〈書評〉港合同『企業の塀をこえて』
ちば合同労組の「壁」を超えるには!?

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組合ニュース29号(2012年12月5日付)に引き続き、大阪の合同労組である「全国金属機械港合同」について考えたいと思います。今回も港合同の故大和田事務局長の著書『企業の塀をこえて』からです。港合同は、「港」という地域全体を一つの企業と考え、企業の塀をこえた運動を長期にわたって積み上げてきた合同労組です。500人の組合員を擁した田中機械支部が中心に座って、港地域の地域的な団結をつくってきたのが港合同という合同労組です。
大和田事務局長は、港合同のめざす地域合同労組と地域ユニオンと呼ばれる個人加入の労働組合との違いは拠点をつくるという方針を持っているかどうかにあると書いています。
大和田事務局長は、解雇や権利侵害に直面した労働者を救済する地域ユニオンの大切さを評価しつつも、それだけであれば「駆け込み寺」になってしまうと指摘します。それだけでは、有効な戦略・戦術を立てて大きな敵に立ち向かい、攻撃の根源に向かって闘っていくことはできない、と。
労働者個人の相談を受けていくと組織は何十人、何百人となるかもしれないが、人数が増えれば増えるほど、担当者(オルグ=組合用語。労働組合をつくったり拡大することを任務とする人のことです)が少数のままだと組合を維持し、有効な闘いを組むことができない矛盾を抱えることになります。
そういう点から考えても、拠点組織をつくることが組合を維持・発展させていく上で不可欠であると強調しています。
大和田事務局長は、次のように港合同の組織論・運動論を展開しています。
港合同の組織論・運動論の一つ目は、「企業の塀をこえた運動を」「地域は1企業であり、支部は職場分会である」という活動目標です。中小零細が大半の港地域では、企業内に閉じこもっていたのでは、運動が制約され、視点が小さくなる。だから、企業別組織である支部や個人加入の労働者を地域的に結集させ、地域総体の組織を活用して闘うことに努めています。
2つ目は、労働者の連帯、交流の場を日常不断につくることです。中心となる「活動家」の意識を高めることも必要ですが、それだけでなく地域の労働者同士が日常的に交流を持ち、連帯を深めていくことが大切です。港合同では、争議中(特に倒産争議)の支部に地域から集まることに力点を置いています。倒産争議で職場を守っている支部職場に地域の組合員も一緒に寝泊まりして交流することによって、街や駅で会ったときにも会話するようになるとか、一緒に遊びに行ったりすることが、本当の労働者としての交流だ、と言っています。
3つ目が、やはり闘いの原点は職場活動にあります。ここは書き始めるとこれだけで1ページになるので割愛します。
4つ目が、地域合同労組を駆け込み寺にとどめるのではなく、〈闘いの砦〉にすることです。大和田事務局長は、優秀で献身的な執行部役員の存在の大きさも示しつつ、逆に幹部闘争のみになったり、闘争を収支やコストで考えるような打算的考え、あるいは闘いの必要性を考えず、敵の力量を一方的に評価し、闘いを避けるようになってはならないと厳しく指摘しています。
その他、自覚的団結と経営の蚕食なども訴えています。
港合同の経験や教訓を、機械的に当てはめても仕方ないですが、ちば合同労組が飛躍・発展していくために大切な示唆を与えてくれると思います。組合内の議論を活発にする材料として書きました。みなさん、ご意見よろしくお願いします。(S)