映画紹介『オールド・オーク』

映画「オールド・オーク」

 英国の巨匠ケン・ローチがこれまで数々の労働映画を撮り続けてきた集大成として発表した最後の作品。日本でも4月に公開された。舞台は2016年のイングランド北東部で、かつて炭鉱で栄えながらも今は衰退し廃村の危機に直面する地域。古びたパブ「オールド・オーク」が物語の軸となる。

 炭鉱閉鎖によって誇りも仕事も奪われた元炭鉱労働者たちは、鬱屈した思いを抱えながら日々を過ごしている。そこへ、中東・シリアから逃れてきた難民家族が家賃の安い空き家に。しかし村の常連客たちは酒に酔うたびに難民へのヘイトを口にし「村が乗っ取られる」と声を荒げる。分断と不信が広がる中、パブの店主は難民たちを見守り支援に取り組む。

 境遇も文化も異なる人びとであっても対話のきっかけを得ることで徐々に心が通い合っていく。いくつかの小さな成功体験を通じて手応えをつかんだ店主の脳裏に浮かぶのは、サッチャー政権下での労組つぶしに抗して闘った炭鉱ストライキの記憶。その合言葉は「ともに食べて団結を」。家族・地域ぐるみで闘った歴史的経験が、新たな実践へと結びつく。

 店主はパブを改修し、子どもたちに無料で食事を提供する場をつくる。そこには再び人が集まり、かつての活気がよみがえっていく。「これは慈善ではなく連帯だ」という言葉が、その実践の核心を示している。

 しかし、現実は容易には変わらない。地域の衰退、生活の困難、人びとの心の荒廃は依然として重くのしかかる。だからこそ本作は問いかける。労働者はいかにして排外主義と分断を乗り越え、団結を回復できるのか――これはケン・ローチの最後のメッセージだ。

ちば合同労組ニュース 第193号 2026年8月1日発行より

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