波止場

労働映画

映画紹介「波止場」

マーロン・ブランド主演、エリア・カザン監督の映画。

 監督のエリア・カザンは、『欲望という名の電車』『エデンの東』『波止場』などの名作を排出した巨匠だが、1950年代初頭に米国で吹き荒れた「赤狩り」時代に、自らの嫌疑を否定するために、友人の映画監督や劇作家、俳優ら11人を売り渡した人物。仲間を売った裏切り者の自己弁護で制作されたのが『波止場』だとも言われる。
ニューヨークの波止場が舞台。港湾当局と港湾労働組合の協約により組合の斡旋で1千人以上の沖仲仕(港湾労働者)は仕事を得る。毎朝、波止場に集まった労働者を、その日の荷役に応じて日雇いで仕事を斡旋していく。港湾労働者たちは毎日、異なる船会社の異なる荷物を積み降ろすのだ。
この港湾労組をマフィアが牛耳り、仕事の斡旋を仕切っているので、誰も逆らえないのだ。
マフィア支配を告発しようとした労働者ジョーイは前日に謎の死を遂げる。マーロン・ブランド演じるテリーは元ボクサーのチンピラなのだが、兄貴がボスの側近で待遇は良い。幹部になる道もありそうな感じ。しかし、殺されたジョーイの妹や神父との交流、兄の死などを経て、悪い仲間とつきあっていてもホントは純真な若者であるテリーは、不正を許せずボスに反旗をひるがえす……というストーリー。
エリア・カザンの作品なので取り上げるのはちょっと抵抗ありますが、こういう映画もあります。ちなみに動労千葉と10年以上の交流関係がある全米港湾倉庫労働組合(ILWU)は、この映画の下敷きとなったILA(国際港湾労働者組合)から袂を分かって生まれた労働組合。

ちば合同労組ニュース 第68号(2016年3月1日発行)より