書評『大人のいじめ』板倉昇平著(講談社新書)
急増するパワハラ・いじめ いかに立ち向かうべきか
労働相談の中でも1番多い部類に入るのが「パワハラ」です。本書は、現在起きるパワハラ事例を類型・ケースごとにまとめ、現状を分析しています。ちば合同労組の組合員も、パワハラに直面する当事者がおり、これとどう立ち向かうのか私たちとしても喫緊の課題です。
職場のいじめによって精神疾患を発症し労災認定された件数が、この11年で10倍と急増しています。その特徴は、①過酷な労働環境の職場が増えた、②上司だけではなく同僚のいじめが増えた、③いじめを見て見ぬふりする会社が増えたことが特徴。特に相談事例が多い職場が、保育・福祉分野なのだと著者は指摘します。
この四半世紀、日本の賃金はまったく上昇せず、年功序列賃金が崩壊し、人を育てない使い捨ての労働環境に変化しました。目先の利益優先の経営論理を象徴とする新自由主義が行き着いた一つの現象だと言えます
すぐに解決がつかないことが多いパワハラ・いじめ。大事なことは、当該とともに闘う仲間の存在です。
1月の職場交流会では、希望退職に抗して、遠距離通勤・仕事外し・隔離などフルコースのハラスメントと闘ってきた報告が行われました。百数十人の同期で残っているのは3~4人とのこと。「国鉄労働者が人活センターや清算事業団で炎天下の草むしりをしていたが、自分は冷房のある事務室でがんばっていると言い聞かせて闘ってきた」と語りました。
ハラスメントとの闘いは、労働基準法での対応も難しく、会社が否定・居直った場合の独特の困難もあります。上手い方法はありません。当該の思いを何より尊重し、仲間と共に闘う中で前に進んでいきたい。教訓などもシェアし、ぜひ仲間と共に解決に向かっていきたい。(組合員K)
ちば合同労組ニュース 第139号 2022年2月1日発行より