾労働者で、百人の応募者をケンカさせ腕っ節の強い10人が仕事にありつくような状況でした。
 「このままでいいのか」との訴えから歴史的なストライキが始まりました。当初、労働者の敗北は必至と思われていたのですが、多額のカンパと世論の支持が集まり、ほとんどスト破りもなくストは勝利。現在でも英国最大の労働組合である運輸一般労働組合はこの時に誕生したのです。
 そんな労働組合の復権闘争として、動労千葉の国鉄分割・民営化反対闘争の継続=外注化阻止闘争と一体で無期転換をめぐる闘いに、ちば合同労組も取り組みます。(S)

ちば合同労組ニュース 第91号 2018年02月1日発行より

=*=*=*=*=*=*=*=*=*

労働学校へご参加を

テーマ 戦争・改憲攻撃について
日時 2月17日(土)13時~ 
講師 高山俊吉(弁護士)

 ちば合同労組は団体受講しています。ぜひご参加ください。次回講座は、改憲問題について。

無期転換 Q&A(1-6)

無期転換 Q&A

【Q1】いつから無期転換の申し込み?

 次の3つの要件で、無期転換申込権が発生。①有期労働契約の通算期間が5年を超える場合、②契約の更新回数が1回以上、③現時点で同一の使用者との間で契約している。
 契約期間が5年を経過していなくても、契約期間が3年の有期労働契約で1度の更新を行えば、通算契約期間は6年となるため、4年目ですでに無期転換申込権が発生する。通算期間のカウントは13年4月以降に開始した労働契約が対象。

【Q2】自動的に無期雇用転換されるのか?

 労働者が自ら申し込むことが必要。無期転換申込権が発生した場合に、その契約期間の初日から末日までの間に、労働社の側から申し込む。使用者には拒否権はない。無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、労働社に無期転換申込権を放棄させることは違法となる。
【Q3】申込みは口頭で良いのか?
 申込みは、口頭でも法律上は有効。しかし、口頭での申込みは、〈言った、言わない〉の争いが生じやすいので書面で申し込んだほうがよい。できれば連署で集団申請。労働組合サポートすることも重要。

【Q4】通算期間のカウントの仕組みは?

 同一の使用者との間で締結された2以上の労働契約期間を通算。ただし13年4月以降に開始した労働契約から。育児休業や介護休業で勤務しなかった期間も労働契約が継続していれば通算期間にカウント。無契約期間(空白期間)があってもクーリング期間に該当しない場合にはカウントできる。

【Q5】クーリング期間とは?

 無契約の期間が一定の長さになると通算契約期間がリセットされる。無契約の空白期間の前の通算契約期間が「1年以上」の場合は6か月以上、「1年未満」の場合はその半分以上です。

【Q6】無期転換の対象者は?

 期間の定めのある労働契約=有期労働契約で働く労働者は基本的にすべて対象。パート・アルバイト・契約社員・準社員・パートナー社員・派遣社員など、さまざまな名称であっても、契約期間に定めのある場合は、その名称にかかわらず、すべて無期転換の対象となる。国家公務員・地方公務員など労働契約法が適用されない労働者は対象とならない。また専門的知識等を有する労働者(高度専門職)、定年退職後に引き続き再雇用された「継続雇用の高齢者」については、特例で適用除外となっている。また大学等の研究者・教員は10年ルールの特例となっている。

ちば合同労組ニュース 第91号 2018年02月1日発行より

映画紹介 『ちょっと今から仕事やめてくる』

映画紹介 『ちょっと今から仕事やめてくる』

 いかにもネット小説を映画化みたいなタイトルで敬遠していたが意外に良かった。労働組合のニュースに掲載するにはやや複雑な心境ですが、こういう映画もありなのかも。
 そこそこの大学を卒業し、中堅の印刷会社に就職した主人公の青山隆。だがそこはブラック会社だった。部長から毎日の苛烈なパワハラ。150時間を超えるサービス残業、達成不可能なノルマ、無意味な朝礼や社訓。「遅刻は10分千円の罰金」「有休は身体がなまる」と毎日唱和。青山は疲れ果てて駅のホームで無意識に電車に……だが衝突の直前、小学校時代の同級生ヤマモトと名乗る男が彼の腕を引く。
 ヤマモトは、関西弁で爽やかな笑顔の謎の男。彼と出会い青山は次第に明るさを取り戻す。そんなある日、青山はヤマモトが3年前に自殺していたことを知る。あの男は一体何者なのか? やがてヤマモトのウソもばれるが〝おせっかいな関西人〟との友情も深まり、青山は仕事も順調に。ところがまさかの大失敗でまた元の状態に。パワハラ部長が「悪いと思ってるなら土下座ぐらいするもんだろ」と書類で頭をバンバン叩く場面は真に迫る演技。
 いくつか場面転換があり〝今から会社やめてくる〟の終盤に向かう。懲戒免職の脅しに青山は「それでもいい。3日前までは屋上から飛び降りようと思っていた」「部長もできれば休んで下さい」。実は、営業部で成績トップ、憧れの五十嵐先輩が成績ダウンの恐怖に追い詰められ、青山の発注書を書き換えて仕事を奪ったことが明らかになる。
 なぜヤマモトは青山を助けたのか真実が明かされるラスト。青山役の工藤阿須加はピッタリ。プロ野球の工藤投手の息子です。

ちば合同労組ニュース 第91号 2018年02月1日発行より

4月から無期転換5年ルール/各所で雇止めと闘争が衝突

4月から無期転換5年ルール

各所で雇止めと闘争が衝突!

動き出した2018年

 3月末には労働契約法18条の5年で無期雇用に転換ルールを逆手にとった雇止め=解雇攻撃が約450万人の有期雇用労働者に襲いかかろうとしています。
 ちば合同労組の新年旗開きでも、「会社で無期転換の案内が配られた」「定年後の無期転換は可能なのか?」など活発な討論になりました。
 年が明け、職場で無期転換問題が話題になり始めています。今の情勢の象徴する、いくつかの例を紹介します。
●都内のある労働組合が土日で「雇い止めホットライン」を開設。2日で労働相談の電話が約100件。ほとんどが解雇や無期逃れの雇い止めだった。
●全国私教連は、私立高校の教員の3月末の雇い止めが少なくとも204件にのぼると報告。実際には、非組合員も多いことから「氷山の一角」とのこと。
●全国の大学で、非常勤講師などの無期転換をめぐって大学側と労働組合の攻防が激化。いくつかの大学は、〈前期・後期〉の半年の空白期間の設置や任用法を悪用した10年期限の措置(10年ルール)など、無期転換逃れを狙っている。
 ――他方で全国で無期転換をかちとったケースも多数報告されています。
●医療機関で働く臨時職員が「次回は更新しない」との不更新条項付き労働契約に泣く泣くサインをしたが労働組合に入って要求し撤回させ無期転換権を守った。
●A大学は、それまでの最大6年雇用を5年に切り下げた。団体交渉の末、今回これを改め、無期転換を認 める方針に方向転換。
●CTS(JR千葉鉄道サービス)の職場では、200人の無期転換をかちとった。JR東日本管轄の清掃事業所でもこれにならっている。
 これらに共通することは、労働組合の会社側との「力関係」で条件をかちとっていることです。労働組合が職場の労働者に働きかけ、団体交渉などの中で会社側に認めさせています。
 「無期になっても、労働条件が非正規のままでは意味がないのでは?」という意見もよくあります。しかし、会社にモノを言ったり、労働運動を展開する立場からすれば、雇い止めの不安を打開することは、かなり大きなことではないでしょうか。

組合として一歩前に

 リーマンショックの時のような情勢に入っているとみて、労働組合が社会に登場し、認知され、力を持つことが今ほど求められている時はないと思います。無期転換逃れの解雇がピークを迎えるのが2月です。
 私たちは、この情勢を攻勢的にとらえ、どんどん街頭にうって出ます。これまで行ったことのないエリアも含めてチラシを配布します。
 今年は異例の寒さですが、チラシの反響は上々です。無期転換を訴える新しいノボリもできました。国会でも「働き方改革」が日々取り上げられ、関心が高まっています。
 一歩前に出ること。これが労働組合運動の再生につながると思います。(K)
ちば合同労組ニュース 第91号 2018年02月1日発行より

1 2 3 4 25