ごまかしが多い振替休日・代休 無給の休日労働で過労

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実践的に考える職場と労働法

ごまかしが多い振替休日・代休

代休が取れず無給の休日労働で過労のケースも

 労働基準法では原則として、使用者は、労働者に毎週少なくとも1回の休日(午前0時から24時間の労働義務からの解放)を与えなければなりません。
 例外的に、4週間を通じ4日以上の休日を与える場合には、週休1日原則は適用除外されます(変形休日制)。変形休日制を導入する場合は就業規則に4週の起算日を明示することが必要です。変形休日制はひどい制度で理論上は最初に4休日で残り24労働日も可能です。

代休と振替休日

 振替休日とは特定の労働日と特定の休日を振り替えることで、特定の労働日を休日に、特定の休日を労働日に変更する手続きです。
 これは①就業規則などに使用者が休日を振り替えることができる旨の規定を定め、なおかつ②休日を振り替えた後の状態が週休1日原則に反していないことが必要です。
 こうした所定の手続きにより振り替えられた場合に限り、休日に出勤しても、他の特定の日に休日が振り替えられていれば割増賃金が発生しないことになります。使用者は労働者の個別的同意を得ずに休日振替を命じることができるかについて裁判例では、就業規則等の規定があれば可能と解されています。
 これに対して代休は、休日の振り替えとは違って、あくまで会社が休日出勤の代償として、いわば代償的(恩恵的)に与える休日であり、休日出勤については割増賃金を支払わなければなりません。代休は、後日に休日を付与してなおかつ割増賃金を支払う制度です。
 したがって代休を付与した場合であっても1・35の割増率で賃金を支払う必要があります。実際の運用では代休を付与した日を「欠勤扱い」として1・00を差し引くことで実質的に0・35の割増部分のみが支払われるケースがあります。代休日を欠勤扱いとして控除した場合です。
 休日出勤と代休取得日が同一賃金計算期間内の場合には、欠勤扱いが目立たず0・35の上乗せ部分の割増賃金が支払われるように見えます。
しかし賃金締切日をまたぐ場合には、休日出勤分は1・35の割増賃金が支払われ、翌月以後に回った代休日の分は欠勤として賃金がカットされることになるので、注意が必要です。この場合は、かなり不愉快な気分になります。

「フゥーー」

40時間超は割増

 繰り返しますが、休日振替は、原則週1日の法定休日を満たせば、あらかじめ振替休日を特定して休日と労働日を振り替えることで休日が労働日となり、労働日が休日となるわけですから割増賃金を支払う必要はなくなります。
 ただし、この場合でも、休日振替により週40時間を超えてしまった場合にはその超過した労働時間については割増賃金の支払いが生じます。
 少し注意を要しますが、一般的な例では、週休2日で月~金の所定労働時間が8時間の場合、日曜が法定休日で土曜は所定休日となります。日曜出勤は休日割増の1・35、土曜出勤は40時間超の割増賃金で1・25になります。時間外労働と休日労働は割増率が違うだけでなく、それとしては別の制度なのでゴッチャにしないよう要注意です。
 所定が1日8時間の場合、同じ週内で平日と土日をあらかじめ入れ替えた場合は週40時間ですが、翌週以後と振り替えた場合には、その週は6日あるいは7日労働となり、48、56時間となります。
 したがって40時間を超えた時間に対して割増賃金が必要になります。翌週以後にまたぐ休日振替は、40時間を超えるケースが大半ですので注意が必要です。つまり休日振替を行っても25%の時間外手当は必要なのです。ごまかされているケースが多いのです。
 1週40時間を超える所定労働時間の設定が可能である変形労働時間制における休日の振替は少し複雑ですが、基本は同じです。
 まず変形労働時間制度に基づいて作成した勤務表を、変形期間が開始されてからの変更は原則としてできません。
 そして40時間に満たない設定の週の場合には、週40時間を超えた労働に割増が発生します。48時間の設定の週であれば、48時間を超過すれば時間外割増となります。

過労とタダ働き

 使用者は、割増賃金を支払いたくので振替休日を使うわけですが、実際には代休や振替休日はそもそも忙しい状況で生じるので、たいていは同一週内の振替は難しく、割増賃金が発生するケースが大半です。なので多くの場合で割増賃金が発生しているのに、休日と振替えたから割増は必要なしとされている可能性が高く、チェックが必要です。
 さらに、使用者の故意か過失かはともかく、消化できない振替休日(振替日が指定されない場合は厳密には振替休日とは言えないが)や代休が蓄積するケースもかなり見受けられます。
 買い取りがある場合はまだ良心的ですが、結局、休めないまま雲散霧消するケースも多く、いずれにせよ過労に直結し、実質的にただ働きの休日労働になり、非常に問題があります。

ちば合同労組ニュース 第99号 2018年10月1日発行より