映画紹介『彼女たちの革命前夜』
2019年の英国映画。半世紀前の1970年のミス・ワールド世界大会の会場で女性解放を訴えるために抗議行動を行った女性たちを描く。
離婚し、娘や母親と暮らすサリーは、再び学問の道を志しロンドン大学の入学試験の面接に。面接官は男性ばかりで権威主義。入学後、ゼミでは発言を遮られ、女性労働者の視点で論文を書きたいと言うと「普遍性が必要だ」と変更を求める教授。そんな中で女性解放運動の活動家ジョーと出会い、次第に活動に加わるように。サリーたちの行動と葛藤が物語の軸だが、同時にコンテスト参加者の女性たちや、主催者の男性と妻らの見え方も描いている。
参加者が白人ばかりとの批判をかわすため南アフリカ南部代表として黒人女性の参加が決まる。当時は、アパルトヘイト(人種隔離政策)が世界から非難された時代。出国の際に記者など外部と接触するなと念押しされ、怯えた様子の女性。
カリブ海の小国グレナダ出身のジェニファーは白人ばかりのコンテストに疑問を抱くが、同時に華やかなテレビの世界での成功を目指している。抗議行動で逮捕・連行されたサリーがトイレを要求し、偶然、優勝したジェニファーと会話を交わすことに。「(コンテストを)テレビで見た少女が私が優勝したことで白人じゃなくても世界で活躍できるって自信を持てるかも」「でも見た目で競い合ったら、結局、世界が狭くなると思わない?」「私もそう言える日が来ることを楽しみにしている」
エンドロールもちゃんと観て下さい。半世紀も前の実話を描いた映画だが、21世紀の現在もミスコンは続いている。
ちば合同労組ニュース 第157号 2023年08月1日発行より