映画紹介『サンドラの週末』
ソーラーパネル工場で働くサンドラ。体調を崩して休職していたが復帰のメドが立った矢先の金曜日、上司からの電話で解雇を告げられる。臨時ボーナスかサンドラの解雇かの職場投票で16人中14人が賛成したというのだ。同僚のとりなしで、週明けの月曜日に再投票を行い、過半数がボーナスの放棄に賛成すれば解雇を撤回することに。仲間を取るかボーナスを取るか――週末、サンドラは家族と仲間に支えられながら、同僚たちを説得するため奔走する……という話。
念のため、労働組合の実務においても法律においても絶対に認めることができない不当解雇であることは付記しておきますが、それでも興味深い設定の映画だった。
ある同僚は配偶者が失業し、ボーナスがなければ生活できないと訴える。ある者は生活費が足りず週末も別の仕事。移民の非正規労働者は今度は自分がクビになると苦悩。仲間を裏切ったことに罪悪感を持ち、サンドラの訪問に涙を流す者。ある女性労働者は夫とサンドラの間にはさまれ葛藤。この町では転職しようにも仕事はほとんどない。ようやくありついた仕事を簡単に手放すことはできない。ボーナスも切実だ。
サンドラは何度もあきらめ泣きわめく。「自分は必要ない人間なのか」「会社に残れたとして仕事を続けられるのか」。彼女が生きる自信を取り戻すため必死で支える夫や仲間。
解雇投票は極端でずいぶん後退したラインでの労働者の闘いという印象もある。でも外注化や非正規労働者の導入など同じ状況はどんな職場にもある。職場の労働者全員と向き合い、討論する――ここに普遍性と可能性を見た思いがする。
ちば合同労組ニュース 第84号 2017年7月1日発行より