映画紹介『鉄路の闘い』

労働映画

映画紹介『鉄路の闘い』

 1946年のフランス映画。監督は『禁じられた遊び』『太陽がいっぱい』など日本でも有名なルネ・クレマン。ナチス占領下のフランス国鉄の機関区が舞台。フランスの鉄道労働者たちが独軍の列車運行を阻む抵抗運動を描く。出演者の多くはプロの俳優ではなく実際にレジスタンス運動に加わった本物の鉄道労働者で、本物の列車や駅、機関区を使ってドキュメンタリー映画の手法で撮影されている。

 燃料を抜き、ブレーキ管を刃物で傷つける。線路のポイントに板を挟み、手作業で線路のレールを外す。これでもかと様々な妨害工作が行われる。鉄道労働者が本気で抵抗すると列車の運行はできない。やがてサボタージュがナチスに発覚、6人の労働者がみせしめに射殺される。順番が近づく若者の手を年長の労働者が握る。機関区で一斉に汽笛が鳴り響き仲間の死を弔う――。

 後半は、ノルマンディー上陸作戦に対処するため西部戦線に戦車を送りたい独軍とそれを妨害するレジスタンスとの鉄路をめぐる激しい攻防戦が描かれる。この作戦で約200万人の連合国軍がドーバー海峡を渡って仏側に上陸し、欧州戦線の転機となった。以後、独軍は敗勢に。

 戦車を運ぶ輸送列車を脱線させる計画が成功し、戦車を載せた列車が谷底へと転落していくシーンは圧巻だ。最後はフランス解放を知らせる列車の出発で終わる。
 先日、国交省の「今後の鉄道物流のあり方検討会」で防衛省が戦車輸送における鉄道貨物の重要性を猛烈にアピールしたことがニュースになり、この映画を思い出した。

 ちば合同労組ニュース 第145号 2022年8月1日発行より