共謀罪は戦争のための団結禁止法

共謀罪は戦争のための団結禁止法

対象は歴史的にも現在的にも労働組合

「この法律がなければオリンピックは開けない」
 安倍首相はこう言って新共謀罪(テロ等準備罪)の制定を急いでいます。この法律は、過去3回にわたって国会で廃案になった世紀の悪法です。
 共謀罪とは、2人以上の者(集団)が、〝犯罪〟を行うことを話し合い、合意する(共謀)することで成立する犯罪のことです。こうなると、電話やメール、SNSの「いいね」のような相談の段階で捜査が可能となります。盗聴や尾行など捜査を含むの広範囲にわたり警察権が広がることが予想されます。
 「やましいことしていないから自分には関係ない」という人がいるかもしれません。しかし、国会では「犯罪を実行する団体に一変したと認められる場合には組織的犯罪集団に当たり得る」と「一般人にも適用可能」という見解を示しています。
 イラスト(東京新聞より転載)のように基地に反対する運動などが対象だと指摘されれていますが、労働組合や市民団体の活動はすべて対象になります。
 現代の治安維持法と言われる由縁は、日本が戦争を始めた時に労働運動や市民団体に対して治安維持法型の弾圧・規制を可能にする法律だということです。実行行為がなくとも「共謀」「準備」で組織体に網をかけて弾圧できる法律は、戦後日本の法律としては異質・異例としか言いようがなく、治安維持法との共通点が強く指摘されるのは当然です。
 この間、秘密保護法をはじめ、国家にとって都合の悪い情報の開示を徹底的に制限する一方で、マイナンバーをはじめ人びとの情報は徹底的に管理する手法が進められています。他方で森友学園事件のような疑獄事件の事実は国会でまともに明らかにしません。共謀罪の導入は、基本的人権や労働3権と同じく、人間が生きるための基本的な権利を奪うことです。

 世界で最初に共謀罪が制定されたのは英国です。その対象はズバリ労働組合でした。労働組合の活動は、労働の自由な取引を制限するコンスピラシー(共謀)であるとして、労働組合の結成自体が違法にされたのです。
 ストライキどころか労働組合が決めた標準賃金以下で働くことを労働者たちが拒否することも共謀罪として犯罪になりました。労働者が団結して要求したり、抗議すること自体が犯罪だとという考え方です。激しい弾圧と労働者の闘いの結果、1824年にようやく共謀罪は廃止され、団結権が合法化されたのです。
 この間も、アムネスティや青法協(弁護士団体)などさまざまな人権団体や宗教団体、滞日外国人の団体が警察の監視対象になっていた事実が暴露されています。上のイラストは市民団体ですが、これはそのまま労働組合にも当てはまります。
 これまでも労働組合の争議行為を会社と警察と結託して威力業務妨害罪や建造物侵入罪などでデッチあげ、組合活動を刑事事件の対象としてきました。
 千葉県警は昨年、ユニオン習志野が組合事務所を借りたことが「詐欺」だとして逮捕しました。共謀罪ができれば組合活動が丸ごと犯罪として捜査の対象になりかねません。労働者の団結を共謀として取り締まることに私たちは怒りと危機感を覚えずにはいられません。
 逆に、個人がバラバラにされるような時代の流れに抗して、労働者同士が団結してつながっていくことで共謀罪の狙いははね返せます。
 新共謀罪は5月連休明けにも、衆院通過とも言われています。職場の労働者どうしで議論を交わし、労働組合として全力で成立阻止へ闘いましょう。(K)

ちば合同労組ニュース 第82号 2017年05月1日発行より

星野文昭さん全証拠開示・再審署名 取り組みを

星野文昭さん全証拠開示・再審署名

 「千葉・星野文昭さんを取り戻す会」から署名の取り組みのお願いがありました。星野さんは1971年11月14日、ベトナム戦争と沖縄基地、そして沖縄返還協定に反対するデモに参加し、物的証拠も一切ないまま機動隊員の死亡の実行犯とされて無期懲役刑を受け、獄中42年です。唯一の証拠とされたのはデモに参加した学生らの「供述証拠」。のちに「虚偽の証言を強いられた」と法廷で証言されました。署名は、検察官が隠す証拠の開示と再審の開始を求めるものです。署名の集約は6月23日です。ちば合同労組に送付していただければ取り戻す会に渡します。ぜひご協力をお願いします。

ちば合同労組ニュース 第82号 2017年05月1日発行より

銚子市立病院・市財政の破綻はなぜ起きたか/第二の森友学園

第二の森友学園 銚子市・千葉科学大学

銚子市立病院・市財政の破綻はなぜ起きたか

安倍人脈が教育反動支配と特区で巨大利権

 第二の森友学園として浮上した「加計学園グループ」。
 現在、焦点ととなっている のが淡路島(南あわじ市)につくられた吉備国際大学と愛媛県今治市に開設予定の岡山理大獣医学部だ。
 南あわじ市では12年、加計学園グループが、生徒減少で廃校となった志知高校(土地・建物の評価額約30億円)の無償譲渡を受け、リフォーム費用20億円ののうち13億円を市が負担し、学生が市に住民票を移せば1人あたり30万円の補助金を出すという破格の条件で大学を開設した。
 南あわじ市はけっして裕福な自治体ではない。当時の市税収入は年60億円。それが土地・建物を無償提供し、税収の6分の1を補助金として提供したのである。
 同じく無償提供で注目を集めているのが今治市の岡山理大獣医学部の用地。約37億円の市有地がやはり無償で学園に渡ることが3月3日に今治市議会で決まった。しかも192億円の施設整備費を市・県と加計学園で折半する取り決め。
 獣医学部の新設は、特区を使って52年ぶりの新設。公募のタイミングなど針の穴にラクダを通すような手配で進んだ。
 学園トップの加計孝太郎は安倍首相の「親友」。
 安倍が大学卒業後に米国へ留学した際に知り合った。第2次安倍政権の発足以降も、判明しているだけでもゴルフ4回、食事10回を一緒にする仲だ。妻・昭恵は、森友学園だけでなく加計学園の運営する神戸市の保育施設「御影インターナショナルこども園」の名誉園長でもある。
 似たような筋書きで、加計学園グループは、岡山県高梁市で約60億円、宮崎県延岡市でも約90億円の支援を受けている。

90億を無償提供

 前置きが長くなったが、千葉県でも似た話がある。銚子市の千葉科学大学。2004年に設立された加計学園系列の岡山理大の姉妹校である。
 安倍首相は、05年の開校式典、14年の10周年式典に出席し、「私と加計さんは、どんな時も心の奥でつながっている腹心の友」と語っている。
 同大学は、日本初の「危機管理学部」を開設したことで有名だ。拉致問題に熱心な安倍首相が「日本にも危機管理のプロが必要だ」と公言していたのと関係があるとの指摘もある。
 千葉科学大学は元銚子市長の野平匡邦が誘致した。野平元市長は97年から99年まで加計学園の拠点である岡山県の副知事で、加計学園・岡山理科大学の客員教授だったこともある。開校前年に市民が1万7635筆の「大学誘致の是非を問う住民投票の請願」を提出したが、市議会が否決した。
 銚子市への大学誘致の条件として加計学園側は土地の無償譲渡と校舎建設費などの補助金95億円を要求した。最終的には77億5千万円の補助金を銚子市が加計学園に出し、土地は無償貸与となった。
 銚子市の一般会計予算は241億円(昨年)。実に財政規模の3分の1を大学誘致に充てたのだ。このときの借金を今なお年間4~5億円も返済している。市債は現在約300億円。08年には市立病院の経営危機が起きたが、今度は市そのものが財政再建団体になる寸前だ。銚子はいま〈第二の夕張〉と言われる。
 森友学園問題を最初に追求した豊中市の木村市議は「この問題の本質は、このカルト右翼学園に対する異常な便宜供与が行われたこと」と語っている。
 安倍は、教育基本法の改悪、「日の丸・君が代」強制、「つくる会」教科書を先導し、教育の民営化と規制緩和を協力に推進してきた。森友学園や加計学園の錬金術的な膨張は、教育支配と教育特区のフル活用ぬきにはありえない。
 ちなみに野平氏は、4月の市長選で返り咲きを目指している。国家戦略特区で加計学園の水産・獣医学部を誘致することを公約にしている。
 「医・獣医など法律で新設を認められない学部は、特区を使って新設すれば儲かる。獣医学部は特区で(岩盤規制に)穴を開けた」と野平氏。
 安倍人脈が教育を破壊・支配しながら教育を隠れ蓑に巨額利権を得て、地方自治体を破綻の危機に陥れているのである。これほどの不正があるだろうか。隣の韓国では、チェスンシル事件をきっかけに百万人規模のデモでパク政権が倒れた。少なくともこれと同程度の事件ではないのか。

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編集後記

 銚子の科学大学についての記事を書いた直後に『週刊朝日』でこの問題を取り上げていた。地元では誰もが知っている話なのだが、今までほとんど認知されていなかったことが恐ろしい。今から振り返ってみると、当時の市民病院廃止反対の闘いはとても重要でした。(S)

 春闘の取り組みはささやかなものでしたが、職場の労働者が団結させ崩さなければ、必ず展望を見出すことはできると感じた春闘でした。(T)

ちば合同労組ニュース 第81号 2017年4月1日発行より

3・19千葉県春闘集会を開催

〝職場に闘う労働組合を〟

3・19千葉県春闘集会を開催

   DC会館で3月19日、千葉県春闘集会が開催され、集会を呼びかけた動労千葉・ちば合同労組をはじめ県下で闘う労組・団体が集まりました。
 冒頭、ちば合同労組の諸町委員長があいさつ。各職場での団交などの春闘の取り組みを報告しました。
 三里塚芝山連合空港反対同盟の太郎良さんが、空港建設予定地で農業を営む市東さんの農地強制収容を阻むため県下の労組に駆けつけて欲しいと熱く訴えました。
 動労千葉の中村執行委員は3月ダイ改に対するストライキや館山における内房線切り捨て反対の取り組みを報告(写真下)。さらに山田執行委員、大竹副委員長、北村特別執行委員、青年部が発言しました。
 ユニオン習志野は、市役所で働く非正規労働者が手取り12万円余の低賃金に対して春闘で時給50円アップの実現したこと、「能力不足」を理由に不当解雇された青年労働者の復職の闘い、組合事務所要求の闘いを報告しました。


 新たに組合を立ち上げた船橋二和病院労働組合、介護職場で夜勤軽減や賃上げ獲得へ闘うちば合同労組南三咲分会が報告を行いました。
 最後に白井書記長が、JRだけでなく医療や学校、自治体など、すべてが〝選択と集中〟にさらされている、これと職場から闘い労働組合を再生しようと訴えました。


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労働学校へご参加を

ちば合同労組では組合として労働学校に集団受講しています。組合員はぜひ参加して下さい。

 テーマ 動労千葉の歴史と闘い
 日 時 4月15日(土)13時~
 講 師 田中康宏(動労千葉委員長)
 動労千葉の歴史と教訓を田中委員長が講演します。 【+職場からの闘いの報告】

ちば合同労組ニュース 第81号 2017年4月1日発行より

実践的に考える職場と労働法 労働3権と労働組合法

実践的に考える職場と労働法

すべては団結することから始まる

労働3権と労働組合法

 労働組合の結成やその活動を(保護も含めて)規制しているのは労働組合法という法律です。1条は、法律の目的として「労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させる」と書いています。
 労働組合法は、労使対等の理念に基づく団体交渉をアシストし、そのための団結や団体行動を擁護するものです。
 憲法28条は「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」とストレートに団結権を擁護していますが、労働組合法は「労働力の集団的な取り引き」のために団結権や団体交渉も認めるという構図になっています。
 もっと単刀直入に団結する権利自体を労働組合法で擁護すべきだと私は思います。
 いずれにせよ団体交渉の助成という法律の目的と枠組みに沿って、労働組合法は、刑事免責(1条2項)や民事免責(8条)を規定し、さらには法人格の付与(11条)や不当労働行為制度(7条・27条)、労働協約の規範的効力(16条)・一般的拘束力(17条・18条)を規定し、積極的な保護を与えています。

団体交渉

 団体交渉に関して労組法1条は「正当な団体交渉については刑法第35条の適用がある」とし、刑事責任は問われません。また団体交渉をしたことや発言を理由にして、「解雇やその他不当な取り扱いをしてはならない」(7条)としています。
 また労組法7条は「使用者は正当な理由がなければ団体交渉を拒否することができない」とし、団交を拒否すれば不当労働行為、法律違反となります。使用者側は

①組合員名簿や規約の提出
②組合の要求が過大である
③忙しくて交渉時間がない
④従業員以外の者の出席
⑤組合員は従業員以外ダメ
⑥要求の中に人事権や経営権など交渉の対象にならない事項がある
⑦出席人数を制限しろ

 ――などを理由に交渉を拒否するケースがありますが、①は組合への内部干渉、②要求過大と交渉するしないは別問題、③別の日時を提案、④誰を交渉員するかは組合の自由、⑤組合員の範囲は組合自治、⑥労働条件に影響があるものは交渉事項、⑦交渉委員の数は組合が決めること……であり、いずれも交渉拒否の理由にはなりません。

労働協約

 労働協約は、労働組合と使用者との間で組合員の賃金、労働時間、休日・休暇などの労働条件や、労働組合と使用者との関係に関する事項について団体交渉で合意に達した事項を①書面にし、②労使双方が署名または記名押印したものをいいます。
 この2つの条件を満たしていれば、「協約」「覚書」「確認書」などの名称やスタイルにかかわらず労働協約としての効力があります。労働協約は、労働契約や就業規則に優先して使用者と労働者との関係を決める効力があります。

争議行為

 労働組合の正当な争議行為は、刑事上の処罰や民事上の責任が免除され(労組法1条2項、8条)、さらに不当労働行為制度で保護されます。
 ストなどの争議行為で業務の運営を阻害しても刑事上の罪にならず、使用者は損害を受けても、組合や組合員に対し損害賠償請求できません。また争議行為の指導・参加を理由に解雇などの不利益な取り扱いはできません。
 スト権は、組合規約に基づき組合員または代議員の直接無記名投票の過半数による決定が必要です。一般にストは開始よりも収拾が難しく、組合内部の意思統一などをしっかり行う必要があります。

不当労働行為

 労組法は、使用者が行ってはならない反組合的行為を不当労働行為として禁止しています(労組法7条1項)。不当労働行為に対しては、団体交渉や争議ではね返し、団結権を回復することがまずは大切です。その一環として労働委員会に救済の申し立てもできます。労組法が禁止する行為は次の通りです。

1. 不利益取り扱い(組合員であること、組合に加入・結成を理由に解雇その他の不利益取り扱い)
2. 黄犬契約(組合に加入しない、脱退を雇用条件にする)
3. 団体交渉の拒否
4. 支配介入(組合の結成や運営に使用者が介入)
5. 経費援助(組合の自主性・独立性を損なう費用援助。交渉時の勤務解除や最小限の事務所提供はOK)
6. 労働委員会の申し立てを理由とした不利益取り扱い
 労働委員会は、不当労働行為かどうかを判定し、救済命令を出します。二審制で都道府県労働委員会と中央労働委員会があります。(S)

ちば合同労組ニュース 第81号 2017年4月1日発行より

連載・介護労働の現場から〈働き方編9〉サービス残業しない方法

連載・介護労働の現場から〈働き方編9〉

サービス残業しない方法

 介護業界は、休憩取れない、残業代が支払われないという労基法違反が横行している。
 人手不足のため、目いっぱいの過重労働でも時間内に仕事がこなせない。「しかたない」「利用者のために」と改善をあきらめている労働者こそが、サービス残業を横行させている根本原因。
 辞めて転職しても、介護業界はどこもサービス残業のオンパレード、そもそも国の人員配置基準が少なすぎるから、転職は解決にならない。地に足をつけて、いまの勤務先でやれることを戦略的にシミレューションしてみよう
*問題を表面化する
 帰る時刻になっても、黙って仕事を続けるのはやめよう。「今日も帰れない」と言ってみる。利用者に聞こえても構わない。利用者にも理解してもらう必要がある。そして決して退勤時刻にタイムカードだけ押して、戻って残業しないこと。

*残業制限ルール
 残業代の支払いについて、会社によっては、残業申請を制限するルールがある場合がある。
 〈利用者のケア以外の、申し送り、記録などの事務仕事、イベント準備などは残業として認めない〉〈掃除やかたづけ作業などは労働時間外にやること〉〈職員会議、利用者家族との面談にかかった時間は労働時間としてはカウントしない〉
 ふざけるなと言いたい。記録、イベント、かたづけ、会議、面談は、介護職の立派な業務、労働として認めないという屁理屈は勝手にほざいてろという類のものだ。むろん、これらの制限ルールは明らかな労基法違反だから、就業規則には載せていない。従うことはない。
*残業を認めないのは誰なのか
 時間外手当の申請の方法を確認しよう。申請用紙はあるのか、誰に提出し、誰が承認するのか? 一般的には残業の事実とその事由を把握できる現場の管理職によって残業手当の有無が決定される。そこでシャットアウトされれば事業所全体の問題。「しかたないでしょ」という仲良しの職員は説得しよう。会社が刑事罰もある法律違反行為を犯しているのにあきらめることはない。
:労基署対策
 労基法違反だから仲間と労働基準監督署に訴えよう。でも、労基署は泣きついてもなかなか動いてくれない。法律に基づいてしか動けない行政機関だから、こちらも準備がいる。労働時間を毎日きちんと記録する。残業未払いの証拠となる給料明細書。これらの証拠の揃え方は専門家のアドバイスを受けるといい。
 介護事業所にとって労基署から是正勧告を受けるというのは、打撃が大きい。信用を失うばかりか、罰金刑になれば、都道府県は事業所の指定取り消しをすることまでできる。だから慎重にね。労基署行くことは会社に秘密にしておこう。いきなりガツンとやって労働者の力を見せつけてやろう。このタイミングで労働組合結成もありかな?(あらかん)

ちば合同労組ニュース 第81号 2017年4月1日発行より

映画紹介『十字架』

映画紹介『十字架』

 重松清原作。リアルで重い。他人事ではなく、自分の周りでもどこにも起きるいじめ自殺。全編を通じて号泣シーンが続く。スクリーンからは観ている者へ容赦ない問いが発せられ、うちのめされる。商業映画としてよく制作できたと思う。
 中学2年生のフジシュンはいじめを苦にして自殺。遺書には加害者の氏名と共に同級生のユウ、ひそかに恋心を寄せたサユの名も。「助けを求めるフジシュンに何もできなかった」――重い十字架を背負い、ユウとサユは家族を訪れる。 「お前たちは親友のくせに、息子を見殺しにしたのか!」と迫る家族に戸惑い続ける。
 「あのとき」の真実を家族に伝えるも、より傷つき、慟哭する。最後までハッピーエンドも「正解」も示されず、「十字架」から背を向けずに向き合う厳しさと激しさを示唆している。ラストシーンでフジシュンがサッカーのゴールを決めた時のとまどった表情。誇張せず等身大に描かれている。
 今回は自殺防止と命を守るキャンペーンの一環でこの作品を紹介された。映画の舞台は教室だが、職員室の勤務評定や雇い止めは「いじめ」ではないのか? 職場の中のいじめ・過労死・パワハラ・仕事はずし・スキル評価……さらには国鉄分割・民営化のときに抗議自殺をした200人のこと、最近では電通の過労自殺… …映画と現実の思いは交錯するが労働現場で起きていることは、経営による「虐殺」ではないか?
 組合として学ぶことは職場の中に生きる紐帯をつくること、それは労働組合の重要な役目だと思う。両親役の永瀬正敏、富田靖子も好演。フジシュンの死の場面では本当に号泣したそうだ。(W)

ちば合同労組ニュース 第81号 2017年4月1日発行より

館山集会、習志野裁判/抵抗拠点は労働組合

館山集会、習志野裁判

新自由主義への抵抗拠点は労働組合にあり

 

 館山市内で2月4日、「内房線切り捨てのダイヤ改正に反対する集会」が開催され、地域住民など170人が集まりました(写真上)。ちば合同労組からも約10人が参加しました。
 JR東日本は「選択と集中」と称してローカル線を切り捨て公共交通機関の役割を投げ捨てようとしています。内房線は一昨年の特急廃止に続き、3月ダイ改で特別快速の廃止と木更津駅での普通列車折り返しの〝系統分離〟が強行されようとしています。
 これに対して動労千葉の地元支部と地域住民が一緒になって今回の集会が企画されました。元教員の松苗禮子代表が「各駅停車の折り返し運転反対、元のように特急を走らせてと運動できれば大きな力になる」と訴えました。
 地元出身の青木愛・参院議員など議員も多数参加。住民から「住み慣れた所を離れることはできない」「直通運転の廃止はやめて」「生徒の移動は列車。直通でないと不便」「近い将来の第3セクター化に向けて反対運動を」などの意見が出されました。
 動労千葉木更津支部の山田繁幸さんが、ダイ改のたびに館山運転区廃止、特急の廃止が行われてきたことを指摘し、すでにワンマン運転が導入された久留里線では、昼間の時間帯は5時間半も列車が走らず、駅も無人化され、始発・最終列車の削減も提案されたと訴え、「地域と内房線の切り捨てに、会社の言いなりで黙ってはいられない。声をあげ続けたい」と決意を語りました。
 この集会は新聞も大きく取り上げ、「集会を陰で支えたのが国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)」(朝日新聞)と報じました。

*   *

 2月17日には、習志野市障がい者解雇撤回の第2回裁判が行われました。裁判に先だち裁判所周辺の繁華街デモもありました(写真下)。
 この裁判にも、地元の労働組合や市民、議員、また全国の障がい者団体など本当に多くの人びとが自らの課題や問題意識に重ね合わせて力強い支援と連帯を寄せています。
*   *
 労働者が職場から闘いを開始することが社会的に普遍的な意義を持ち、多くの人びとに支持される中で職場の団結が強化され、労働者が立ち上がる――ここに労働運動の一つの可能性と展望が示されていると思います。3月19日の春闘集会に結集を(書記長)

ちば合同労組ニュース 第80号 2017年3月1日発行より

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労働学校へご参加を

 ちば合同労組では組合として労働学校に集団受講しています。組合員はぜひ参加して下さい。

テーマ 港合同の闘いの教訓

日時 3月18日(土)13時~
講師 木下浩平(港合同執行委員)
 港合同の歴史と教訓をいまこそ生かすことが求められている。【+職場からの闘いの報告】

実践的に考える職場と労働法/労災保険制度の歴史と仕組み

実践的に考える職場と労働法

故意・過失の有無問わず労災の補償

労災保険制度の歴史と仕組み

 かつて労働災害の補償は、労働者や遺族の側に、使用者に過失があったこと、さらには使用者の過失と災害との間に因果関係があることの立証が要求されました。大変な手間と費用などが必要でした。しかも労働者側に過失があれば過失相殺によって賠償額は減額されました。
 労働災害をめぐる長い苦闘の末、〈そもそも労働災害は企業の営利活動に伴う現象であり、企業活動によって利益を得ている使用者に当然に損害の賠償を負わせて労働者を保護しなければならない〉との考えが社会的に形成され、やがて法律として労災補償が制度化されました(法律は労基法と同じく1947年)。
 こうして、雇用に起因して生じた事故による負傷や疾病、障害や死亡、職業病などについて、使用者は、故意・過失の有無を問わず労災補償を労働者になすべきこととなったのです。
 労災保険は、使用者の加入が強制的に義務づけられている政府運営の保険制度で、被災労働者に対する使用者の補償責任を保険料(と一部国庫)を財源として補填します。
 労働者を一人でも使用している事業主は原則として強制加入。現在では小規模な個人経営の農林水産業を除く全事業が強制適用事業となっています。保険料全額を事業主が支払い、その事業所で働く労働者の賃金総額に保険料率を掛けて算出します。
 保険関係は、届出とは関係なく、事業が開始された日に法律上当然に成立します。事業主は10日以内に届出を出す義務がありますが、仮に未届けで保険料を収めていない事業所での労災でも労働者への保険給付は行われます。この場合、事業主は保険料を追加徴収され、故意や重大過失の場合には保険給付に要した費用も徴収されます。

労災認定

 業務災害の認定に必要な条件として、「業務遂行性」と「業務起因性」が挙げられます。簡単にいうと、その業務に従事していれば、ほかの人でも同様の災害が生じる可能性があった場合は、おそらく労災に該当すると思います。
 そもそも「業務遂行性」「業務起因性」は、法律による根拠がない厚生労働省独自の基準です。労災認定の枠を限定しようとする傾向に多くの労働者や遺族が苦闘してきた歴史でもあります。
 近年は、脳・心臓疾患の業務災害に関する判断については厚生労働省の判断基準にとらわれず労働者に比較的有利な判断をするケース、精神障害による自殺について労働基準監督署長の業務外認定を覆す裁判例も増えています。
 石綿による疾病の業務上認定についても長く放置されてきましたが、21世紀に入ってから健康被害の拡大と長期進行性が社会問題化し、石綿健康被害救済法が制定され、医療費や療養手当の支給、労災保険上の遺族補償給付に準じた特別遺族給付などが行われるようになりました。
 業務中、トイレに行く途中で転んで骨折した場合なども業務災害となります。出張中の業務災害も広く認められます。自然現象による災害も、職場に定型的に伴う危険であれば業務起因性があります。阪神大震災や東日本大震災による災害も多くが業務上の認定を受けています。

保険給付

①療養補償給付:診察、薬材・治療材料の支給、処置・手術、入院など

②休業保障給付:療養のための休業の4日目から支給。1日につき給付基礎日額の6割。これに加え2割の休業特別支給金で計8割を補償

③障害補償給付:治癒後に障害が残ったとき、その障害の程度に応じて年金や一時金

④遺族補償給付:原則的には年金、例外で一時金
 その他、葬祭料や介護補償給付などがあります。通勤災害については、療養について200円の一部負担金があるほかは業務上災害と同じ内容の保険給付です。

労災隠し

 建設現場は重層的な請負関係が大半なので建設現場を一つの事業単位とみて元請が一括して保険関係の適用を行うことになっています。下請B社や孫請C社の労働者がケガをした場合でも、元請A社の労災保険を使って保険給付が行われます。
 ところで、労災保険には労災事故が少ないと保険料が安くなり、事故が多いと保険料が高くなる〝メリット制〟という仕組みがあります。建設業は保険料率も高いので大規模な建設現場になるほど保険料の額が大きくなり、メリット制の影響も拡大します。
 このため、元請企業の圧力や下請の自主規制で「治療費はすべて面倒みるから健康保険で治療してくれない?」という「労災隠し」が起きるわけです。こうなると労災原因も究明されず、ケガが悪化した場合の補償もなされません。〝ケガと弁当は自分持ち〟の悪弊は昔の話ではありません。

ちば合同労組ニュース 第80号 2017年3月1日発行より

連載・介護労働の現場から〈働き方編8〉 それ労基法違反

連載・介護労働の現場から〈働き方編8〉

それ労基法違反ですから

 介護業界は、人手不足と命を預かる現場だからという理由で、労働基準法違反の労働慣行が平気でまかり通っている。違法な職場ルールをチェックしてみよう。

①サービス残業

 人手不足だと、当然、時間内に仕事が終わらない。次のシフトにその仕事を押しつけて、「ハイ、さよなら」と帰ることはできない。
 それに、利用者に不測の事態、救急搬送とか介護拒否がある場合、これも帰れないで、何時間もの残業になったりする。
 あと、委員会やイベントの準備は業務時間内に時間がとれないので残ってやるのが暗黙のルールで、職場の人間関係上、「帰れない」。
 問題は、それがほとんどの介護の現場でサービス残業になっていることである。なぜタダ働きなのか? 残業未払い問題は、働き方改善の突破口なので、稿を改めて論じたい。

②欠勤は代理を探さないと認めない

 介護現場はシフト制。決まったシフトに欠員がでると、業務がまわっていかないので、代わりのスタッフを探さなければならない。でも、それがなぜ労働者の義務なのか? 欠員の補充は事業者側の責任。「代わりの人がいないなら出勤して」という命令は違法。欠員対応は事業者にまかせましょ。

③遅刻・欠勤の罰金制度

 遅刻や欠勤を減らすために、遅刻30分5千円、欠勤5万円減給なんてペナルティ、信じがたいが、介護業界にはまだまだある。減給は就業規則に記載がなければ違法。就業規則にあっても、労基法では、1回の額が平均賃金1日分の半額を超えないこと、額が月給の賃金の10分の1を超えないことという上限が決まっている。激務で体調壊して休んでいる人間から、さらに大金をぼったくる雇い主にだれがついていくかよ。
 ④時間外の仕事や連絡
 オフの日でも、電話やメールをバンバンよこして、業務対応させたり、職場に来るように呼び出す。呼び出しで出勤しても、休日扱いで賃金払わない。これも労基法違反ですから! 

⑤有給休暇を理由によって却下

 いちいち有休の理由を聞いたり、書かせたりする職場がある。「遊びに行くなら出勤してよ」「家族旅行、他の日に行けないの?」とうるさい。理由は「私用」だけで充分。労働者に有休日を決める権利がある。ただ、事業者は「時季変更権」というのがあり、繁忙期などは取得をずらしてくれないかをお願いする権利はある。
 これ以外にも多々あるが、業界に巣くう暗黙のルールなんか無視して、まず勇気をだして「それ、労基法違反ですから!」と言ってみよう。(あらかん)

ちば合同労組ニュース 第80号 2017年3月1日発行より

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