介護労働の現場から〈14〉自立できる①

介護労働の現場から〈14〉
2014年06月01日
自立できる①

私のひそかな利用者自立大作戦の朝が来た。出勤するとAさんとUさんは、朝食後に興奮を抑制する精神病薬を飲んでいるのでおとなしく席に座っている。
「Aさん、おはようございます」。焦点の定まらない目がこちらを向き、にっこりと「おはよう」。
「Uさん、おはよう」。近寄り手を添えて目を合わせると「おはようさん!」。元気がいい。
朝の申し送りのミーティングで今日の相棒スタッフのWさんに「今日はAさんとUさんには動いてもらおう」。Wさんは私より後に入職したので、私が教育係、先輩風を吹かせる。
今まで攻撃性の認知症のふたりは、他の利用者に迷惑が及ばないように腫物扱い。攻撃性が感じられたら場から離すという方針で来た。おとなしい時に動かすというのは禁じ手なのだ。
Wさんは「大丈夫? わざわざ動かさなくても、いつか勝手に動きすぎるほど動くよ」
「動くエネルギーを解放して、ちゃんと動けるような生活に変えていく。管理者には了解をえているよ」
Wさんは「?」。先輩といっても三か月だけの先輩の言うとおりにして、また利用者に殴られ鼻血をだすことにならなければいいが…。不安そうな表情だ。
「ごめんね、Wさん。まともな生活させてあげたいのよ」。元教職で不登校問題に取り組んできたWさんにしか通じない説得だが「うん、なんか面白いかも?」と応じてくれる。独りの大作戦は二人の共有になった。
座っているAさんの所に行きクイックルワイパーを見せる。「これ知ってる? こうやってゴミ取るんだよ。ほら」。付いたほこりや髪の毛を見せると、目が輝いた。「一緒にやってみようか」。私と二人で廊下を行き来する。
そろそろデイサービスの利用者が到着する時刻なので玄関に向かう。ガラガラと戸が開いてデイの到着。彼女のクラスの生徒たちが登校してきたよ。Aさん、クイックルを振り上げて「おはようございます」。デイの人たちが「あぶないよ」と苦笑い。それを受けてAさんも大笑い。さぁ、みなさん、一日の始まりだよ。
Uさんは便をもてあそぶ癖がある。トイレに行かないでパンツ内排便をし、気持ち悪いのでそれをつかみ、その手を壁や柱、自分の衣類で拭いて、手の便を取り除こうとする。Uさん付近で異臭があると、もう手遅れ。後始末に30分はかかる。他の利用者から「臭いよぉ」「何やってるんだよ」と非難が集中するのでUさんの野獣が復活、スタッフは便をきれいにしなくちゃいけないわ、野獣パニック状態を収拾しなくちゃいけないわ…。だからUさんは「トイレに行こう大作戦」だ。彼女の暴力を鎮めるため夫はしばしばトイレに閉じ込めていた。だからトイレには恐怖感がある。「トイレで排せつしなくてもいい。トイレを好きになってくれ」と心で願いながら、Uさんとトイレに向かう。
(あらかん)
(ちば合同労組ニュース 第47号より)

ブラック派遣会社T社 派遣期間を偽装

ブラック派遣会社派遣会社T社

派遣先とグルになって派遣期間を偽装

団体交渉拒否は不当労働行為だ! 直接雇用の責任とれ

ハロワークと同じビルにオフィスを構える人材派遣会社のT株式会社は、派遣先の船橋二和病院の薬材センターにおいて、同 一の業務・同一の指揮命令にもかかわらず、途中から別の派遣先になったように装うことで最長3年の派遣期間を超えて、Kさんを派遣していました。

●直接雇用の申込義務

労働者派遣法の規定により、いかなる企業も3年を超えて派遣労働者を受け入れることはできません。派遣受入期間の制限を超えて派遣労働者を使用しようとする場合は、引き続き派遣先での勤務を希望する者に対し、直接雇用を申し込む義務があります。

ところが、派遣会社T社と船橋二和病院薬材センターは、Kさんの派遣期間が3年4カ月の時点で不当にも解雇したのです。
そもそも現行の労働者派遣法は、派遣労働を「臨時的・一時的な働き方」としています。Kさんの仕事は、医療材料の在庫管理などの仕事です。病棟や部署ごと に違う医療材料や消費状況を把握し、患者さんの生命と健康を守る責任ある仕事です。断じて一時的・臨時的な業務ではありません。

船橋二和病院は、派遣会社T社とグルになって病院の大切な仕事を派遣に置き換え、クーリング期間をおいて3年の派遣期間をリセットしたり、契約書の派遣先名称を変えるなどして、違法な派遣を続けてきたのです。
Kさんは、労働組合に加入して派遣会社T社と交渉を行いました。派遣会社T社は3年を超えて同一事業所・同一業務で派遣が行われていたことを認めました。
労働組合の要求によって、派遣会社T社から、派遣先の船橋二和病院薬材センターに対して直接雇用を申し入れることになりましたが、驚くことに派遣会社T社は 二和病院に対して直接雇用の要請に対する「回答」を求めないという不誠実な態度に終止しています。要請は形式的アリバイなのです。

人材派遣会社T社は、派遣期間を偽装して3年を超える違法な派遣を続け、それが発覚してもなお派遣先をかばい続け、当該の派遣労働者の直接雇用の要求を踏みにじり続けているのです。派遣会社T社は、違法な派遣を謝罪し、Kさんの直接雇用の責任を取れ!

●一人で悩まず相談を

派遣会社T社で働く派遣労働者のみなさん。千葉で働くすべての労働者のみなさん。
「ちば合同労働組合」は誰でも個人で加入できる地域の労働組合です。職種や職業、正規や非正規の雇用形態の違いに関係なく加入できます。

労働組合は、労働者による、労働者のための、労働者の自主的な団体です。「ちば合同労働組合」はみなさんと一緒に不当解雇や残業代未払い、不安定雇用や安全問題など、職場の問題を解決し、働く者の権利や誇りを守ります。

 労働問題は一人で悩ますご相談下さい。

一人でも入れる地域の労働組合

(発行)ちば合同労働組合
千葉市中央区要町2―8 DC会館
℡ 043(225)2207

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(写真 人材派遣会社の前で抗議。通行中の市民に訴える医療労働者と組合員)

ゼンショー・すき家で働くみなさんへ

ゼンショー・すき家で働くみなさん

2014年5月30日
ちば合同労働組合 書記長 白井徹哉

5月29日「肉の日」のストライキ実施に対し予想をはるかに超える反響がありました。たった一人の、しかも工場でのストではありましたが、全国で唯一スト権を行使したストライキとして少なくない意義はあったのではないかと考えています。
GFF船橋工場ではスト通告の際に拍手が起き、出勤時に何人も同僚が笑顔で声をかけてくるなど、手応えを感じました。

「すき家」の過酷な職場実態を社会問題化させたのは、全国の「すき家」で働く人びとの声と力です。一人で仕事を辞めたり休んでも力にはなりませんが、みんなで歩調を合わせれば社会を動かすパワーとなります。私たちはそれを目の当たりにしました。

「ちば合同労組」は、「すき家」で働くみなさんの声と行動を支持し、ともに進んでいきたいと考えています。労働組合として可能なこと、得意なことを進めていきます。
ちば合同労組は、昨年9月30日の定期大会でストライキ権を確立し、すき家で働くみなさんが加入すればいつでも指名ストを実施できます。安易にスト権を行使するつもりはありませんが、今後も「肉の日」ストが呼びかけられれば積極的に検討します。
また5月28日にゼンショーホールディングスと工場部門の株式会社GFFに団体交渉を申し入れました。すき家の従業員が組合に加入次第、すき家にも団体交渉を申し入れます。
当面は、組合への加入を広く呼びかけ、団体交渉を進めて要求項目の実現を目指します。多数が参加する大衆団交を実現したいと考えています。千葉県内で働く人のみならず、団体交渉に参加できる人、応援してくれる人ならば、全国から広く加入を呼びかけます。

ゼンショー・すき家で働く方の組合費は定額1000円とします。ストライキ実施の際には賃金カットされるので、組合からの賃金補償が必要となります。小さな労働組合で資金力は限られています。ぜひスト基金としてカンパを寄せて下さい。

(組合費) 定額1000円

(団体交渉)

組合に未加入でも組合の委任があれば参加できます。まずは連絡をください

(連絡先)

住所: 千葉市中央区要町2―8 DC会館
電話: 043(225)2207
メール: chiba_goudou@yahoo.co.jp

(カンパの送り先)    ゆうちょ銀行 〇二九(ゼロニキユウ)店 当座 0096870 チバゴウドウロウドウクミアイ

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すき家で働くみなさん ちば合同労組はストに入ります

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ゼンショー(すき屋の親会社)の食肉加工工場lに出勤する仲間に「すき屋」の労働条件の改善とストライキで一緒に立ち上がろうとうったえました。(2014年5月29日朝)

すき家で働くみなさん

ちば合同労組はストに入ります

昨日(2014年05月28日)、団体交渉を申し入れました

組合に加入し職場環境を変えよう

千葉県内のすき家で働くみなさん。食品コンビナートで働くみなさん。本日5月29日「肉の日」に全国の「すき家」での一斉ストライキが呼びかけられています。
昨日(2014年05月28日)、「ちば合同労働組合」はゼンショーに正式に団体交渉を申し入れ、ストライキを通告しました。本日午前8時、ゼンショーで働く組合員は指名ストライキに入ります。

 ゼンショーへの要求は下の4項目です。

このストライキは、直接には、ゼンショーのGFF船橋工場に「組合をつくろう」と呼びかけるものです。店舗閉鎖にともなう減産が、労働時間の短縮・工場閉鎖という事態になろうとしています。
すべては会社の責任です。しかし、小川賢太郎社長は、6月の株主総会で全国のすき家を分社化し、大量リストラでのりきるつもりです。小川社長の資産は546億円。米経済誌フォーブス「日本の富豪」ランキング48位です。時給1000円にも満たない労働者をこき使って、都合が悪くなれば閉鎖し、「日本人は3Kはやりたがらない」と居直るブラック企業は許せません!

昨日、工場に申し入れした組合員に対して、職場で拍手が起きました。このストライキは、すき家をはじめ外食産業で働く人びとに「労働組合に入ろう」と呼びかけるものです。「労働組合」や「ストライキ」という言葉が、若い世代に復権しつつあります。

「ちば合同労働組合」は、誰でも個人で加入できる地域の労働組合です。組合に加入しともにゼンショー・すき家に対し行動しよう。

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❖ちば合同労組の要求事項

①店舗の要員を増やし、ワンオペを廃止する

②5月29日のストライキ(すべての形態)参加者を処分しない

③店舗閉鎖や減産などに伴う従業員の不利益をすべて補填する

④アルバイト・パートの時給を一律1500円に

――以上の4つの要求で団体交渉を申し入れました。組合に入って一緒に団体交渉を

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誰でも一人でも入れる地域の労働組合
(発行)ちば合同労働組合
千葉市中央区要町2―8 DC会館
℡ 043(225)2207
chiba_goudou@yahoo.co.jp

(2014年05月29日)

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すき家で働くみなさん ちば合同労組は4つの要求で団体交渉を準備中です

すき家で働くみなさん

ちば合同労組は4つの要求で団体交渉を準備中です。

組合加入し職場環境を変えよう

千葉県内のすき家で働くみなさん。
5月29日の「肉の日」にストライキを決行する運動がツイッターや掲示板などで拡大しています。
私たち「ちば合同労働組合」は、誰でも個人で加入できる地域の労働組合です。ちば合同労組にはゼンショーで働いている組合員がいます。28日までに左にある4つの要求の実現を求めて団体交渉を行いたいと思います。
また店舗閉鎖や工場の縮小など今後の企業再編などに対する不安が高まっています。今後の状況などについて現状報告
や見通しなどについて明らかにするよう求めます。

 組合に入れば誰でも団交できます

団体交渉は、憲法と労働組合法で保障された権利です。すき家は正当な理由なく団体交渉を拒否できません。組合員及び組合の委任を受けた人は誰でも参加できます。
29日のストライキに先立ち、団体交渉を申し入れます。ちば合同労組に加入して一緒に団体交渉を行い、要求を実現しよう。要求はまだ案の段階です。賛同される方は、組合に加入しともにゼンショーに対し行動しよう!

(連絡先)
043(225)2207
chiba_goudou@yahoo.co.jp
「ちば合同労組ですか? すき家のことで電話しました」とお伝え下さい。
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★ちば合同労組の要求案

①店舗の要員を増やし、ワンオペを廃止する

②5月29日のストライキ(すべての形態)参加者を処分しない

③店舗閉鎖や減産などに伴う従業員の不利益をすべて補填(ほてん)する

④アルバイト・パートの時給を一律1500円に

――以上の4つの要求案で団体交渉を申し入れる予定です。
意見を寄せて下さい。組合に入って一緒に団体交渉を
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fly20140527sukiya.pdf (PDFファイル)

 

すき家で働くみなさん!労働組合に加入してストライキを

すき家で働くみなさん!

労働組合に加入してストライキと団体交渉を

千葉県内のすき家で働く労働者のみなさん。

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5月29日の「肉の日」にストライキを決行する運動がツイッターや掲示板などで拡大しています。
私たち「ちば合同労働組合」は、誰でも個人で加入できる地域の労働組合です。どんな職場にも労働組合をつくることができ、もちろん団体交渉もできます。
すき家と団体交渉やろう
団体交渉は、憲法と労働組合法で保障された権利です。すき家は正当な理由なく団体交渉を拒否できません。
団体交渉の窓口を開かせて、要員増やワンオペの解消などを実現し、負担があまりに大きい「すき家」の労働環境を改善させたいと思います。
組合に入ってストライキを
ストライキは憲法28条(勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する)により保障された基本的人権の一つです。
ストが正当なものであれば、労働者が働くことを拒否して店舗が閉鎖したり損害が出ても、組合員は刑事処罰されませんし、損害賠償も受けません。ストを行った労働者を不利益扱いすることも法律で禁止されています(不当労働行為)。
上の写真は、JRの関連会社で行ったストです。ストライキや団体交渉の経験がある組合員がサポートします。一緒に「すき家」に労働組合をつくってストライキや団体交渉をやろう! 随時、加入の申し込みや相談を受け付けています。下記の電話かメールで連絡ください。

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JR幕張車両センター スト決行!

5月2日、JR幕張本郷駅に隣接する幕張車両センターにおいて車両清掃や点検などを行うJR関連会社で十数人がストライキに入りました。
JR千葉鉄道サービス株式会社(CTS)は、社員のほとんどが契約社員で超低賃金、経験のない新人に検査業務をさせるなどのブラック企業ぶりに対抗するストライキです。
仕事の段取りもよく分からないのに陰湿な手口で労働者をいじめる行方所長への抗議には、拍手喝采で大きな支持を集めました。

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043(225)2207
chiba_goudou@yahoo.co.jp
「ちば合同労組ですか? すき家のことで電話しました」とお伝え下さい。

一人でも入れる地域の労働組合
ちば合同労働組合
千葉市中央区要町2―8 DC会館 ℡ 043(225)2207

ブラック企業に組合つくろう!郵政も同じ

低賃金・残業代ゼロ・長時間労働・過労死…。労働者はモノじゃない!

ブラック企業に組合つくろう!

2014年5月

 郵政で働くみなさん! 出勤ご苦労様です。私たちは、千葉県下で働く労働者でつくる労働組合・ちば合同労組です。

安倍政権は、「残業代ゼロ」を打ち出し、長時間労働の強制、労働者を総非正規職化しようとしています。郵政も新一般職を導入し、安倍の狙う限定正社員制度の導入の最先端を走っています。連合はメーデーに安倍を「招待」している始末です。
4月から消費税が8%に増税され、労働者に生活苦がおしつけられます。私たち労働者が「生きさせろ!」と声をあげるのは当然です!
韓国では、非正規職化がもたらした「セウォル号」の沈没事故に対して、韓国労働者の大反乱が始まろうとしています。
ちば合同労組も、労働者の生活と権利をかけて闘います。

ATTETION!

ブラック企業で悪名高い「ワタミ」や「すき家」に異変が起きています。24時間連続シフトや夜間の1人勤務などの過酷な勤務に対して、「もうやっていられない!」という労働者が大量に退職し、店舗が次々に閉鎖されています。これは膨大な青年労働者の怒りの噴出です! ブラック企業にとどめを刺す時です! 郵政も同じように“ブラック”です。労働組合に入って団結し、ブラック企業と闘おう!

ちば合同労組に相談してください。秘密は厳守します。相談料は無料です。

介護労働の現場から〈13〉君臨VS武闘派

介護労働の現場から〈13〉
2014年5月2日

君臨VS武闘派

この国の65歳以上高齢者のうち認知症の人は推定15%で462万人。家族介護は、認知症が進んだ状態で限界に達することが多い。だから介護施設の利用者は、認知症が圧倒的だ。介護というと身体ケアを思い浮かべる人も多いが、身体に障害がなく認知症だけの利用者に対する「認知症ケア」も介護職の大きな仕事だ。
私のいた職場にも、そのような身体的にはほとんど自立している認知症の利用者が何名もいた。2名紹介しよう。
最初に赤城さん。元小中学校の教師で夫との二人暮らし。夫が病気で介護できなくなり入居した。アルツハイマー型認知症で感情の起伏が激しい。朝はだいたい顔をしかめて泣いている。慰めるつもりで声をかけると、いきなり怒り出す。立ち上がり「エラそうにいうんじゃないよ。あっち行け」。
だから、そっとしておく。デイサービスの人が来るとニコニコして「みなさん、おはようございます」。先生口調だ。利用者がみんな揃うと席をたち徘徊を始める。廊下をウロウロ。施設から抜け出すので、スタッフは目を離せない。玄関を出ていこうとするのを止めたいスタッフとひと悶着。「何をする。どけ! あっち行け」。スタッフに体当たりしたり、つかみかかって噛みつく。だからといって、散歩に連れ出すと、道路を走りだし、「警察呼んでくださ~い」と大声を出す。
こんな様子だから、いままで何か所も施設を転々。以前いた特養では君臨し、他の利用者を10名も家来のごとく引き連れて夜中に集団脱走をし、特養にいられなくなった。彼女は「先生」の仕事をしただけなのに…。
次に宇田川さん。彼女も夫と二人暮らしで、家庭内暴力の武闘派で家じゅうの物を壊し、近所に向かって叫ぶので施設に入居。だが2日で退去させられる。その後、夫は暴力に耐えながらずっと介護してきた。彼女自身にも顔や腕、背中などに押さえつけられ、殴られたアザが多数ある。夫は低姿勢で「助けてください。病院も施設も行くところがないんです」。
スタッフは受け入れに猛反対した。他の利用者に何をするかわからない人物を昼間2名体制でコントロールできるはずがない。それに赤城VS宇田川になるに決まっている。でも、責任者は受け入れちゃうんだよね。宇田川夫は嬉々として彼女を連れてきた。「今、いつもの3倍の薬を飲んできましたから、昼前まではぼうっとしていますが、ヨロシク」。
昼がきた。昼食時、突然しゃべりだした。「あたしは、こんなもの食わないよ」と言いながら隣の利用者のおかずを手づかみで食べる。そのおかずを投げ、隣の利用者の髪の毛をつかみ、椅子を蹴って立つ。まるで野獣だ。スタッフが近づくと逃げて障子に体当たり。後始末をするのは私たちだ。
こんな利用者たちを自立させる私のひそかなプロジェクト。責任者には宣言したが、他のスタッフには言えない。薬の効いている朝食後に開始しよう。
(あらかん)
(ちば合同労組ニュース 第46号より)

個人病院で春闘賃上げ要求に挑戦

私の職場紹介

ちば合同労組ニュース 第46号より

個人病院で春闘賃上げ要求に挑戦
職場の仲間と賃上げを院長に要求

私の職場は個人病院で労働者が職場には3人しかいません。
一人は20年以上働き続けている非正規雇用の先輩で午前中のみの勤務になっていて、もう1人はある曜日の午後のみで彼女も非正規職です。私だけ正規職でそれぞれ雇用形態も賃金も違っていて、でも仕事はひとつの作業を除いてはみんな同じ仕事をしています。
雇用形態の違いと、さらに賃金の違いによる分断もあり、なおかつ職場内は人手が足りないため、ろくに話をする時間もないくらい忙しい状況でした。
どうにか話す時間を作りたいと苦闘していたのですが、先輩と去年の暮れぐらいからランチを一緒ができるようになり、〈人手を増やすためにアクションを起こそう。そのための話し合いをしていこう〉と話してきました。
お昼休みを一緒に過ごす時間も増え、愚痴を聞きながらも、先輩が職場の現状をどう見ているのか……何をいまやりたいと思っているのか。何に怒っているのか……を少しずつつかめていけました。
病院の都合でいきなり午後も出てくれと言われたり、あるときは数日間、終日出勤してくれと言われることもありました。先輩にも家族がいて、やらなくてはいけないことがあるのにも関わらず、否応なしに出ざるを得ない状況への怒りもありましたが、一番の怒りは、賃金の低さでした。
20年以上も働き続けているのに時給は2000円にもならない。家族を抱えている先輩にとって、一年に一度の昇給はとても重要な、切実な問題なのだということを知った私は、自分も腹を決めて「賃上げ要求をしませんか!?」と提案しました。
私自身、恥ずかしながら賃上げ要求を職場ですることは初めてのことだったので、院長がどう出てくるか分からず不安ではありましたが、この賃金の分断を突破していくためには先輩と一緒にいま賃上げ要求をすることが必要なんだと思い、心を決めました。
1週間話し合い
二人で一週間近くいくら賃上げ要求するかを話し合いました。
お互いにいままでの昇給はどういう形だったのかを話して、ふたりで2000円の賃上げ要求を決めました。ただ、もう一人の先輩の賃上げ要求をしないというのは考えられない。先輩に「彼女にも話をして、3人で賃上げ要求をしませんか?」と話したところ、やろう! と。彼女の要望を聞いたところ「(働きはじめてから)今まで100円の時給アップだけなので500円で!!」と言われたので、彼女の気持ちを尊重して、彼女は時給500円アップ、私たちは2000円にしようと最終的に決め、院長に二人で言いに行きました。
先輩も「2000円あげてください!」と勇気をふりしぼって言い、私も「賃金の差別をするのはやめて下さい。二人は2000円の賃上げを要求します。もう一人は500円の賃上げを要求します」と言いました。
あの時の気持ちとか感情や感覚は忘れられません。労働者が本来持っている力――この力が発揮されたとき、資本は弱っちい存在になる。
まだ分会という形にはなっていませんが、ある方から「分会ができてから闘いが始まるのではなく、闘いが始まったときに分会ができる」と言われたので、焦らず一歩ずつ進んでいきたいと思っています。

労働者の視点で物事をみる、世界をミル

ちば合同労組ニュース 第46号より

労働者の視点で物事をみる、世界をミル

news46_01_01a 介護施設で働いているが、施設に慣れない利用者によく「早く家へ返して」「こんな年寄り、どうして閉じ込めておくのよ」と言われる。
そこで考えた。――「金儲けのため」だ。
昔はこんな施設はほとんどなかった。あるとすればやんごとない事情で独り暮らしできない身寄りのない老人を、国の措置として受け入れる施設だ。普通のお年寄りは家族に見守られて人生の最期を迎えた。
高度経済成長とともに少子化が進行する。核家族化の中で親の介護の負担は大きくなる。労働者の賃金はさらに削られ、夫の給料だけでは家族を養えなくなり夫婦共働きが当たり前になってくると、もはや家庭での介護は不可能に。やんごとない事情が全社会的に強制されてきたとも言える。
そこに救世主として現れたのが介護保険法。介護を金儲けの道具に、市場の食い物にする施策だ。
もともと老人の世話などしたところでなんの「生産性」もないわけだから、資本家にしてみれば「早く死ね」というのが本音なんだろうが、そうも言えないので邪魔になんない所へ閉じ込めておく。それに加えて、日本の繁栄を築いてきた世代はそれなりに懐(ふところ)に蓄えている。その富を全部吐き出させるのが眼目だろう。
良心的な社会福祉法人などは淘汰(とうた)され、より獰猛(どうもう)な株式会社が新規参入し、ハイエナのごとき外注化が利用者からでは飽き足らず労働者からも骨の髄までしゃぶり尽す。
――こうやって私はいまメシが食えているわけである。私の労働そのものが資本家に富と力を与えていると考えると実に虚しくなるわけだが、労働過程を押えておかなければまずは自分の力にもならない。
でもまあ、このように私のない脳みそで適当にこしらえた理屈なぞ世間一般じゃ通用しないというか、適当なこと言ってオルグしても労働者は見向きもしないだろうから、ちゃんと勉強しなきゃなと痛感させられる。
毛沢東曰く「調査なくして発言権なし」である。
9・11や3・11で明らかなように、この世界は嘘と捏造(ねつぞう)と厚顔にも大々的に繰り返される宣伝とに満ちている。
あらゆることを疑って自分の頭で考えることが大事だし、新しい仲間と運動を創っていく上で「車輪の再発明」も無駄なことだとは思わないが、自分一人の空想を語っちゃいけない。自分の頭で考えるとは他から学ぶことと対立することではないんだ。
news46_01_01b 何を芯に据えて学ぶのか。デカルトは「我思う、ゆえに我あり」を哲学の第一原理に据えたが、私たちは労働者であるということを芯に据えて学ぼう。労働者の視点で物事を見る。世界を見る。それを教えてくれるのが労働学校だ。5月17日、ぜひ労働学校に結集しよう!
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【編集後記】
〝レジリエンス力〟という言葉が流行しています。日本語にすると〝逆境力〟〝回復力〟ということらしいです。つまり、競争社会の中で、会社員が心が折れないように、メンタルヘルスにならないようにするために、企業やコンサルタントで、学術・心理学の世界で開発が進み、ビジネスになっているそうです。
「逆境に耐える」という言葉から来るイメージは、三国志に出てくるような武将だとか、五輪に出場するアスリートなどを連想します。しかし、以外にも楽観性だとか柔軟性な考え方、ポジティブな心の持ち方が、逆境を乗り越える力だともと言われています。ただ、一番のベースには、愚痴を言ったりいろんな気持ちを共有したりできる人間関係(夕人や家族)の力が不可欠だそうです 。これらを見ても、労働組合にとって仲間の存在を大切にすることが、とても大事なことだと思いました。(組合員K)

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