報告・コロナ最前線の介護職場の実態

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報告・コロナ最前線の介護職場の実態

 

消毒液もマスクも足りずプレッシャーは大きい

 

 最近の介護職場の様子を報告したい。
 東京商工リサーチの統計によると介護事業者の倒産、休廃業・解散が過去最多ペースとなっている。他方、訪問介護事業では人手不足が深刻化し、厚生労働省によると9月の有効求人倍率は15倍だ。
 訪問ヘルパーは高齢者が多く、平均年齢が60歳を超える事業所も結構ある。自身の感染リスクに加え、利用者への感染の不安も大きい。
 訪問事業所では、人手不足の上に感染対策で消毒や検温、靴下の履き替えるなどが必要となり負担も大きい。デイサービスで受け入れを拒否されて介護サービスを受けられない高齢者も増えている。
 施設系でも感染対策は大変だ。特に感染者が発生した介護施設では、入院もできないまま死亡するケースもある。クラスターが発生の施設も増えている。海外では介護施設での死者が増え続けている。

 私が働く介護施設は、コロナ感染対策で家族との面会は禁止され、入口の自動ドアを閉めてガラス越しでのPHSを使った面会だ。
 感染対策の負担は大きい。昨年までも冬期は廊下の手すりなどを消毒をしていたのだが、最近は消毒液が足りず、あっても濃度が薄いものばかりだ。マスクも不足し、利用者は通院時など以外はマスクを使っていない。使い捨ての手袋も足りない。
 利用者が発熱し、入院先から戻ると2週間の隔離が必要となる。職員自身も自分が感染を持ち込むのではないかと常に不安だ。また家族がいる職員は制服などの洗濯物を家族と分けるなど家に帰ってからも大変だ。
 うちの施設でも利用者の発熱でPCR検査を受けたケースが何回かある。その都度、ヒヤヒヤとした思いだ。しかし対応策としは手洗いやうがいの励行、そして多人数で外食しないようなどの指示だけだ。職員が感染した場合、犯人扱いされそうな雰囲気もある。プレッシャーは大きい。
 近隣の施設でもクラスターが発生している。周辺の高校でも感染が生じた。どの施設で感染が出てもおかしくない。実際どうなるのかはいまいち見えてこない。看護師がシミュレーションしているが、実際に発生した場合に保険所の指導は来るのか? 必要な物品や人の動きはどうなるのか?
 そもそもコロナ以前から通常運営に汲々としている。ケガや病気などで同僚が1人欠けただけでも日程変更や休日出勤などがないと利用者の入浴体制を維持できない。
 コロナ以前から介護崩壊の危機は続いている。それは人手不足の問題として如実に現れている。職場は人手不足で新人を育てる余裕がなく、新人が来ても即戦力にならないと「使えない」みたいな空気になり新人は定着せず長続きしない。こういう状況を逆転させるような労働組合の存在感が必要だと思っている。
 県から出たコロナ慰労金は5万円。利用者と接する職員は正規・非正規の関係なく支給されたようだ。清掃やドライバー、厨房も出たと思うが、しっかり確認が必要だと思っている。(組合員M)
 ちば合同労組ニュース 第126号 2021年1月1日発行より