〝美しき連帯〟こそ希望(書評)

『25日 現代自動車非正規職蔚山工場占拠闘争の記録』

パク・チョムギュ 著(広沢こう志 訳)

135666◎息をのむ闘い

韓国全土が息をのみ注目し続きした、韓国における非正規職闘争の象徴とも言うべき闘いの一つ。2010年冬の現代自動車非正規職のろう城ストライキ闘争。ドラマを迫った記録、『25日』。
著者は、命がけで闘った非正規職と同じ気持ちで同じ物を食べ、同じ闘いとして記録にとどめた。この本の一つひとつの言葉から、249人の非正規職労働者の息づかいがリアルに伝わってくる。
249人が求めたこと。それは「非正規職」という四文字の言葉を変えたい。現代自動車の闘いが、総資本との壮絶な闘いとなったのは、ろう城という闘争の戦術の激しさではなく、すべての労働者の要求であり、すべての労働者の気持ちを揺り動かす普遍性を持つからだ。
この民主労総ソウル地域本部と動労千葉は深い連帯関係をつくっている。ぜひ、ちば合同労組の皆さんにも一読して欲しい。

◎総資本との戦場

8割の人たちが非正規職労祖のストを支持し、全土の注目の集まる中、突如戦争が始まった。延坪島(ヨンピョド)での韓国軍と北朝鮮軍の一触即発の戦闘。ろう城闘争を報じていた韓国マスコミは、一気に戦時報道一色になり、愛国主義一色になる。
「現代自動車蔚山工場――ここが戦場であり、ここが延坪島だということを示してやる以外ない」
この執念で25日間のろう城が闘われる。まさに現代自動車という大企業の製造工場の攻防戦こそ最前線の「戦場」です。マスコミが資本のものとなる中で、スマートフォンを駆使して、ろう城の「攻防戦」を伝えるため空腹を抱え極寒の工場の中で文字を打つ。この若い組合員の姿こそ、現代の労働運動に入る労働者たちの群像なのである。

◎「キリュン伝説」

ろう城現場で組合員を鼓舞したのがキリュン電子の労働者だった。6年間、1895日間の闘争の末、正規職化をかちとった。200人の組合をつくり占拠ストや94日間の断食ろう城ストなど、生死をかけた闘いは韓国労働運動の「生きた伝説」。
会社がつぶれる寸前まで闘いを貫き、原則を曲げずに闘う意志。かつ、笑いを忘れず、明るく闘おうと語るキム・ソヨン分会長の存在は、ろう城労働者から見れば「勝利の女神」のような存在だ。
日比谷野外音楽堂で毎年11月に開催される労働者集会に何度も来日したキリュン電子の労働者たちが、韓国で尊敬されている事実が、本書からも伝わってきます。

◎非正規職撤廃へ

『25日』の中で随所に出てくるコラム「美しき連帯」。大きな希望が労働者、家族、世論などの垣根を越えた具体的な連帯の闘いだった。これを韓国では「美しき連帯」と呼ぶ。社会に訴え、具体的支援・連帯をつくりだし、資本を追い詰めていく。
正規労働者との連帯がカギであることは言うまでもない。だがそれこそ最も資本が「外部勢力」と罵り、攻撃してくる点でもある。
美しき連帯が後に、韓進(ハンジン)重工業の闘いの渦中でつくり出された「希望バス」へとつながっていった。
「非正規職撤廃」。この闘いは、理念だけではなく、現代自動車のような闘いを一つの歴史の教訓とし、あらゆる労働者の連帯をつくり出す努力の連続、積み重ねて闘いとることにしか道はないと感じました。ぜひ一読を。(K)