保育の2025年問題 規制緩和の果ての突然閉園
「保育の2025年問題」をご存じでしょうか? 25年に総人口の約2割が75歳以上の後期高齢者になると推測され、社会保障制度や医療・介護などに影響を及ぼすことは以前から指摘されてきました。
25年に保育現場でにどんなことが起きるのか? 厚労省が21年に発表した報告書「保育を取り巻く状況について」によれば、保育園を利用する児童数は25年にピークとなり、以降は減少していく見込み。
保育の対象年齢である0~5歳の人口は下降の一途だ。13年の634万人から21年には571万人、8年間で63万人も減少した。女性の就業率(25歳から44歳)は上昇しているので保育施設の必要性は直ちに減るわけではない。諸事情を勘案してそのピークが25年と予想されているのだ。
これにより保育園の閉鎖や統廃合が各地で加速している。経営競争は激化、保育士の失業も予想される。賃金などの労働条件の切り下げも懸念される。
数年前に社会問題化した「待機児童問題」が解消されたわけではないが、すでに定員割れとなる保育園も出てきている。規制緩和で株式会社の参入が解禁され、さらに児童待機対策として認可保育園以外の形態の保育園が多数できた。認可外保育園は撤退のハードルが低く、定員割れで採算割れすれば閉園するとの発想も強い。
この間、園児虐待事件の報道が増加し、保育士の集団退職や助成金の不正使用、保育園の突然閉園などのニュースも多い。保育士不足を口実に配置基準の改善も進まない。労働組合として考えなければならない課題は多い。