ショックドクトリンに立ち向かおう

組合活動

ショックドクトリンに立ち向かおう

NHK「コロナ危機 未来の選択」

 コロナ第2波とも言える情勢の中、NHKで刺激的な番組が放送された。BLM(ブラック・ライブズ・マター)で高揚するアメリカ大陸のジャーナリスト・ナオミクライン(写真)をインタビューした一部を紹介したい。

 冒頭、クラインは労働の可視化をもたらした意義について強調。
「パンデミックは、私たちを支えてくれている労働が感謝されず過少評価されてきたことに気づかせてくれた。コロナ危機に対して、私たちは平等ではない。ウイルスは刑務所、老人ホーム、アマゾンの倉庫など、無視され、大切にされてこなかった部分に山火事のように広がった」
 そしてコロナ危機に乗じたグローバル資本の支配的衝動に警鐘を鳴らす。
「ニューヨーク州では、議会休会中にクオモ知事が、コロナ対策として遠隔授業・医療などをインターネットで効率的に行うプロジェクトの特別委員会を立ち上げようとした。委員長はエリック・シュミット元グーグルCEO。選挙で選ばれていない人々が決めようとしている。〝スクリーン・ニューディール〟だ」
「グーグルがリモート学習のシステムから個人情報を不正に収集しているとニューメキシコ州の司法当局から訴えられた。親権者の同意なしに13歳以下の子どもの様々な情報を取得していると。IT企業は公教育を市場と見なしているが、私たちは企業をコントロールできない」
「遠隔医療でも、緊急事態の雰囲気の中、急いで行われていることすべてに注意を払うべきだ。個人の健康データのやり取りなど。心配なのは、パンデミックが、個人情報を守りたいとの思いを一気に吹き飛ばすチャンスとして利用されること。公共のための医療に営利目的の医療が侵入すること」

 クラインは、2020年が重大な歴史の分岐点の渦中にあることを示唆する。
「今までと同じ道では、人々は孤立を深め、分断され、独裁的政治家の出現の恐れもある。別の道もある。ウイルスは互いのつながりを気づかせてくれた。すべてのエッセンシャルワーカーの待遇改善に投資すべきだ。人を隔離するテクノロジーへの投資か、一人ひとりの尊厳を大切にするかの分かれ目だ」

 最後にコロナ危機で絶望的に見える時だからこそ具体的なビジョンの必要性を説く。
「ショックや危機には未来へのビジョンが必要。アラブの春やウォール街占拠などの抗議は、異議申し立てだけで、どんな社会を目指すかのビジョンが欠けていた。そこを突かれ、主導権を奪われた。最も大切なのは、自分たちのプランを持つこと」
 新自由主義は社会を崩壊させた。コロナはBLMに象徴されるように資本主義400年の歴史が限界にあることを突きつけた。英国では、水道民営化(=私有化)に対して、民衆が「再公営化」を対置して闘い、実現をかちとった。
 労働者の立場から言えば、資本に対して抗い、闘う中でこそ展望が開ける。団結の拡大で人間らしく生きられる社会の実現の展望を切り開こう。(組合員K)

 ちば合同労組ニュース 第122号 2020年09月1日発行より