介護労働の現場から〈22〉変動シフトという支配

介護労働の現場から〈22〉
2014年03月01日

変動シフトという支配

介護職場は「変動シフト制」が圧倒的だ。
「シフト制」とは、あらかじめ労働者から希望の休みを聞いておき(月2日までが多い)、雇用者が労働日を指定する制度。
「変動」とは、毎日の労働時間が決まっていないで、1日10時間働く日もあれば、6時間しか働かない日もあり、とにかく1か月の中で週40時間を達成すればいいという制度。
「9時~5時、土日休み」という働き方が天国ならば、地獄の「変動シフト制」。毎月、決まった休日、決まった労働時間がない。二交代制でもシフトは早番・遅番・日勤・夜勤の4シフトが一般的。
例えばこんな具合。
今日は遅番で11時に出勤で夜8時まで勤務。その翌日は早番で朝7時から午後3時まで勤務。その次は夜勤で午後5時から翌朝9時までの16時間勤務、仮眠時間は一応あるが、夜勤一人勤務の場合、交代がいないので、取れない。
その不規則勤務の合間にプライベートな時間をやりくりする。睡眠や食事が不規則になり、オフの時間は昼間シフトの家族や世間に合わせるので、体内時計はすっかり乱れ、眠れず体調不良のまま、次の過重労働勤務につく。

毎月のシフトは管理者が前月末までぎりぎりまで調整してるので、提出した希望休の2日以外は翌月のシフトも休日も不明、予定がまったくたたず、予約も取れない。友人仲間からも見放され、休みになっても一人で過ごす。
介護職場の変動シフトは休みもなく、まさしく〈24時間働けますか?〉の世界。体調を崩して退職・欠勤・早退勤するスタッフも多く、シフトはそのたびに変更される。変更は月に5回はある。そのたびに「私も辞めたい。休みたい」とみんなは嘆くのだ。
なぜ、こんな徹底的に経営者に都合のいい働き方をさせられるのか? しかも、パートは調整弁で、毎月どれだけシフトを入れてくれるかわからないので収入未定の日雇い暮らし。さらに管理者は気に喰わないとシフトを減らして退職に追い込むという手段を取り、それを怖れてパートのサービス残業が常態化する。
介護報酬切り下げで、経営側は正社員を減らし、現場はどこもパートが支えている。でも、こんな状態では高い離職率どころか、倒産する施設も多い。
n0056_03_01a 私は、勤務時間は変動ではないが、フルタイムパートで入職半年、金属疲労状態。きつい仕事、腰痛、しかも、常に労働強化や労基法違反に対しての臨戦態勢。一方、家族や友人は呆れて仕事のグチをきいてくれなくなり、「介護のハナシは一切するな。辞めろと言ってるでしょ。フツーの仕事をしたら」で四面楚歌。誰も認めてくれない労働ほどつらいものはない。
その頃、またケガをすることになった。
(あらかん)
(ちば合同労組ニュース56号から)