10・7から1年 拡大する中東戦争
イスラエルに勝利はない パレスチナの不屈の抵抗
●終わらぬガザ虐殺
昨年10月7日のパレスチナ蜂起から1年。ガザ住民の死者は4万人を数え、飢餓や栄養失調の病死も含めれば33万人に達すると推定されています(エディンバラ大学調査)。
1年以上も殺戮が継続、21世紀の歴史に残るジェノサイドです。さらにイスラエルは中東全域(レバノン・イエメン・イランなど)に戦争を拡大させようとしています。
レバノンではガザ同様の光景が作り出されています。10月22日のBRICS会議にはパレスチナ自治政府も招待され、NATO(西洋諸国)とグローバルサウス諸国の対立も深まっています。欧州(ウクライナ)・中東が世界戦争の火種になろうとしています。
「暴走するイスラエルは誰も止められない」――マスコミは言います。しかし支えているのは米政府です。米国の援助なしにはイスラエルの戦争は一日も続かないのです。
イスラエルは人口900万人の「小国」です。連続する戦争の歴史ですが1年超の長期戦争は建国以来初めです。国内の疲弊は想像以上に激しい。科学者や大学教授、医師や技術者など知識人層が万単位で流出。徴兵で労働者が戦場に動員され、6万6千社が閉鎖に。グローバル企業も不買運動などで低迷。
長期化する戦争に「徴兵逃れ」「良心的懲役拒否」も出始めています。9月には反ネタニヤフ大統領の大規模なゼネストが直撃しました。
●中東全域に戦争拡大
危機に陥るネタニヤフ政権は賭けに出た。停戦の交渉役であるハマスやヒズボラの政治指導者を次々と暗殺し、これを戦果として支持率が急上昇させた。
さらなる戦争の論理を表したのが国連演説(9月27日)です。掲げられた2枚の地図。国連で定めた国境線をはるかに超えた領土拡張の野心を示したのです。「人質の解放」「ハマス壊滅」の当初の「自衛の論理」を大きく超えています。
これは1年前の事件から始まった問題ではなく、半世紀以上も継続されたきた入植地の拡大、占領と侵略の延長線上にあることを示しています。帝国主義の侵略と植民地支配がその根源にあると説明するほかありません。
●世界中で連帯行動
「もっとも悲劇的なのは悪人たちの辛辣な言葉や暴力ではなく、善人たちの恐ろしいまでの沈黙と無関心である」(キング牧師)
イスラエルのジェノサイドに沈黙してはいけない。パレスチナの人びとは希望を失ってはいない。今年の10月7日、世界中でパレスチナ連帯のデモやストライキが起こった。
これらの歴史的事態と労働問題を切り離してはダメだと思う。すべてはつながっている。被団協のノーベル平和賞受賞も、核戦争の危機を世界中の誰もが肌身に感じているからであろう。11・3労働者集会でもパレスチナ連帯、戦争反対の声をあげよう!