映画紹介『みとりし』

労働映画
映画紹介『みとりし』
 日本看取り士会の会長・柴田久美子の著書『私は、看取り士。わがままな最期を支えます。』を原案とする2019年公開の映画。主演は榎木孝明。
 看取りは「亡くなるまでの間の介護を行い、最後を看取ること」。看取り士の役割として「患者にとって住み慣れた我が家、あるいは患者本人が希望する形に添って温かい死を迎えられるように、患者の親族をサポートしながら心に寄り添いつつ見届けること」とされている。著者の柴田がガン告知を受け、長年、柴田と親交のあった榎木が、彼女の27年間の看取り士としての経験をもとに映画制作を構想した。
 交通事故で娘を亡くした芝(榎木)は喪失感から自暴自棄となり自殺を図る。その瞬間、脳裏に「生きろ」という男性の声が響く。それが長年の友人である川島の最期の言葉であることを、川島を看取った看取り士から聞く。
 友人の声で生きることを決めた芝は会社を退職し、第二の人生として看取り士の仕事に就く。5年後、岡山県高梁市にある看取りステーションのベテラン看取り士として働く。そこに新人の看取り士として高村みのりが赴任。地元の診療所と連携しながら様々な死に向き合う。入退院を繰り返し「病院に戻りたくない」と言う高齢女性、孤独死した高齢男性、人工透析を止め自宅に戻る男性…。
 高村は、3人の子育て中に乳がんで余命宣告を受けた女性患者を受け持つ。高村自身も幼い頃に母親を亡くした経験があり、苦悩することに…。
 看取り士という仕事、はじめて対象化しました。榎木の抑制の効いた演技が映画全体の雰囲気を生み出している。
ちば合同労組ニュース 第174号 2025年1月1日発行より