実践的に考える職場と労働法/育児・介護休業法

実践的に考える職場と労働法 連載・職場と労働法

実践的に考える職場と労働法

所定労働時間の短縮、残業・深夜業の制限も

育児・介護休業法

 育児・介護休業法は、1育児休業、介護休業の制度、2子の看護休暇、介護休暇の制度、3子の養育や家族の介護を容易にするための残業や深夜業の制限、所定労働時間の短縮などの措置――などを定めています。
 頻繁に制度が変わるので注意が必要です。制度・法律の基本的な知識を知り、有効に活用すれば闘いの大きな武器になると思います。

育児休業制度

 1歳に満たない子を養育する労働者は、開始予定日の前日までに事業主に申し出ることにより育児休業をすることができます。両親ともに育児休業をする場合は、最大で子が1歳2か月まで育休が取得できます。保育所に入れなかったなどの事情があれば1歳6か月まで可能です。
 育休中の賃金支払い義務は規程されていませんが、雇用保険から育児休業給付金が出ます。育休開始前の2年のうち1年以上、雇用保険に加入している労働者が対象です。
 給付額は、一時金などを除く賃金の約3分の2(67%)が支給されます(平均賃金日額×休業日数×67%)。育休開始から半年経過後は50%になります。休業制度と同様に給付金も最大で1歳6か月まで支給されます。
 育休中の健康保険や厚生年金の保険料は免除されます。

介護休業制度

 要介護の状態にある家族を介護する労働者も、2週間前までに事業主に申し出れば育休と同じように介護休業を取ることができます。
 介護休業は、同一家族について3回まで計93日間まで取得できます。介護休業給付金も育休給付金とほぼ同じで最大93日まで支給されます。
 育児・介護休業は、日々雇用労働者は適用除外となっていますが、それ以外はパートや契約社員、派遣社員も取得できます。
 要介護状態とは、病気やけが、高齢などで2週間以上の介護が必要な場合を指します。介護保険法の要介護認定ではありません。対象となる家族は、事実婚を含む配偶者・実父母・配偶者の父母・子、同居かつ扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫です。親以外でもOKです。

子の看護休暇

 小学校に入る前までの子を養育する労働者は、1年間に5労働日まで、けがや病気の子の世話や通院のための休暇を取得できます。半日単位で使うことも法律に規程されています。子が2人以上の場合は10日まで取得できます。
 病気は風邪などの短期で治る病気でも、小児ぜんそくなどの慢性疾患でも特に制限はありません。予防接種などもOKです。
 厚労省の通達では、書面の提出に限定されておらず当日、電話で口頭で申し出ることも可能としています。年次有給休暇と違い、使用者は時季変更もできません。有給・無給の賃金の扱いは法律で規定していません。

介護休暇

 要介護状態にある家族の介護を行う労働者は、1年に5日(2人以上の場合10日)まで介護休暇を取ることができます。こちらも半日単位の利用も可能です。対象家族は、介護休業と同じです。食事介助などの生活介護だけでなく、必要な買い物や書類の手続きでも利用が可能です。

残業の制限

 3歳までの子を養育する労働者、要介護状態の家族を介護する労働者が請求した場合、事業主は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはなりません(育児・介護休業法の規程)。
 また小学校に行く前までの子を養育する、あるいは家族を介護する労働者が請求した場合、事業主は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、残業は、1月に24時間まで、年に150時間までに制限されます。

深夜業の制限

 小学校前の子の養育、家族介護の労働者が請求したときは、上記と同様に、事業主は午後10時から午前5時までの深夜時間帯に労働させてはなりません。

所定労働時間の短縮

 育児休業をしないで3歳前の子を養育する労働者が申し出たら、所定労働時間を短縮し、労働者が働きながら育児を容易にする措置(育児のための所定労働時間の短縮措置)を講じなければなりません。

家族を介護する労働者に関する措置

 介護休業をしていない労働者からの申し出により、所定労働時間の短縮その他、労働者が就業しつつ家族を介護することを容易にするための措置を講じなければなりません。

 ※

 上記の規程は、それまでの雇用期間が1年未満や、週2日以下勤務の労働者は除外などの規程もありますので、注意して下さい。厚生労働省が出している「育児・介護休業法のあらまし」という分厚いパンレットはそれなりに参考になります。

ちば合同労組ニュース 第85号 2017年8月1日発行より