ドレイ工場

労働映画

映画紹介『ドレイ工場』

 1968年公開、半世紀前の映画です。前田吟や宇野重吉が出演。全国金属労働組合(全金)の、東京・江戸川区葛西に本社がある日本ロール闘争を描いた実話を映画化。
 同族経営会社で低賃金と劣悪な労働条件の工場で密かに進む組合結成の準備。生産量4割アップをめざす〝新体制運動〟で慣れない天井クレーンの操作に回された青年労働者が転落死。遊び人だった前田吟が演じる谷山も組合に加入して会社と闘う決意を固める。

 ついに支部結成を会社に通告、公然と組合加入の呼びかけが始まる。しかし急先鋒だったはずの副委員長が会社側に寝返り第2組合を結成。中心メンバーの解雇、守衛として雇われた暴力団のテロ、警官隊の弾圧。第2組合に走る者、中立を守る者、独自に会社と交渉する者…労働者も様々な動きを示す。闘争が長期化する中で脱落する組合員も。だが第2組合でも会社の合理化案に不満が高まる。最後のシーンは、日比谷野外音楽堂での支援集会。全国の仲間の激励、だが組合員を最も感激させたのは第2組合からの電報だった…

 実際の闘争でも第2組合の話は劇的だったようだ。全金日本ロール支部は「第2組合一般組合員を絶対に敵視しない。あいさつしよう。話しかけよう」を貫く。全金支部の共闘の呼びかけに対し、第2組合員は署名を執行部に叩きつけ、ついに302対43でスト権を確立。以後、第2組合は事実上の消滅に向かう。そして争議は全員の解雇撤回で勝利。
 けっこう生々しい。多少とも争議や組織化を経験したことのある者には観ていてしんどいシーンも多いのでは。初めて見ましたが非常に勉強になりました。

ちば合同労組ニュース 第80号 2017年3月1日発行より