「生産性」の行き着く果て

世界一の通販企業アマゾンで起きていること

 アマゾンは世界最大級のネット通販の巨大グローバル企業だ。この間、「流通業界の崩壊」的な事態と共に、新聞や雑誌をはじめ様々な情報媒体で、アマゾンの巨大倉庫における過酷な労働実態が暴かれ、話題となっている。

3人の死亡事件

 アマゾン日本法人で最大の物流拠点である小田原倉庫では、この3年間で3人の死亡事故が起きている。この酷暑で倉庫内は36度を超す蒸し風呂のような暑さ。広大な敷地を労働者が1日中探し回って歩く。その距離は1日20㌔に及ぶ。60㎏を超す重い段ボールを台車に積み下ろすこともある。
 劣悪な職場環境と重労働によって熱中症や疲労骨折、腰痛などでバタバタと労働者が倒れている。しかも、休憩時間は短縮され、ろくに休憩をとらせない。この行き着く先に死亡事故が起きたのだ。しかし、アマゾンは、「業務起因性はない」と主張。多くの労働者に、動揺と怒りが広がっている。

管理システム

 労務管理システムもひどいものだ。アマゾンの社員は倉庫にはほとんど見当たらず、数社の請負会社の社員や派遣労働者がその業務を担う。
 チェックは厳しく、まるで犯罪者のように金属探知機付きのゲートを通らされ、手荷物検査を受ける。スマホはもちろん万歩計の持ち込みさえも禁止。さらに、AIやロボットが導入され、合理化が進む。ここでも呼号される言葉は「生産性」だ。
 アマゾンは世界中で最も潜入取材の対象となっている企業だがその記事の多くが「地獄」「強制収容所」「想像を絶するプレッシャー」の文字が踊る。

世界一の富豪

 アマゾンのCEOのジェフ・ベドスは18年度の世界長者番付でトップの世界一の大富豪。膨大な最低賃金かつ過労死寸前の労働で支えられている。クロネコや佐川急便が撤退した後、この荷物の輸送を担うのは、請負契約で「個人事業主」とされた運送労働者だ。ネットで注文したら翌日届くようなシステムそのものが、180度間違っている。

世界中で闘い

 この夏、世界中でアマゾンに対する闘いが開始された。スペインでは、7月プライムデーと呼ばれる安売り期間に焦点を定めて3日間のストライキを敢行。欧州各国で連帯行動が広がった。
 千葉県にも、市川塩浜駅や印西にアマゾンの巨大倉庫がある。毎日、膨大な労働者がアマゾンの物流倉庫に行き交っている。このアマゾンに労働組合の旗が立つ日はいつか。(組合員K)

ちば合同労組ニュース 第97号 2018年09月1日発行より