日本の子ども7人に1日が貧困状態

制度・政策

日本の子ども7人に1日が貧困状態

 日本の子どもの貧困は2015年で13・9%もあり、7人に1人の子どもが貧困状態にある。小学校の1学級に数人はいる計算だ。日本の相対的貧困率は1980年代以降だんだん増加し、06年にOECD諸国の中では米国に次ぐ2位であることが明らかになり大きな衝撃を与えた。
 特に母子世帯の貧困率が突出して高いのが日本の貧困の特徴だ。母子家庭の相対的貧困率は過半を超える。実は母親の就業率は国際的にみてかなり高いが、貧困率も高い。
 子どもの貧困は、教育の機会、親とのコミュニケーションなど人間関係の形成、自分の時間や空間を得る機会など、様々な機会からの排除が生じやすい。調査によれば、貧困家庭の子どもたちは自己肯定感が低くなる傾向がある。
 子どもの貧困問題は、親の貧困とは独自の問題でもあり、親の貧困問題でもある。さらには労働問題や社会保障の問題でもある。様々な角度からの議論や社会運動も必要だ。
 ところで最近、無料または低価格で子どもたちに食事を提供する「こども食堂」の存在をよく聞く。保育園の給食調理員だった知人が退職後に熱心に取り組んでいる。この数年で急激に増えて全国3700か所。手作りで温かい食事が食べられ、アットホームな雰囲気で誰かと話をしながら食事ができる。子どもたちに放課後の会話の機会をつくり、人間関係を形成し、自己肯定感を回復する試みとしては興味深い。
 子どもは数年経てば青年労働者にスライドする。人間関係の形成や労働者の自己肯定感などは労働組合としても大切なテーマではないのかと思う。(T)

ちば合同労組ニュース 第112号 2019年11月1日発行より