映画紹介『オッペンハイマー』

労働映画
映画紹介『オッペンハイマー』
 
 2023年に公開された米映画。世界初の原子爆弾を開発し、「原爆の父」と呼ばれたロバート・オッペンハイマーの生涯を描く。戦後の米社会で吹き荒れた赤狩りの中、ソ連のスパイ容疑でオッペンハイマーは秘密聴聞会で追及を受ける。映画は、彼がリーダーだった原爆開発計画「マンハッタン計画」とその後の苦悩が交錯する形で進む。
 ハーバード大学を主席で卒業した彼は英独に留学、後にナチス下で原爆開発チームに加わるハイゼンベルグの影響で理論物理学の道に。帰国しカリフォルニア大学バークレー校で教鞭をとるも第二次世界大戦の前哨戦とも呼ばれたスペイン大戦が勃発。共産党の党員だった弟の影響で集会参加や大学内の組合活動に加わる。
 38年、ドイツの核分裂実験成功を聞き、彼は原爆実現の可能性を認識。そしてドイツのポーランド侵攻で第二次大戦が始まる。米政府は原爆開発の極秘プロジェクトを立ち上げ、彼をリーダーに抜擢する。オッペンハイマーは理論だけでなく類まれなリーダーシップを発揮し精力的に開発を進めた。
 ドイツが降伏し原爆開発の継続を疑問視する声も出たが計画は進み、広島と長崎に原爆が投下され、日本の無条件降伏で第二次大戦は終結。彼は多数の米兵を救った英雄として賞賛された。しかし被爆の実相を知り苦悩する。戦後、ソ連が原爆開発に成功し、核軍拡競争が始まる。これを危惧した彼は水爆開発に反対する。
 水爆実験を巡る米政府との緊張、個人的な恨みや確執もあり、オッペンハイマーは追い詰められてく…。アインシュタインやファイマンやフェルミなど著名な科学者も多数登場する。
ちば合同労組ニュース 第175号 2025年2月1日発行より