実践的に考える職場と労働法

労働者(過半数)代表者とは

未組織労働者の組織化を意識した戦術に有効

労使協定とは

 36協定や変形労働時間制、みなし労働時間制など、労働基準法・育児介護休業法・高年齢者雇用安定法などで定められた所定の事項について、法定義務の免除や免罰の効果を発生させるのが「労使協定」です。
 1980年代から労使協定の範囲が拡大しています。労使協議の範囲が広がることは良いことかといえば、それは早計です。労働基準法は、労働条件の最低条件を定めたもの(例えば1日8時間以上の労働は禁止)ですが、労使協定があれば使用者は法違反を問われません。いわば〝免罪符〟なのです。
 だから労使協定の定めがあるものは、本来はすべて罰則を伴う規定があります。労使協定の拡大はそれだけ労働基準法の定めがあいまいになることを意味するのです。
 近年は、労使協定だけでなく、企画業務型裁量労働制や高度プロフェッショナル制度のように労使委員会や本人同意の条項により最低基準を適用除外する傾向が強まっています。
 いずれにしても法律で定めた最低基準をさらに下回る例外協定なのだから、そのことを肝に据えて労働組合としての戦術・態度を考えなければなりません。
 もちろん力関係など様々な事情から応じざるを得ない場合もあるし、労働者代表の選出を通して労働組合の強化につなげることもできるし、闘い次第で労働者に有利な労働条件を盛り込ませることもできるはずです。
 使用者からすれば、労使協定がなければ労働基準法違反で処罰されるのであり、逆に言えば、労働者側からすれば、それなりの取り引きは当然だし、使用者の譲歩をかちとることも十分できるはずです。
 労使協定の締結は、まず「過半数労働組合」が、それがない場合は「労働者の過半数を代表するもの」(労働者代表)が労働者側の当事者となります。過半数労働組合かどうかで戦術は変わりますが、過半数組合でない場合は、特に未組織労働者の組織化を意識して積極的に関わるべきだと思います。

労働者代表の役割

 労使協定で最も有名なのが36協定です。この労使協定を結んで労働基準監督署に届け出なければ、法定時間(原則1日8時間、週40時間)を超えて労働させることや、法定休日(月4日)に労働させることはできません。労働者代表が36協定を拒否すれば、使用者は労働者に対して1分たりとも残業を命ずることはできません。
 36協定のほかに貯蓄金の委託、賃金の一部控除、変形労働時間制(1か月単位は就業規則のみでも可能)、フレックスタイム制、休憩一斉の例外、専門業務型裁量労働制、有給休暇の計画的付与、などで労使協定が必要です。

安全・衛生委員

 さらに労働者代表は、安全衛生委委員を推薦することができます。
 建設・運送・製造業などで50人以上あるいは100人以上で安全委員会の設置が義務づけられています。衛生委員会は50人以上の職場はすべて設置義務があります。安全・衛生委員会は、労使が共同して労働者の危険や健康障害を防止するために調査・審議する組織です。委員のうち半数については、労働者代表の推薦に基づき指名されます。
 就業規則の作成・変更については、労働者代表の意見聴取が必要です。使用者は、労働者代表の意見書を添付して労働基準監督署に届出義務があります。

代表の選出方法

 労働基準法はただ「労働者の過半数を代表する者」とあるだけで、その選出方法も任期も定めていません。このため会社側が指名したり、親睦会の代表者が自動的になるケースがありますが、これはNGです。36協定などは無効となります。
 労働者代表は、①管理監督者ではなく、②労働者による自主的で、公平かつ民主的な方法で選出された者であることが必要です。
 労働者代表の選出について労働組合側が主導権を握ることを強く意識しなければなりません。選出委員会を設置することを要求し、委員の数は最低でも労使同数とさせます。労働者委員が多い方がなお良い。選出委員会の活動は勤務時間中でまったく問題ありません。確認して下さい。
 選出方法は、厚生労働省の通達では、労働者の話合いや持ち回り決議もOKとしていますが、事業場の労働者すべてを対象とした選挙を主張すべきです。
 選挙実施が決まれば、選出委員会のもとに選挙監理委員会を設置(移行)し、選出方法の公示、立候補受付、選挙活動、投票、開票の日程を進めます。交替制勤務の場合などは選挙期間には数日が必要となります。ポスターやビラ配布など選挙活動についても確認が必要です。投票箱の管理など投票管理は選挙監理委員会が行います。

ちば合同労組ニュース 第100号 2018年11月1日発行より