わが谷は緑なりき

労働映画

映画紹介『わが谷は緑なりき』

 『駅馬車』『荒野の決闘』のジョン・フォード監督。舞台は1870年代の英国ウェールズの炭坑町。名作です。
 故郷の谷を去ることとなった主人公ヒューが少年時代を回想。モーガン家の男たちは末っ子ヒューを除きみな炭坑夫。父と5人の兄はその日の稼ぎを母に渡し、姉アンハードが用意したお湯で身体を洗い、食事につくのが日課だった。アンハードは長男の結婚式で、新たに赴任してきたグリュフィード牧師と出会う。
 数日後、会社の賃金カットに反対して息子たちは組合結成を決意する。だが父の反対にあい家を出る。やがてストライキとなり父は仲間から非難を浴びる。集会で反論した母は帰り道、真冬の川へ落ち、助けようとしたヒューが重度の凍傷に。絶望するヒューの力となったのが牧師だった。姉と牧師は互いに惹かれてゆく。だがアンハードに炭坑主の息子との縁談話が持ち上がりグリュフィードは身を引く。
 やがてヒューは隣町の学校に。貧しい炭坑夫の息子とからかわれケンカに。谷の人びとは憤慨しヒューにボクシングを教える。ガキ大将からも一目置かれ、首席で学校を卒業。
 ストライキは終わったが炭坑の仕事は激減。兄たちは新天地を求めて谷を去る。長男が事故死し、ヒューは進学をあきらめて炭坑で働き始める。姉は結婚生活が破綻し谷へ帰ってくるが牧師との心ない噂を立てられる。牧師は谷を去ることに。その時、炭坑から落盤事故を知らせる警笛が鳴り響く…
 そして冒頭シーン。「今はボタ山となったこの谷も、かつて人の心は清く美しい緑の谷だった」。『天空の城ラピュタ』のモチーフの一つとされる映画です。

ちば合同労組ニュース 第87号 2017年10月1日発行より