学校現場 多忙化と教員不足、残業代ゼロ
非正規問題が事態の核心の一つ
最近、学校現場の教員不足、残業代、非正規問題などが焦点化している。『先生が足りない』(4月14日/岩波書店)、『先生がいなくなる』(5月16日/PHP新書)、『先生を、死なせない』(昨年8月)など、物騒なタイトルの出版が続いている。「学級崩壊」「いじめ」など学校をめぐる問題はいろいろあったが、特に教員の働き方が問題になっている。
文部科学省の「教員勤務実態調査(4月28日公表)」によれば、公立学校の教員の残業の上限は45時間とされるが6~7割の教員がそれ以上の残業をしており、「過労死ライン」超の人が中学校で36・6%、小学校で14・2%。
残業代は1兆円超
公立学校の教員には「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」が適用され、残業代が支払われず、給料月額の4%が「教職調整額」として一律支給される。その額は1万円余で、時給換算で5時間程度。全国の公立学校の教員に残業代を全額支払うと1兆円規模になる。
表向き、学校では「残業はせず、早く帰れ」と言われる。残業が多いと校長面談となることを恐れてタイムカード打刻後に残業したり、持ち帰る若手も多い。上記のひどい実態調査も残業の実態をすべて反映しているわけではない。
多忙化と非正規
教員の労働実態は過酷だ。授業とその準備やテスト採点や成績処理、生徒指導や就職指導、事務処理や会議、研修、自治体からの調査への回答、保護者や地域への対応など昔より業務はずっと多い。
小学校では英語とプログラミングが必修となり、数年前には道徳も教科化された。金融教育も高校で義務化された。部活動で休日もない。
業務量が激増しているのに教員不足が常態化。文科省の調査では21年度4月の始業日に全国1897校で2558人が不足。教頭や専任の音楽教員が担任の掛け持ちや代理し、確保に奔走する。確保できないまま代理が入れ代わり立ち代わりのクラスもある。
さらに5~6人に1人が非正規教員。半数近くが非正規の学校もある。正規教員の産休・育休・病休の代替も増えているのだが、何より将来の子どもの数が減ることを見通して正規教員の採用を抑制していることが背景にある。
教員不足が焦点化し、採用の門戸が広がった面もある。しかし〝雇用の調整弁〟の位置づけや、ベテランの大量退職や合格者の辞退、特別支援学級の設置(直前に決まることが多い)などを非正規で埋める構図があり、特に40代前後世代に厳しい状況がある。
そもそも教員志望が減少している。多忙で残業代もなく、精神疾患の休職教員は毎年5000人に及ぶ。ブラック企業以上のブラックとの印象が強まっている。
教員不足と多忙化でベテランに若手を指導する余裕はない。休職した教員の授業を同僚が引き受け授業量が5割増し。育休明けの時短勤務で担任となり業務量は依然と同じ。国語の免許しかない非正規教員が校長に懇願されて社会の臨時免許で授業……さままざな矛盾に教員は直面している。労働組合として何を訴え、どう動くべきか?
ニュース 第155号 2023年06月1日発行より