団結して闘うこと 労働者の選択肢に

団結して闘うことを労働者の選択肢に

組合員のみなさん。共に闘う仲間のみなさん。
ちば合同労組は節目となる第10回大会を開催しました。結成から9年、地域の合同労組として組合作りに取り組み、10月2日には4労組を集めての労働者集会をかちとるなど、一定の前進をかちとった地平の上に第10回定期大会を開催しました。
この1年間の闘いの中で、ユニオン習志野に続き、介護職場での分会や地域の病院での新労組の設立は、ちば合同労組の建設にとって本当に決定的なことです。職場分会の成否は地域合同労組運動の今後に関わるテーマです。
職場の状況を変えるためには、なんといっても労働組合を自分たちで作って、団結して会社と闘うこと、行動を開始することです。この精神と実践を復権させることが私たちの使命です。
これから第20回大会を目指して新たな闘いを開始したいと思います。成果としては本当にささやかですが、これまでの方向性に確信を持ちつつ、今後の課題は、これを量に転化することではないかと考えています。
n0076_01_01a 誰でも加入できる身近な地域の合同労組という特質を活かし、より広範な労働者の中に入ってゆき、労働組合をつくって団結して闘うことが労働者の選択肢になるような存在を目指します。
多くの闘いは、一人から始まりますが、ここから職場の仲間の団結をつくりだし、地域的な団結へと結びつけ、やがては全国の団結へと拡大してゆけば、韓国・民主労総のよう闘いは可能です。
11月6日の全国労働者集会に結集し、労働者の団結の力を示そう。
(委員長)

ちば合同労組ニュース 第76号(2016年11月1日発行)より

生理現象で運転士不適格なのか!?

生理現象で運転士不適格なのか!?

処分撤回・乗務復帰まで闘う

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(写真 10月21日動労千葉と支援は銚子運輸区門前で抗議行動を行う)

JR千葉支社は、動労千葉の組合員の運転士が佐倉駅で我慢できずに運転席から用を足した問題で、運転士の職を剥脱(はくだつ)してCTS成田駅に強制出向させる通知を行いました。信用失墜を理由に減給処分に加え運転士生命まで断つというのです。絶対に許すことはできません。動労千葉は怒りの反撃を開始しました。
時間厳守が求められ、運転席から離れられない乗務員にとってトイレ問題は切実で深刻です。「自分のトイレで列車を遅らせるわけにはいかない」と必死に耐えて、それでも我慢の限界に達した。これが一人の労働者の人生を奪うまで責め立てることなのでしょうか?
今回の問題は、福知山線脱線事故と根っこは同じです。この事故は、人格や人権まで否定して運転士を締め付けたことが、些細なミスを107人の生命を奪う最悪の事故にまで拡大させました。
こんなことを続ければ重大事故が起きます。処分撤回・乗務復帰へ闘う動労千葉と共に反撃の声をあげよう。

ちば合同労組ニュース 第76号(2016年11月1日発行)より

職場闘争と労働基準監督署の活用

jissen-hou-1実践的に考える職場と労働法

職場闘争と労働基準監督署の活用

みなさん、労基署に行ったことありますか?
労働基準法7章は、監督機関や罰則を定めています。監督の仕組みは、国の直轄機関として厚生労働省労働基準局→都道府県労働局→(管内)労働基準監督署があり、これらの機関には労働基準監督官が配置されています。
都道府県労働局長、労働基準監督署長などのポストは労働基準法によって、専門職員として独自に採用された労働基準監督官であることが要件となっており、その罷免には労働基準監督官分限審議会の同意を必要とします。これは、強力な監督権限を持つ監督官の資質の保障と、政治的圧力に左右されない身分の安定のためとされています。
労働基準監督官については、ちょっと前に竹内結子が主演した連続テレビドラマ『ダンダリン/労働基準監督官』で描かれました。
労基署には、監督・安全衛生・労災補償などの部署があります。
「監督業務」は、労働条件の最低条件を定める労基法や労働安全衛生法などの実効性を確保するために、監督官は、立入権限などを活用した監督指導によって、法違反の是正を促し、迅速に労働条件の確保を図るとされています。重大・悪質な事案は司法処分も可能です。
「安全衛生業務」は、労働者の生命と健康を守るため、労働安全衛生法の規定に基き、事業者が労働災害を防止するための具体的措置を実施できるよう専門技術的見地から行政を展開します。
「労災保険・徴収業務」は、使用者の災害補償責任を担保するための制度である労災保険の適用促進や徴収、給付などを行います。

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依存・期待は危険

労働基準監督署は、〈職場闘争や組合の団結強化のために利用する〉というスタンスがいろんな意味で大切だと思います。依存したり期待するのは危険です。
そもそも窓口に座っている相談員は、まず監督官でありません。大半は、非正規職員(約6割!)の総務・人事経験者や社会保険労務士。ハッキリ言って窓口にやってくる労働者を体よく追い返すのが仕事なのではないかと思うような人物がけっこういます。
解雇など判断が難しい案件は、受け付けないか、他の解決手段を勧めてきます。セクハラやパワハラを相談しても「労働基準法違反ではないので対応は難しい」と言われます。
賃金や解雇予告手当の不払い、36協定違反の時間外労働、最低賃金を下回るなど明確な法令違反は、証拠をもとに申告すれば、監督から是正勧告へと動く可能性はそれなりにあると思います。
とりわけ近年は、相談数が激増して、実際問題として対応しきれなくなっている実情があるようです。
監督行政は、〝通達行政〟ともいわれ、厚生労働省の行政通達を基準・根拠に処理されているのが実態です。
ドラマ放映後、労働者の味方を求めて労基署を訪れた人が「竹内結子はいないのか」とつぶやいたなんて話もあるようですが、監督官は、結局のところ、官僚的な対応に終始して、使用者から「労働者の味方か」と言われ、労働者からも「使用者の味方か」と言われているのが現状です。
救いを求めて労基署を訪れ、相談員の素っ気ない対応にショックを受ける人も少なくありません。労基署にとどめを刺されてメンタルヘルスになる話も聞きます。

職場闘争の戦術

とはいえ職場の労働基準法や労働安全衛生法の違反と闘うことは、労働組合の基礎的な活動であることは間違いありません。職場闘争と結びついた労基署の活用はあってしかるべきだと思います。労基署に一度ぐらい行くことも経験の一つだとも思います。
上述のように相談ではほとんど相手にされません。はっきりと違反事実をつかんだ上で是正を求める(申告)のか、違反者の処罰を求める(告訴・告発)が有効です。まずは相談員ではなく監督官を引っ張り出さなければなりません。相談案件として処理されるとうやむやで終わります。
申告は文書で口頭でも可能です。組合で労基署長宛で文書を提出し、回答を求めればなお良いと思います。申告を受けた監督官は、臨検(申告監督)を行うことになります。そこで法令違反が認められた場合には、その是正のための行政指導を行います。法令違反は是正勧告、改善が必要と判断された時は指導票を交付します。
職場のみんなで押しかけるとか、団体交渉と組み合わせるか、職場闘争の戦術として活用は可能ではないかと思います。

ちば合同労組ニュース 第76号(2016年11月1日発行)より

連載・介護労働の現場から〈働き方編4〉

連載・介護労働の現場から〈働き方編4〉

介護スキル

誰に教えてもらうか

「愛されキャラ」必須最低条件は、身体介護ができること。
そのスキルを習得するのに、一番だめなのは、引っ込み思案。自分の業務で手一杯の先輩は、待っていても丁寧に教えてくれない。だから短期間でスキルを習得するには、刷り込み学習しかない。
これは、と思う先輩を決め、その後を生まれたてのアヒルのようにずっとついて回る。ひたすら真似をし、自分でやってみて先輩に見てもらう。
この先輩の選び方が肝心だ。身体介護のやり方は人によって違う。「介護はこころ」派は×。職人的超絶技巧の持ち主も×。スキルはほどほどで、やり方を根拠をもって説明できる先輩がベスト。
利用者がラクで、職員に負担がかからないということをコンセプトに経験を積んできた人。そういう人は利用者をモノ扱いしないので、利用者の信頼が厚い。その弟子になるのだ。
派閥のボスの弟子になるのが近道だと思うかもしれないが、ボスは権力志向だけで、改革の意思を持たない。後々、ややこしい人間関係に苦しむのが目に見えている。誠実に介護をやっている人とつながるべきなのだ。

リフトを導入する

身体介護のやり方には身体メカニズムによる根拠がある。本来は、生まれたてのアヒルは刷り込みじゃなく、きちんと研修を受けるべきなのだが、途中入社だと、少人数や一人で研修なんかやってくれない。現場で対応するので、いい加減で、半年もたてば腰痛が慢性化する。
施設外で研修を受けるのもいいが、半日で1万円近くの講習費をとられる。書籍、無料ネット動画で我慢するしかない。
移乗(ベッド⇔車いす⇔椅子・トイレ)、入浴、排せつなどの肉体労働は過酷だ。これらの仕事を介護者が直接、利用者を抱きあげたり、持ち上げたりしているのは、外国では見られない。リフトを使う。日本でリフトが普及しないのは、費用の問題と、やはり「介護はこころ」、冷たい機械でなく暖かい人の手でという妄想のせいなのだ。
想像してほしい。華奢で小柄な若い女性のケアワーカーが体重60㌔の利用者の両脇に腕を入れて抱き上げ移乗する。利用者の顔はケアワーカーの肩にうずもれているから、何も見えない。力のない人に持ち上げられているので超こわい。この身体介護のどこが暖かい介護なのか? リフトに乗せられて、顔と顔を合わせて、やさしい言葉を掛けられて移乗するほうが、よほど暖かいし、安全だ。
いいかげんに、この国は補助機器による身体介護を標準化すべきである。機械化を導入している施設は、利用者にも評判が良く、職員も健康理由による離職が減り、定着率がいいという。
(あらかん)

ちば合同労組ニュース 第76号(2016年11月1日発行)より

映画紹介『フラガール』

映画紹介『フラガール』

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昭和40年、大幅な規模縮小に追い込まれた福島県いわき市の常磐炭鉱。炭鉱会社は2000人の整理解雇を提案。石炭産業に代わる事業として温泉とフランダンスショーを見せる常磐ハワイアンセンターを計画。炭鉱で働く人びとや町の多くは反対し、支持を得られないまま事業計画が進む。
家出同然でフラガールを目指す蒼井優が演じる主人公。組合の婦人部長で反対派の急先鋒だった母親(富司純子)が偶然に娘の練習姿を見て賛成に回る。「仕事っていうのは、暗い穴の中、奥底に入って、苦しいとかきついとか、そういうことを我慢して忍耐して、黙々とするものと思っていたけど、美しいダンスをみんなに見せて、それで、みんなを喜ばせるっていう仕事があってもよいんじゃないかと思った」
主人公の親友の早苗一家が印象深い。母親不在で幼い弟や妹たちの面倒を見る早苗が兄弟を前にフラダンスを披露しているところに、運悪く解雇通告を受けた父親が帰ってくる。父親に殴られ長い髪をハサミで切られる早苗。これを知った松雪泰子演じる平山先生が銭湯の男湯に殴り込みの大立ち回り。父親は解雇通告に「30年も勤めて紙切れ一枚かよ」とつぶやき、早苗や兄弟たちと共に夕張炭鉱に向かう……
炭鉱閉鎖の現実と苦悩に立ち向かった町おこし事業の成功物語としては良くできた映画なのだと思う。しかし、富司純子の台詞には複雑な気持ちがずっと残った。早苗の父親の感傷は酒と家族への暴力にしか行かないのか。英国の『ブラス』や『パレードにようこそ』のような連帯感と愛しみのある映画にはならないのだろうか。主人公の兄で、豊川悦司の炭坑夫は良かった。

ちば合同労組ニュース 第76号(2016年11月1日発行)より

電通過労死事件は何を告発しているか

電通過労死事件は何を告発しているか

闘わなければ生きられない

n0076_04_01a 「生きるために働いているのか、働くために生きているのか分からなくなってからが人生」「眠りたい以外の感情を失った」
SNS上に発信された悲痛な叫び。24歳の新入女性社員が過労で自殺に追い込まれた電通過労死事件が衝撃を呼んでいる。
広告代理店のトップ企業の過酷な労働実態。今回は労災と認定されたが、誰の目にも触れずに自殺に追い込まれる労働者が多数あることは言うまでもない。“仕事、殺されても放すな”という電通の「鬼十則」と呼ばれる社風はけっして極端な例ではなく、日本企業の代表例だ。
驚くべきことは、これに対するバッシングとも言える反応だ。「残業時間が100時間を越えたぐらいで過労死するのは情けない」(長谷川秀夫・武蔵野大)、「震災の後の自衛隊員が何時間働いたか想像つかないのかな」(玉井克哉・東京大)という大学教授たちの反応をはじめ、「100時間くらいの残業は当たり前」「そんなブラック企業が嫌なら、辞めればいいのに」という反応がネットで炎上。
ジャーナリズムも悪質だ。「日本を代表する広告会社の電通に対し、東京労働局が抜き打ち調査に踏み切った」「今回の調査には、長時間労働の是正に取り組む安倍政権の姿勢も垣間見える」「もっと労組はモノ申せ」(『朝日』10・15)。労働局や労基署が正義の味方であり、 労働組合は力がないかのように描く。
労災認定の基準となる〝過労死ライン〟は月80時間とされる。死に追い込むまで働かせる労働環境こそ変えられなければならない。これが安倍政権の「働き方改革」であり、電通のようなブラック企業を助長する「残業代ゼロ法案」を虎視眈々と狙う。
闘わなければ生きられない。19世紀の労働者が文字通り血を流しながらかちとった「8時間労働制」。21世紀も同じことが問われている。
(組合員K)

ちば合同労組ニュース 第76号(2016年11月1日発行)より

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労働相談街頭宣伝やってます

 ちば合同労組は大会後、駅頭などで青年部を中心に労働相談のチラシ配りを行っています。チラシを小さめのA5サイズにリニューアルし、目立つのぼり台も功を奏し、例年より反応は上々です。2~3枚取っていく人や、引き返してチラシをもらいに来る人も。「組合費はいくら?」「有給はパートやアルバイトにもあるの?」「知っているよ」など話になります。
「やまゆり園事件」や「電通自殺事件」など、労働環境が社会問題化し、年々、労働環境が酷くなっているように思います。労働組合が求められる時代です。厳冬の来る前に、組合員の皆さんの最寄りの駅や職場で一緒にチラシ配りを行いましょう。

【編集後記】第76号(2016年11月1日発行)より

【編集後記】

韓国では、パク政権と対決するゼネストが約1か月続く。現代自動車(販売数・世界5位)労組のストから始まり、鉄道、地下鉄、国民健康保険公団などの労働組合も無期限ストを断続的に闘っている。ゼネストを主導する民主労総は、新自由主義と闘って生まれた世界で最も戦闘的な労働組合の全国組織。軍事独裁政権との闘い(民主化闘争)などの歴史的遺産も含めて生まれた。97年のIMF構造改革の頃から正規と非正規の団結に途方もない努力を傾注してきた。09年のサンヨン自動車争議(当時の支部長が現在の民主労総委員長)や3年前の鉄道労組の23日間のスト(KTX民営化反対)を経て現在の闘いに。その民主労総の代表団(約30人)が11月6日に日比谷野音に参加、熱い交歓を!(S)

11・6日比谷野音集会に大結集を

動労千葉などの呼びかけで11月6日、東京日比谷野外音楽堂において全国労働者総決起集会が開催されます。ちば合同労組は組合として参加します。組合員以外の職場の仲間、友人・知人・家族を誘ってぜひともご参加ください。

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ちば合同労組ニュース 第76号(2016年11月1日発行)より

節目となる定期大会への大結集を

節目となる定期大会への大結集を

組合員のみなさん、共に闘う仲間のみなさん。ちば合同労組は10月16日、第10回定期大会を開催します。大会への結集をお願いいたします。
区切りの大会ですが、課題は山積みです。結成から丸9年、成果はまだまだささやかですが、進んできた方向性については間違っていないと思います。これまでの闘いに自信と確信を持って前進していきたいと思います。
当初から目指してきた、職場に労働組合(分会)をつくるという基本方向については、介護職場での分会やユニオン習志野など、今後の方向性という点ではこれ以外ないと確信していますが、その規模という点では本当にこれからです。

多くの労働者にとって労働組合が選択肢になるように社会的に登場できる労働組合をつくりたいと思っています。第10回大会は、これまで進んできた道のりに確信を持ちつつ、もう一度、原点に戻り、初心に返って、新たな10年間の道筋をつくる大会にしたいと考えています。
08年のリーマンショックから約8年、世界各国で大恐慌の進展を止めようと必死にやってきました。日本でもゼロ金利がマイナス金利になりました。株価を維持するために年金積立金も突っ込んできましたが約10兆円の運用損が発生しています。円安政策もダメです。
最後の恐慌対策が労働者への攻撃です。ただひたすら大企業や金融資本の利益のために雇用や社会保障を破壊しようとしています。

世界中で労働法制をめぐって社会的な激突が始まっています。安倍政権は、〝働き方改革〟と称して、雇用や賃金、社会保険制度の転覆を狙っています。戦後的な雇用や賃金を破壊するために「同一労働同一賃金」「最低賃金UP」を言っています。安倍政治は決して侮れません。
世界の流れと違うのはただ一点、労働組合の反撃がないことです。労働組合を時代の最前線に登場させることが必要です。何よりもそれは具体的に労働者が団結して闘うことに展望と希望があることを示すことです。人びとの話題に上るような闘いと組織をつくりたいと思います。
2017年は、ロシア革命から百年。第1次世界大戦の最中に労働者が権力を握った革命です。万国の労働者が団結して闘う時代が再びやってきました。第10回定期大会への結集を心より訴えます。(委員長)

ちば合同労組ニュース 第75号(2016年10月1日発行)より

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動労千葉 9・13ストライキに突入

千葉運転区支部3人 工事臨時列車で指名スト

DL業務の改善・高齢者対策を要求

 

実践的に考える労働法 就業規則万能化との闘い

jissen-hou-1実践的に考える職場と労働法

就業規則の万能化との闘い

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(写真 CTSの就業規則改悪に反対する動労千葉)

近年、就業規則の存在が前面に出てきています。就業規則の万能化の動きです。
建前かも知れませんが〈労働者保護〉という労働法の基本線から考えたとき、労働者の同意もないまま使用者側が就業規則を変更することで一方的に労働条件を変更する権限がどこにあるのか、という根本的疑問がわいてきます。
労働基準法は、就業規則作成の義務(89条)や作成手続き(90条)を定めていますが、読めば分かる通り、たんなる手続き規定に過ぎません。就業規則の効力は労使の鋭い争点であり、判決や学説も百家争鳴でした。
ところが07年に制定された労働契約法に「労働契約の内容は就業規則で定める労働条件とする」と明記されました。
さらには就業規則による労働条件の不利益変更について従来の判例は「高度の必要性を要する」とされてきましたが、労働契約法では「合理性」にトーンダウンしています。
つまり、就業規則が合理的な内容でそれを周知すれば、労使で合意した労働契約となるという理屈です。

世界中で闘い

就業規則(労働契約法)との闘いは、労働運動にとって大きなテーマです。
韓国やフランスでも就業規則をより上位に置く動きが強まり、就業規則による労働条件変更を制度化しようとしています。
韓国では、就業規則による不利益変更を大幅に緩和し、勤務成績不振の労働者を簡単に普通解雇できるようにしようとしています。フランスでも、整理解雇の緩和や労働時間の延長が、就業規則を労働協約の上位に置く形で制度化されようとしています。
韓国やフランスの労働組合は激しいゼネストを展開して闘っています。
聞くところによると、日本では、近年の弁護士激増政策で弁護士があふれ、従来は不人気だった労働法を専門にする若手弁護士が増えているそうです。こうした弁護士が最初に学習するのが労働契約法なのだそう。労働組合法や労働基準法を武器にした昔の労働弁護士とは少々趣が異なるようです。

闘いの第一歩

いずれにせよ闘いの手掛かりをつかむために自分の職場の就業規則を入手することは必須です。まずは徹底研究が必要です。

※作成・変更、届出

常時10人以上の労働者を使用する事業所では就業規則の作成義務があります。過半数組合か過半数代表者の意見書を添付して労働基準監督署に届け出る必要もあります。
労基署への届出がなされているかどうか、過半数代表者の意見書が添付されているかどうか大半の労基署は見せてくれないようです。
しかし労基法105条の2は「厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、この法律の目的を達成するために、労働者及び使用者に対して資料の提供その他必要な援助をしなければならない」とあります。
※周知義務
会社側は従来、就業規則の周知には消極的で懲戒処分などに際していきなり持ち出すケースが多かったのですが、就業規則の万能化の動きに伴い積極的に周知する会社も増えています。裁判所も周知していればOKという方向に誘導している印象です。周知されていないのはNGです。

※記載事項

必要記載事項は、「始業及び終業の時刻」「休憩時間」「休暇」「賃金」「退職に関する事項」など。制度があれば必ず記載(相対的必要記載事項)は、「退職金」「安全衛生」「表彰」「制裁」など。
賃金や退職金について別に規則を定めることはOKですが、賃金は絶対的必要記載事項であり、賃金規定は就業規則の一部です。パートや契約社員も対象であり、パートなどの就業規則がなければ一般就業規則がそのまま適用されます。
※労働者の意見聴取義務
使用者は、就業規則の作成・変更を届け出る際には、労働組合または労働者代表の意見書を添付しなければなりません。ところが、この意見書は使用者の一方的な制定権を前提にして単に意見を述べる権利にすぎない扱いです。
とはいえ使用者の一方的裁量が認められるわけではないので、不利益変更に対し反対意見を表明するのではなく意見表明そのものを拒否することは有効な戦術です。さらに労働組合との交渉の状況は就業規則の合理性を判断する重要な要素にもなります。

※効力

労働契約法9条は、原則として就業規則の変更で労働条件の不利益変更はできないとしています。不利益変更でもそれに同意する労働者については変更OKで、反対の労働者は、〝合理性〟の有無が問題になります。合理性が認められなければ、従前の労働条件が効力を持続します。

ちば合同労組ニュース 第75号(2016年10月1日発行)より

連載・介護労働の現場から〈働き方編3〉自己マニュアルと日課表

連載・介護労働の現場から〈働き方編3〉

自己マニュアルと日課表

※手順を身に着ける

施設内のマップはできたかな?
これは便利。コピーしてスタッフに普及させよう。緊急避難にも役立つし、日照など居室環境の維持、利用者との話題にもなる。じっくり見ると、設計の良し悪しでその事業所の経営理念まで透かし見ることができる。
次にマニュアル。マニュアルはいわば仕事の手順、これもなければ作る。
これまでのマニュアルがあっても役に立たないなら作り直す。先輩のやり方をメモし、家に帰ってから排泄、移動・移乗、入浴、食事、雑用などと項目別にまとめる。難しいなら、書店の専門書の介護書籍コーナーに行けば、現場に適用できるマニュアル書籍が多数。
新人にまずマニュアルを習得させるやり方は合理的なのに、「一人ひとり違うから身体で覚えろ」で来たから、基本マニュアルすらまとめる能力がない。それを「介護はこころ」「マニュアルどおりにはいかない」とごまかしているのが実状なのだ。

※時間の管理

マニュアルと同時進行で日課表を作ってみよう。
介護保険上、食事は1日3回、入浴は1週間に2回以上、その他、排泄、更衣、移動・移乗など、業務には時間割があるはずなのに、日課表がない。口伝えの取り決めだけで各職員がセカセカ動き回っている。ムダ、ムリ、ムラな動きは日課表で解決できる。
それに日課表の時間配分と人員配置をみれば、「介護はこころ」=過重労働+サービス残業であることが一目瞭然になる。

※個別ケアの正体

「一人ひとりに寄り添うケア」といって、厚労省の指導下、管理者が個別ケアを強調する。個別ケアといっても、入居者3人に1人の職員配置。これは入居者10人なら職員3・3人が24時間365日を分けあって働くということ。個別ケアなんて、どだい無理な話なのだ。食事、入浴、排せつなど時間を決めて一斉にしかやれない。
n0075_03_01a マニュアルと日課表は、実際の現場では、利用者の状態によって臨機応変、優先順位をつけて対処することを強いられる。だからといって、なければ、介護の質をキープできないし、労働環境を精査することも不可能だ。人手不足であればあるほど、マニュアルと日課表は必要不可欠なものだ。

※愛されキャラ

マニュアルと日課表を作っていく過程で、この仕事に徐々に愛着がわいてくるし、確実に介護のプロとして成長していることが、自分自身でも実感できる。
しかし、立場上は身体介護もろくにできない新人だから、先輩方に嫌われちゃいけない。「ちょっと変わってる愛されキャラ」が一番やりやすい。
(あらかん)

ちば合同労組ニュース 第75号(2016年10月1日発行)より

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