イタリアでパレスチナ連帯ゼネスト

ガザ支援船団防衛で200万人が参加
イタリアで10月3日、ローマ中心部に100万人の津波が押し寄せた。ナポリ・ミラノ・ボローニャ・トリノなど全国各地でデモが行われた。
イスラエルへの兵器・物資を送る主要港をはじめ、鉄道や高速道路が封鎖され物流がストップ。港湾・運輸労働者を先頭に医療従事者、教員がストライキの主力となり、市民はデモで連帯し、学生が大学を占拠。数十年ぶりの闘いにイタリア中が沸いた。
ガザ支援船団の闘いが欧州に波及
今回のゼネストは、パレスチナ・ガザ地区へ支援物資輸送を行っていた「グローバル・スムード船団」に対するイスラエル海軍による拿捕・拘束への抗議の政治ストだ。
船団にはスウェーデンの環境活動家グレタさんをはじめ議員や弁護士、医師など約479人が乗船。8月末にスペインの港からガザへ出航した決死の直接行動は、イスラエルのドローン攻撃をかい潜って進み、欧州の政治を大きく揺さぶった。
スムード船団はイタリア労働運動にも、巨大な化学変化をもたらした。9月には最大労組のCGIL(イタリア労働総同盟)やUSB(職場労働組合連合)が数十万規模のスト。5つに分断されてきたイタリアの労働組合がゼネスト方針で一つに団結し、10月3日、一挙にそのエネルギーを解き放った。
「船団の仲間と20分でも連絡が取れなくなったら、ヨーロッパ全土を封鎖する。ジェノヴァの港湾からは釘一本も打ち落とさない。これは世界規模のストライキだ」
この港湾労働者のゼネスト宣言が、数百万の労働者の心を揺り動かした。
なぜゼネストが成功したのか
なぜゼネストが準備されたのか。第一に、長年にわたる地道な組織化と戦略的な労働組合活動の成果だ。
イタリアの戦闘的労働組合は、民営化やコロナ禍に立ち向かい非正規や公共部門の移民労働者を組織し、現場から闘ってきた。労働者による下からの圧力は、慎重な姿勢をとっていたCGIL執行部にゼネストの決断をさせた。
第二に、この2年、パレスチナ人の組織と労働組合が密接に結びついた全国ネットワークが形成された。反アパルトヘイトで培ったボイコット闘争の経験が発揮された。
ジェノサイドに中間的立場はない。ガザ虐殺に対する原則的な立場は、組合組織を強化し、労働者が政治を取り戻すきっかけとなった。急進的で組織化された労働組合が職場や地域を変革し、より広範な闘いとなり、世界の政治的現実を変える力を持つことを示した。

極右メロー二政権を直撃
イタリアは米独に次ぐ世界第3位の対イスラエル武器輸出国。またウクライナ戦争の泥沼化は欧州政治の軍事的依存を強めている。
この軍事化と直接対決したゼネストは、極右メローニ首相を動かし、パレスチナ国家承認へ向かわせた。今回のゼネストはナチス占領軍やムッソリーニ政権などのファシスト勢力と戦ったパルチザン戦争の伝統を甦らせたと言われる。極右台頭に揺れる欧州だが、その突破口をイタリア労働者が切り開いた。
ちば合同労組ニュース 第184号 2025年11月1日発行より
