労働組合こそ生きるための闘いの先頭に

広報

労働組合こそ生きるための闘いの先頭に

(先月に引き続き執行委員会で議論した文書です)

貧困や雇用破壊、公衆衛生後退が背景に

(1)首都封鎖の情勢

 新型コロナウイルス感染者は世界で70万人、死者は3万人を超えました。1週間で3倍増のペースです。有効な対策が取られなければ最大4千万人が死亡との恐るべき分析も出ています。
 日本でも感染ルートが把握できなくなりオーバーシュート(爆発的な感染)の可能性が出てきました。小池都知事は「首都封鎖(ロックダウン)」に言及し、1都4県の知事が外出自粛を呼びかける共同声明を発表しました。
 イタリアは死者8千人を超えました。イタリアは日本に次ぐ巨額財政赤字国でEUが求めた財政緊縮策として医療費削減が推進され、過去5年で約760の医療機関が閉鎖され、医師や看護師が不足する状況でした。きわめて危機的な医療提供体制をコロナが襲ったのです。
 医療従事者も医療資源も極度に不足する中で労働者は必死に闘っていますが、恥知らずにもコンテ首相は「アウトブレイクの原因は病院のエラーだ」と糾弾。イタリアの労働者は「新型コロナと闘うためにまず医師と看護師を守ろう」とストも含めて闘っています。
 日本の医療機関もギリギリの局面にあります。日本の病院数は1990年に1万超ありましたが現在8300余。高齢化が世界一のスピードで進む中で病院が2割近く減ったことがどれほどのことか。
 かつて世界保健機関(WHO)から総合点で世界一と評価された日本の医療保険制度ですが現状はきわめてシリアスな状況にあります。
 とりわけ公立病院が激しい削減と民営化―統廃合の攻撃にさらされています。424公立病院の統廃合が何をもたらすのかをイタリアの現状は示して余りあります。
 クラスター(集団感染)が発生した大分医療センターは民営化・統廃合の攻撃にさらされる独立行政法人化した国立病院です。発症後も勤務せざるをえなかった看護師ら2人の医療従事者が犯罪者扱いされています。
 1999年に伝染病予防法が廃止(現在は感染症予防法)されるまでは(人権などの諸問題もあったが)各自治体には伝染病院や伝染病隔離病舎(施設)がありました。しかし感染症予防法による感染症指定医療機関はきわめて貧弱なのです。
 新型コロナウイルスはポリオや結核などの2類感染症相当に指定されましたが、対応する第1種感染症指定医療機関は全国で100床あまりしかありません。事態の当初から余力がない状況なのです。

(2)感染症の時代

 感染症は細菌やウイルスによって引き起こされます。かつて野生動物を家畜化したことで人間社会には多くのウイルスが持ち込まれました。麻疹はイヌ、天然痘はウシに由来します。現代は、人類の生態系への進出(開発)や国際的人口移動の拡大などによって、人類史上最も感染症が拡大しやすい時代なのです。
 ペストやコレラなど感染症は有史以来、人類にとって最重要の問題でした。戦後、公衆衛生の大幅な向上や抗生物質・ワクチンの開発により多くの感染症が制御できるようになり、1980年にWHOが天然痘根絶を宣言すると、「もはや感染症は人間の生命と社会に深刻な影響を及ぼす力は持たない」と軽視されるようになったのです。
 現代医療は、巨額の利益を生み出す高度先進医療や医療機器開発に偏重。世界の医療費の90%が10%の種類の病気ために費やされ(高度先進医療)、世界の10%の先進国のために90%の医療費が使われているのです(いわゆる「90/10分割」)。
 しかしマラリアや結核などの感染症は今なお世界中で多くの人命を奪っています。21世紀に入ってからSARSやMARSなど新たな感染症の脅威が生じています。
 日本でも70年代までは年間1千人を下回っていた季節性インフルエンザによる死者数は2010年以後右肩上がりで増え3千人を超えています。O157やノロウイルスなどの耐性菌も深刻です。
 グローバル化による国際的人口移動の拡大だけが原因なのではなく、公衆衛生の後退、非正規雇用や貧困の拡大による受診抑制なども大きな原因になっているのです。
 近年、介護施設等での結核感染も増えています。高齢化の問題もありますが、介護職場の人手不足などで介護職場が疲弊し、職場の安全衛生が後退していることも背景にあります。なにより結核行政の後退が大きな原因となっているのです。
 戦後、結核患者数は大幅に減少したが根絶したわけではありません。しかし90年代に多くの懸念を無視して予算や厚生施設数、教育や研究の努力を後退させたのです。92年に全国852か所あった保健所は現在472か所と実に45%も減少しています。
 結果として90年代以降、集団感染の増加や重症化、高齢者などの社会的弱者の発症が増加しているのです。

(3)世界大恐慌の再来

 新型コロナウイルスが医療崩壊を引き起こしたわけではなく、新自由主義がコロナ問題を引き起こしたのです。コロナは新自由主義の弱点や矛盾、危機性を鋭く露呈させています。しかもそれは貧困層や移民、高齢者など社会的弱者を直撃し、医療や公衆衛生、失業や住宅、教育などの諸問題を引き起こしています。
 コロナは実体経済と金融市場を直撃し、大混乱を生み出しています。世界中の株式市場が下落し続け、安倍政権の政治的生命線ともいえる日銀ETFや年金GRIFは数十兆円規模の巨額損失を出しています。
 「百年に一度」といわれた08年リーマンショックを超えて1929年世界大恐慌の再来が問題になっています。大変な歴史的局面が迫っています。ゴールドマン・サックスの見通しでは20年4~6月期の米GDPは24%減。モルガン・スタンレーの見通しでは30%減。現在3・5%の米失業率は30%に達する可能性も指摘されています。
 リーマン以来の10年超の恐慌対策は巨大な矛盾と危機を蓄積させてきました。そして数十年続いてきた新自由主義は社会を著しく疲弊させてきました。その矛盾が累乗化して一挙に噴出しています。
 世界大恐慌後の時代、米国の労働者はそれまでの労働組合の退潮状況を打ち破って「餓死するな!」を合言葉に生きるための闘いを開始し、農民や移民出身、女性や黒人などの半・見熟練工を組織して労働運動は再生しました。
 こうしたことが真剣に問題になる情勢がすぐ近くまで来ています。これまで培ってきた組織や運動を、文字通り大恐慌の時代に立ち向かい、労働者を組織し、闘いぬくために再確立しなければならなりません。ちば合同労組も組合員ミーティングなどを開催(案内は別紙)し、新たな船出を行います。ぜひ結集をお願いします。

ちば合同労組ニュース 第117号 2020年04月1日発行より