連載・介護労働の現場から〈働き方編6〉

連載・介護労働の現場から〈働き方編6〉

新人ウエルカム

▼仕事ができない人

介護は人手不足のせいか、ちょっと介護にはどうかな? という人も入職してくる。
たとえば、動作がスローモー、うつっぽくってしゃべらない人、空気読めない発達障害っぽい人、ため口しか聞けない、集中力がなく、途中で投げ出す、融通聞かない人…。
十数年前、派遣切りの労働者に無料で職業訓練を受けさせて介護の仕事に誘導しようとした雇用政策があったが、大失敗。派遣より給料が大幅に安いのと、モノ相手から人間相手の仕事への転換が難しいのが原因と言われてる。
介護は失業のセーフティネットと考えられているので、今も未経験の老若男女が現場にいきなりほうりこまれてくる。未経験なら、せめて、まず施設側で「人間の尊厳」「高齢者の理解」「基本的なケア」くらい研修してほしいものだ。
明らかに介護職として適性のない新人は、一日でわかる。「おはよっス!」「じいちゃん(利用者)、忙しいから、自分でやって」「ウンチなんか触れません」「掃除やりました!掃除機かたづけまで言われてない。あなたがやってよ」「いちいちうるさいんだよ。好きなようにやらせてよ」「途中で休憩してただけ」、返事をしない…。
このような新人は、ほんとめんどくさい。いないほうがマシと、早く辞めるように仕向けたりする。でもせっかく入ってきてくれたのに、もったいないと思う。彼、彼女らもおそらく介護がこんなきつい現場だったと想像しなかったのだ。それに、介護職の適正とは、テキパキと対人職をこなせるということだけではない。お年寄りと波長が合い、寄り添うケアができる能力と才能も立派な適正だ。

▼職員の多様性

どんな新人も決して、「使えない」と人格を否定するようなことはしないで、利用者に多様性があるなら、職員にも多様性が必要と考ええよう。職場も共生社会、介護なんて競争してランク付けする仕事じゃないでしょ。

 ◎理解ある先輩になるための3原則

1 ダメなところはストレートにダメ出し。どうしてダメなのかは必要ない。「掃除機も片づける」だけでよい。できたことは褒める。できないことは補ってあげる。
2 新人の好みや関心に興味をもつ。「おっ、そのTシャツいいね。どこで買った?」「今日は元気ないですね。どうした?」
3 人間大好きにさせる・個々の利用者のいいところを具体的に披露して、お年寄り大好き、人間大好きになってもらう。

 仕事は続けてみなきゃわからない。ゆとりをもって受け入れたい。そして、最も大事なことは経営者側の目線で教えないということ。苦労を共にする仲間になるのだから。
(あらかん)

ちば合同労組ニュース 第79号 2017年2月1日発行より

映画紹介『仲間たち』

映画紹介『仲間たち』

 浜田光夫、松原智恵子、舟木一夫らが出演。1964年の日活映画、東京五輪の年である。舞台は川崎の工場街。浜田が演じるのはトラック運転手、特に将来の夢もないが頑張り屋だ。ある日、乗合バスの通る道で浜田のトラックが故障し、バスも立ち往生、車掌役の松原と言いあいに。
当時はバスにも車掌が乗っていたのだ。車体には「臨港バス」と書いてある。んっ? 川崎の臨港バス? そう、昨年12月に36年ぶりのスト決行で世間から支持を集めた川崎鶴見臨港バスなのである。お宝な映画を発掘した感じです。
映画は、東北から出てきた前向きな若者が恋人もでき独立しようと頑張るも事故を起こし夢が絶たれる、でも仲間や恋人の助けで立ち直る話。タイトルが『仲間たち』である。
松原の兄と結婚の約束をした同僚が妊娠して車掌の仕事を続けられない。兄の会社は争議中で結婚資金が準備できないのだ。そこで車掌仲間で会社に掛け合い事務の仕事に就くことに。浜田は、交通事故で手をケガし運転ができなくなり、会社から解雇を通告される。しかし、仲間が掛け合って、治るまで整備の仕事をすることに。
仲間に何か起きると、みんなで集まって議論し、大勢で社長や会社に掛け合うシーンが何度も出てくる。そういうのが映画になる時代もあったのだ。
2人がデートでライブや落語に行く。スパイダースや林家三平が出てくる。工業地帯のフレアスタック(煙突の炎)が象徴的に映る。臨港バスや営業所もおそらく本物を撮影。当時の川崎駅前や映画街も出てくる。レア映像が多い映画だ。

ちば合同労組ニュース 第79号 2017年2月1日発行より

福島から8家族を南房総市へ迎え

福島から8家族を南房総市へ迎え

保養プロジェクトで感じたこと

千葉県南房総市で1月3~6日、、福島から8家族26名を迎えた保養プロジェクトは無事に終了しました。おだやかな晴天のもと、福島の家族は4日間をゆったりと過ごしました。組合員の方々からも暖かいご支援やカンパをいただきました。すべての方へお礼を申し上げます。
ボランティアスタッフとして参加した組合員より感想を掲載します。

〈冬保養に参加して〉

今回の保養は私にとって昨年夏に引き続き、2回目の参加となりました。
当初の参加動機はボランティア、社会貢献などという大仰なものではなく、興味・関心に近しいものでした。
もちろん、いくらか社会正義も持ちあわせているつもりで、現在のエネルギー政策や東日本に壊滅的な災害をもたらした震災、復興政策に対する不満や怒りなども持ちあわせていますが、参加した一番の理由にはならないと思っています。そして、昨夏今冬の保養ともに帰宅の道中で参加してよかったと思い返していました。
継続して参加されたご家族、とくにお子さん方の元気が良いことには圧倒されました。
しかし、それも日々の抑圧された福島での生活の裏返しなのではないかと思います。外で元気に遊ぶこともできない、言いたいことを言うこともできないような普段の生活は当然ストレスを抱えるはずです。それらを少しでも吐き出してくれる受け皿になれたらという思いです。
また日々の生活の中で、被災地の惨状は日々風化しています。 われわれにできることは一人でも多くの人に「復興の道未だ遠し」を伝えていくことではないでしょうか。
今回保養に参加されたお子さん方より少しだけお兄さんお姉さんのお子さんを預かる仕事をしています。彼ら彼女らに今回の保養で実際に見たこと聞いたことを話すと真剣に聞き入ってくれました。
被災地の現状や被災された方が、今どのような暮らしをしているかを日本人として知ること、共有することが今大事なことなのではないかと思います。現に「テレビも新聞も学校でさえも教えてくれなかった」と痛烈な感想を貰いました。
最後にこれらの大規模な企画を5年11回にわたって継続して開催し続けてきた事務局の皆様に感謝するとともに、今後も末永く継続されるよう祈念しております。保養プロジェクトが途絶えていい日はただ一つ、安全安心に暮らせるような故郷を取り戻せたときだけだと思っています。
(組合員I)

ちば合同労組ニュース 第79号 2017年2月1日発行より

編集後記/ニュース 第79号より

編集後記

2月は、館山集会・国鉄集会・習志野裁判と、ご参加のお願いが多いですがよろしくお願いいたします。ちば合同労組の分会や動労千葉では、春闘に向かって準備が始まっています。春闘集会の計画されています。2017年、ちば合同労組の飛躍をかけてがんばってきましょう。(S)

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国鉄分割・民営化で不当解雇から30年

2・12国鉄集会

国鉄分割・民営化による不当解雇から30年を前にした2月12日、すみだ産業会館で国鉄1047名解雇撤回の集会が開催されます。
動労千葉と国鉄1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動(国鉄闘争全国運動)は、JR採用差別裁判において一昨年6月30日、最高裁をして不当労働行為を明確に認めさせ、「相当程度において(JR東日本に)採用されていた可能性があった」と認定させました。
国鉄1047名解雇撤回闘争は戦後最大の労組破壊攻撃と30年間にわたり闘ってきました。日本の労働運動の歴史において国家をあげた攻撃に対しこれほど長期に非妥協的に闘争を貫いた歴史はありません。今こそ労働運動を再生させる努力を国鉄1047名解雇撤回闘争のもとに結集させることは本当に大きな意味があります。ぜひ集会へのご参加を!

日時 2月12日(日)午後6時(開場5時半)

場所 すみだ産業会館8階サンライズホール/東京都墨田区江東橋3―9―10
(JR錦糸町駅前の丸井錦糸町店8階)

ちば合同労組ニュース 第79号 2017年2月1日発行より

2017年こそ ちば合同労組の飛躍の年に

2017年こそ ちば合同労組の飛躍の年に!

★2016年は新しい仕事、職場に移って色々な意味で苦労しました。17年はこれまでのすべてを生かして組合づくり、仲間づくりに全力をあげていきたいと思います。
今の職場は労働運動の大先輩もいてなかなか楽しい職場です。
年末に体調をくずし、歳も歳なので思うように動けないのですが、あらゆる困難を試練にかえて、これからの人生を楽しんでいきたいと思います。団結こそ力です。力を合わせ前に前に進んでいきましょう。
(執行委員長)

★2016年は分会結成という大きな前進がありましたが、職場での闘いと組織化に関してはまだまだ課題が残りました。
2017年は仲間づくりに全力をかけます。職場で労働者一人ひとりに声を掛け、きちんと討論をする。こういったオーソドックスだが骨の折れる日常活動から逃げずに全身でぶつかっていこうと思います。
(副委員長)

★安倍政権は憲法を解体し、労働法制の改悪を狙っています。労働者が「戦争拒否」「非正規雇用撤廃」「解雇撤回」の声をあげ、職場で闘えば必ず止めることはできます。労働者一人ひとりの力を一つにして組合員が団結して、すべての職場で労働組合をよみがえらせよう。(副委員長)

★2016年は、組合・分会づくりでは、小さな一歩を踏み出せました。しかし、地域のユニオンとしての役割と志を考えれば、本当に至らないことばかりです。
2017年は、組合を必要とする労働者ともっともっとつながり、労働者自身の団結した力で労働者をめぐる状況を転換できる、そんな労働組合をつくりたいと思います。
当面、春闘の取り組み、宣伝活動を重視していきたいと思います。2017年もよろしくお願いいたします。
(書記長)

ちば合同労組ニュース 第78号(2017年1月1発行)より

職場と労働法 年間1千人を超える労災死亡者の現実

実践的に考える職場と労働法

今なお年間1千人を超える労災死亡者の現実

あなたの職場の安全衛生は?

労働災害で死亡する労働者は今なお年間1千人を超えます。戦後の労災死亡累計は20数万人。日清日露戦争の戦死者数を超えます。高度経済成長末期で労働者の安全は二の次だった1971年の労災死亡は6712人とピークを記録。翌年、労働安全衛生法が制定されると75年には年間3725人に激減しました。
労働安全衛生法規が〈先人の血で書かれた文字〉と言われる由縁でもあります。
安全衛生は、労働者の生命・身体・健康を守る最も根源的な労働条件です。職場に存在する危険を減らし、設備・環境・体制を整えて、事故や病気を発生させないことは何よりも大切なことです。
しかし、効率や経済性のために安全衛生がしばしば犠牲になるのが現実です。生活の糧を稼ぐために危険な仕事をせざるをえない場合、労働者の直接的な関心の対象にはならない面もあります。
安衛法は、事業者とその他の関係者に対して、①職場における安全衛生管理体制の整備、②危険・健康障害の防止措置の実施、③機械・有害物などに関する規制、④安全衛生教育・健康診断などの実施――を義務づけています。
案衛法の行政監督の仕組みは基本的に労働基準法と同じで、罰則や労働基準監督制度による監督・取締りも行われます。

安全衛生管理体制

一定規模以上の事業場は、総括安全衛生管理者を選任し、その下に所定の資格をみたす安全管理者および衛生管理者を選任することが義務づけられています。労働者の健康管理を担当する産業医の選任や特定作業について作業主任者の選任も定めています。
もちろん一定規模に満たない小さな職場でこそ安全衛生体制は大切です。10人規模以上の職場で工業的な職場では安全衛生推進者、それ以外の職場では衛生推進者が必要です。10人以上が働いていればどんな職種でも衛生推進者が必要です。みなさんの職場ではどうでしょうか?
さらに製造業や運送業などで常時50人以上が働く職場では安全委員会、その他の業種の事業場では衛生委員会の設置が義務づけられています。議長以外の委員の半数は、事業場の過半数組合・代表者の推薦により指名されます。
衛生委員会は、衛生に関する重要事項について調査・審議して事業者に意見を述べます。長時間労働やメンタルヘルス対策も衛生委員会の付議事項です。
常時50人以上の労働者を使用する使用者は産業医を選任しなければなりません。産業医は、健康状態に問題のある労働者を発見した時は事業者に対して休ませたり作業を軽減させるなどの措置を勧告できます。産業医は毎月1回は職場巡視し作業実態をチェックしなければなりません。
産業医が職場巡回しないなど形骸化したり、主治医が職場復帰を認めたにも関わらず会社の意向に沿って「復帰不可」と判断するなど問題ある産業医もいます。

健康診断

労働者を1人でも使用している事業者は、雇い入れ時と年1回の健康診断を実施しなければなりません。費用は事業主の負担が原則です。事業者が健康診断の実施義務を怠った場合は50万円以下の罰金となります。しかし一般健診は、業務遂行との関連において行われないとして賃金の支払いは義務づけられていません。厚生労働省は賃金支払いが望ましいとは言っています。有害業務に従事する労働者が対象の特殊健康診断は、所定労働時間内の受診が原則で賃金支払いは必須です。

安全衛生教育

「労働者の危険又は健康障害を防止するための措置」では、事業者の講ずべき措置として「危険防止措置」「健康障害防止措置」「作業場の整備措置」「作業場からの退避措置」「労働者の救護措置」などが規定されています。
「機械等並びに危険物及び有害物に関する規制」と合わせてボイラーやクレーンなどの検査証、機械の防護措置、危険物・有害物の製造禁止や有毒性の調査などが規定されています。
「労働安全衛生規則」をはじめ、「ボイラー及び圧力容器安全規則」「クレーン等安全規則」「四アルキル鉛中毒予防規則」「電離放射線障害防止規則」「粉じん障害防止規則」「事務所衛生基準規則」などの詳細な規則が体系的に設けられています。
安全衛生教育の実施や無資格者の就業制限などを定めた「労働者の就業にあたっての措置」として3種類の安全衛生教育が定められ、雇い入れ時にすべての業務について安全衛生教育が義務づけられています。危険有害業務や職長着任時にも特別の安全衛生教育が必要です。これらは臨時労働者を含むすべての労働者が対象です。
仕事中に発生した労働者の傷病事故は労災保険で補償されます。バイトや日雇い労働者もすべて対象です。労災保険料は労働者の負担はなく、事業者が支払う賃金総額に掛金がかかる仕組みです。詳しくはまた今後に紹介したいと思います。

ちば合同労組ニュース 第78号(2017年1月1発行)より

連載・介護労働の現場から〈働き方編6〉感情を押さえつけない

連載・介護労働の現場から〈働き方編6〉

感情を押さえつけない

突破口は泣き言

入職して数か月経ち、身体を動かすことに慣れると同時に腰痛が始まり、疲労がたまっていることを自覚するようになる。どうしてこんなに仕事がきついのか? でも聞いてくれる先輩もなく、さらに極め付け、16時間勤務の夜勤の仕事も始まり、もうこのままでは「殺される~」と、3か月くらいで辞めてしまうことも多い。
そこで突破口。泣き言を現場でガンガン言ってみる。「身体ガタガタ、もうもたないよ~明日休むかも?」「あ~ダメ。もうできない」「ムリですよ。それはパス」…。
この悲鳴を無視したり、「お前はバカか。やるにきまってるだろ」という先輩がほとんどかもしれないが、中には代わってやってくれる頼もしい先輩もいるし、「無理だよね。きついよね。それやるの、やめよっか」と同調してくれる仲間もいる。
これが風通しのいい職場にする第一歩。感情は出さないのがプロといわれている介護業界で泣き言を口にだすには勇気がいるが、こう考えよう。
人手不足で利用者は食事・排泄・入浴以外は、寝かせっきり、座らせっきりで放置され、やがて死んだ魚の眼、能面のような無表情になり、その傍らで職員はひたすら黙々と業務をこなす日常。
職員がまず弱みをさらけ出し、自然な感情を出すことにより、利用者が溜めていた孤独のつらさを開いてくれる突破口になるかもしれない。介護者と利用者は、サービスを一方的に提供するだけの関係ではなく、生活を共にしている顔なじみの関係にならなければ介護は成立しない。だから安心して泣き言を情報公開しよう

感情の解放

介護は毎日がジェットコースターみたいなもので、穏やかで順調な時が続いても、ちょっとしたことで、いきなり急降下する。それをスタッフが黙って引きつった顔で動いていると、動揺が利用者に伝わって不穏になる。
ところが、みんなでワァーキャァ言いながら対処すると、利用者は、ワァーキャァには敏感に反応するが、案外不穏にはならない。何か面白そうだと刺激を受ける。終われば「大変だったね」と声をかけてくれる人もいて、利用者との生き生きした交流が始まる。これが介護現場を労働者と利用者の空間にする始まり。
介護現場で禁じられている、ワァーキャァや私語、雑談。これらを解放するだけで、現場は柔らかい風が吹く。ストレスがたまらないし、前向きになれる。利用者は、人生の先輩としての柔和ないい顔になる。
感情を押さえつけ、ジェットコースターに慣れてしまうのは、実は怖いこと。ケアレスミスや虐待、パワハラはそのような土壌から芽を出す。ジェットコースターでワァーキャァ、落ち込んでるときは利用者に言ってみる。いいことがあればウキウキ…、人間が人間を介護するのに感情は必要だ。
(あらかん)

ちば合同労組ニュース 第78号(2017年1月1発行)より

画紹介『苦役列車』

映画紹介『苦役列車』

 2~3年前にDVDで観た。「中途半端に陳腐な青春ムービー」との原作者・西村賢太の酷評をネットで見かけて原作も読んでみた。言うほど悪くない映画だと思うけど…。私小説の映画化は難しい。主人公の北町貫多を演じた森山未來も、高良健吾や前田敦子も思いのほか良かった。
自分も、ごく短期間だが、晴海埠頭(東京都中央区)で日雇い労働者として倉庫作業をやっていたことがある。荷役作業や休憩時間、喫煙シーンなど、描かれた光景は活字だけでも頭に思い浮かぶ。
ただ自分は、西村が〝苦役列車〟と表現する境遇や必然性のもとで働いたわけではない。どちらかと言えば高良健吾が演じた日下部のような一過的な存在でしかない。だから、どうにも処理できない自尊心と劣等感、そしてその枠からは簡単に踏み出せない因縁と怠惰さがないまぜになり、世のすべてを恨むような感覚は、分かるといえばウソになる。
映画の筋はこんな感じ。1986年、北町貫多、19歳。父親が犯した性犯罪により一家離散。中学卒業以来、日雇い人足仕事でその日暮らし。楽しみは読書、稼いだ金はほぼ酒と風俗。ある日、移動バスで専門学校生の日下部に声をかけられ、初めて友達といえる存在が……やがて日下部から交友を拒絶され、ふて腐れた態度の仕事でケンカし、クビに。
ささいなことで周りへの優越感や嫉み、卑屈。日下部に対する嫉妬や羨望。小説ではダダ漏れな感じで書かれている。ちょっとばかり古風な文体で書かれているのが成功している。今時の文体ならただ嫌な感じになったかもしれない。映画も小説もお薦めです。

ば合同労組ニュース 第78号(2017年1月1発行)より

書評『求人詐欺/内定後の落とし穴』(今野春貴著)

書評『求人詐欺/内定後の落とし穴』(今野春貴著)

横行するブラック求人 労働者の教訓は?

 生きるためには働かなくてはならない。わざわざ悪条件の場所を探す人はいない。仕事を探す労働者は自分に与えられた条件で可能な限り好条件の仕事を探すだろう。
そのために資本が提示する労働条件をみながら仕事を探すわけだ。
でも自分を含め、ほとんどの仲間は入手可能な求人票が信用ならないことを知っている。賃金から始まって、労働時間・拘束時間、処遇のあらゆるところまでウソで塗り固められているため何を信用して求職活動をしていいかわからない。自分もこれには相当泣かされた。
多くの労働者がだまされ、無用な苦労を背負わされて死屍累々になったころ、ようやくこうしたことが「求人詐欺」なのだと認知され始めた。
今回紹介するその名もズバリ『求人詐欺/内定後の落とし穴』(今野春貴著)には、現在観測されているさまざまなだましのテクニック、だましのテンプレートともいうべきものが紹介されている。
ウソの求人情報で採用した後はパワハラと恫喝によって精神をくじきからめとる方法はエグイと言うほかない。
だが、無法地帯である新自由主義ニッポンで生き抜くためには知っておかねばならないことばかりだ。少なくともこの本で紹介されている事例は多くの犠牲者を出しており、自分自身もその列に加わることがないようにしたい。
その上で私たち労働者が得るのはこの教訓だ。「資本(会社)を信用してはならない」「考え学ばなければ食い物にされる」「政府は労働者の味方ではない」
これらの教訓は私たちが個人としてより賢く強くなることに役立つ。そう簡単にはだまされなくなるし、場合によっては個人的に反撃できる。だが、資本は強大かつ星の数ほどあるため個人がこれと闘うのには限界がある。
ここから労働者が団結して闘うことが問題の最終的解決につながる。悪事を行う資本に対して団結の力で応酬する。
詐欺でしか労働者を集められない資本には社会を運営する能力も資格もない。求人詐欺の実態を学ぶ中から資本主義とりわけ新自由主義は末期に至り、滅ぼされるべきものである確信を得られる。
労働相談のお供に、また自分や仲間を守るためにも活用できる一冊だと思います。
(組合員T)

ちば合同労組ニュース 第78号(2017年1月1発行)より

内房線 直通運転廃止反対

内房線 直通運転廃止反対!

3月のダイ改に向け動労千葉とJRの団体交渉が始まりました。JRは「系統分離」と称して内房線の館山―千葉直通列車の廃止を画策しています。沿線自治体では「こんなことをされたら地方は生きていくことができない」と大問題となっています。
JR千葉支社によると昼間帯の直通列車は全廃、早朝の館山始発の列車2本も廃止。さらには特急列車の運行を廃止した際に代替えで設定された特別快速の廃止案も固まっているとのこと。
久留里線も、上総亀山発着の初電・終電の廃止が検討されています。現状でも、久留里線は昼間の列車間合いが5時間。もはや廃線に近い扱いです。

鉄道は公共財産であり、高齢化した地域で人びとが生きて行くために絶対不可欠です。「利益」「効率」で切り捨てることは断じて許されません。
地元議会では反対決議があがり住民により反対集会などの準備も進んでいます。ちば合同労組も地域の労働組合として取り組んでいきたいと思います。

ちば合同労組ニュース 第78号(2017年1月1発行)より

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