市東さんの農地を奪うな!
土地明け渡しを命じる不当判決に怒り
3月24日、三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの南台農地をめぐる耕作権裁判で、千葉地裁は、成田空港会社(NAA)の主張どおり、市東さんに農地の明け渡しを命ずる不当判決を出しました。
千葉地裁民事第2部齋藤顕裁判長は、「判決を言い渡します。主文、被告は原告に対し、別紙記載の土地の部分を明け渡せ…。訴訟費用は被告の負担とする」と言い放ちました。そして、「なお被告らが長年にわたり南台の土地等において農業を営んできたことなどを考慮して、仮執行宣言は付さない」とし、判決の確定を待たずに強制執行を行える「仮執行宣言」を付けることはできませんでした。
市東さんと反対同盟顧問弁護団は直ちに、控訴しました。
●19年間の裁判じたいを全く無視!
NAAが明け渡しを求めている農地は、市東孝雄さんが祖父の代から100年耕し続けてきた農地です。市東さんは無農薬有機農業で安全・安心な野菜を栽培し、多くの消費者に産地直送で届けることを生きがいに日々額に汗して働いてきました。
約30年前の1994年、国・空港公団(NAAの前身)は、成田シンポジウムで「平行滑走路建設においていかなる意味でも強制的手段を用いず、話し合いにより空港問題を解決する」と約束した。
しかし、2006年に、NAAは土地を明け渡せと提訴。市東さんの耕す南台農地の一部(下図のA、C、D)を不法耕作と決めつけ、市東さんにその明け渡しを求めてきたのです。千葉地裁は、『土地収用法に基づく収用はしない』ことを約束しただけで、民事訴訟での土地取得は別だと言い放ち、NAAを手助けしました。
さらに、19年にわたる裁判のなかで、NAAが偽造文書をもとにして賃借地の位置特定する主張は、その立証の論理が破綻したことは明らかでした。しかし今回の判決では、「農地の賃貸借契約は、賃借地について面積を定めるのみで、場所・範囲を具体的に定めるものではない」、つまり位置なんかどうでもいいと切り捨てたのです。そもそも提訴が棄却されるような案件なのです。
●戦争のための空港
この不当判決の背景には、成田空港を巨大な空港建設、とりわけ重要拠点空港として急ピッチで進められていることがあります。滑走路を延長し、物流拠点にするという計画。そして、「特定利用空港・港湾」に指定し、中国侵略戦争―戦争のための軍事利用を狙っています。そもそも、巨大な空港建設事業などは世界的に見ればその成長神話は崩壊しています。むしろ、気候危機や環境破壊を作り出しています。空港周辺では住民たちが空港による騒音被害や廃村化にたいし、裁判を闘っています。
●市東さんの決意表明
3月30日に、成田市天神峰の南台の市東さんの畑で現地集会がおこなわれました。市東さんとともに空港に反対しよう! 三里塚現地へ、援農に駆けつけよう!
「裁判所は『事実を出せ』というので、こっちは弁護士さんはじめ支援の方々も、一生懸命調べて出した。しかし24日の判決は、結局裁判上で争点になっていたことはまるっきりない。」「私たちは農地は命だと訴え、自分なりに一生懸命やってきた。それをあのような形で否定され、A、B、C、Dという位置関係もどうでもいい、南台41―1はどこを耕しても権利がお前にはないんだと。絶対に許すわけにはいかない。皆さんとのきずなを大事にして、この畑で作ったおいしい安全な野菜をこれからも作り続けます」