特定技能、5年で34万人受け入れ
外国人労働者146万人 安倍政権下で2倍以上に
今年4月から新たな在留資格「特定技能」が始まった。
現在、日本で働く外国人労働者(約146万人)をカテゴリーで分けると、
①就労目的で在留が認められる者(約27・7万人)
「専門的・技術的分野」などの在留資格で、大学教授や企業経営、弁護士や医師、語学教師や技術者、介護福祉士や外国料理の調理師やスポーツ指導者などが対象だ。
②身分・地位に基づき在留する者(約49・6万人)
在日韓国・朝鮮人などの永住者、日本人・永住者の配偶者、ブラジルなど日系3世の定住者など。これらの在留資格は在留中の活動に制限がないため日本人労働者と同様に働くことができる。
③技能実習(約30・8万人)
「技術移転を通じた開発途上国への国際協力」という建前のもとで、〝技能実習〟〝研修〟の名目で雇用関係のある在留資格。過酷な長時間労働や低賃金、虐待などで5年で2万6千人が失踪している。
④特定活動(約3・6万人)
EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者・ワーキングホリデー、建設や造船の就労者、あるいは個々の許可の内容により就労する者。
⑤留学生のアルバイトなどの資格外活動(約34・4万人)
留学など本来の在留資格の活動を阻害しない範囲内(1週28時間以内)という建前で就労が許可されている。コンビニや居酒屋で働く外国人の若者はこれが多い。
これらに「特定技能1号、2号」が新設された。
技能実習・留学生
国籍別にみた外国人労働者の数は中国が最も多く約39万人で全体の26・6%を占める。ついでベトナムが約32万人、フィリピン16万人と続く。直近の推移ではベトナムやインドネシア、ネパールなどが急増している。
在留資格と国籍の関係をみると、ベトナムは技能実習が45%。留学生の資格外活動が39%。インドネシアは技能実習が60%を占める。他方でネパールは留学生が8割だ。
産業別の外国人労働者の数をみると、製造業が3割を占め1位、建設業は5%弱、小売りや飲食業が25%程度となっている。
新たな在留資格
安倍政権のもとで外国人労働者の受け入れの政策は加速している。
「建設・造船分野における外国人材の受け入れ」(15年4月)、「製造業における海外子会社等従業員の国内受け入れ」(16年3月)、「国家戦略特区における農業支援外国人の受け入れ」(17年9月)、「介護に従事する外国人の受け入れ」(17年9月)、「技能実習制度の見直し」(17年11月)。
こうして第2次安倍内閣が始まった12年に約68万人だった外国人労働者は18年現在で146万人。2倍以上に増えている。08年には48万人なので実に10年で約100万人が増えているのだ。
そして今年4月、改悪入管法により新たな在留資格として「特定技能」が新設された。
「特定技能1号」は、介護・ビルクリーニング・農漁業・飲食料品製造・外食・素形材産・産業機械製造・電気電子・建設・造船・自動車整備・航空・宿泊の14業種が対象。「特定技能2号」は14業種のうち建設・造船の2業種を対象としている。
特定技能1号は、通算で上限5年の在留資格で家族の帯同は原則として認めない。特定技能2号は、在留期間の制限はなく、要件を満たせば配偶者や子の帯同を認めるとなっている。
今後5年間の特定技能の受け入れ計画は最大34万人。これまでは技能実習制度と専門的・技術的な就労資格しかなかったが、そこに「相当程度の知識・経験を必要とする技能を有する業務(1号)」「熟練した技能を要する業務(2号)」に従事する外国人労働者の在留資格を新設したかたちになる。
もちろんこの〝相当程度〟〝熟練〟がクセモノである。
しかも、特定技能1号は家族の帯同が禁止という非人間的な制度だ。現代の奴隷制度とでもいうべき技能実習制度と地続きの仕組みで、最大10年間、単身の労働力として日本で搾取する仕組みなのだ。
組合加入の権利
労働基準法や健康保険法、労災保険法等、労働法や社会保険法は国籍を問わず外国人労働者にも適用される。国籍による労働条件の差別は許されない。もちろん労働組合に加入する権利もある。
労働条件の明示・均等待遇・・労働時間の適切な管理・パスポートや在留カードの保管・安全衛生教育・健康診断の実施・雇用保険・労災保険など、労働組合として課題はたくさんある。
ちば合同労組ニュース 第111号 2019年10月1日発行より