ユン大統領が逮捕! 韓国労働運動に続こう

世界の労働運動
非常戒厳令 韓国民衆が見せた底力
ユン大統領退陣へ!百万労働者の波 
▨死を覚悟した行動
 年の瀬の12月、韓国で驚くべき事態が起きた。尹錫悦大統領が突如として「非常戒厳」を宣言した。戒厳軍兵士が国会に突入、「政権転覆を目論む反国家勢力」と名指しされた野党勢力の逮捕者リストを手に「片っ端から拘束せよ」と指令を受けていた。
 一報を聞いた国会議員や活動家や市民が国会前に集結し軍隊と対峙した。銃で撃たれることも覚悟した彼らは特殊部隊が議事堂内に押し入ることを身を挺して防いだ。深夜2時すぎに民主労総が無期限ゼネストを宣言。解除を要求する決議が可決され6時間で戒厳令が解除された。
▨国民行事的な大規模集会
 45年ぶりの戒厳令に対する民衆の闘いは継続した。
 街頭に百万人超の民衆が連日集結。デモ行進にはあらゆる階層の人びとが集まり16年の朴槿恵打倒のろうそくデモを彷彿とさせた。演説やコールに続き労働歌とKポップを合唱する政治イベントとなった。クリスマスなどの年末行事と重なった集会には友人やカップル、家族連れで参加する光景も目立つ。そして1月15日、ユン大統領はついに逮捕された!
▨継承された経験と教訓
 一連の事態は「韓国独特の国民性」では説明できない。「抵抗しなければ、権力者の暴力に支配される」ことを韓国の労働者民衆は身をもって経験している。
 多くの労働者が80年代の軍事独裁政権の戒厳令のもとでの過酷な支配、労働組合への過酷な弾圧を記憶している。今年のノーベル文学書を受賞した作家ハンガンが光州事件を題材とするなど、映画や文学なども含め世代を超えて共有されている。
 戒厳指令1号には、言論・表現の自由の制限、政治活動やスト・集会が禁止が記載されていた。為政者がどれほど労働組合を敵視しているのかが分かる。権力維持のためにはどんな手段をもいとわない。これはトランプや兵庫県知事にも似た世界共通の為政者スタイルだ。
 「法や民主主義を守れ」の言説や理念だけでは立ち向かえない。一人ひとりの労働者民衆の底力こそ権力の暴走を止める。韓国民衆は身をもって示した。日本を含めた全世界に共通する課題だ。
ちば合同労組ニュース 第174号 2025年1月1日発行より