カンパニー・メン

労働映画

映画紹介『カンパニー・メン』

 2008年のリーマンショック後に制作された映画。

 ボストンに本社を構える総合企業GTX社は、株価を維持するため赤字の造船部門と鉄道部門を統合する大リストラ計画を断行する。解雇リストには販売部長の30代後半のエリート社員ボビー(ベン・アフレック)の名前も。突然の解雇で段ボールを抱えて途方に暮れるボビー。すぐ再就職できると意気込むが現実は厳しく自分を必要とする会社は現れない。やがて解雇手当も底を尽き、車も家も手放すことに。
 義兄は自分の工務店で働くことを提案するが、ブルーカラーへの転職は自尊心が邪魔して素直に受け入れることができない。仕事もせず家で不用品整理をはじめ、家族の期待を裏切ったと挫折感に苛まされ妻につらく当たる。妻の理解と励ましもあり義兄のもとで働くことに。最初は気づかなかったが義兄役はケビン・コスナーが演じている。ボビーは大工仕事で手に豆をつくり筋肉痛になって働く中で貸借対照表の数字におびえて働いてきた自分の生き方を見直していく。

 他方、溶接工から幹部に上り詰めたフィル(クリス・クーパー)も解雇される。解雇がばれるから夕方まで帰宅できないと昼間から酒を飲み、やがて自殺する。社長の非情なリストラ策に抵抗する古参の副社長ジーンは缶コーヒーCMでお馴染みのトミー・リー・ジョーンズ。
 米国のエリートのリストラの悲哀を描く映画だが、会社を失うことにおびえ続けリストラに踏み切る経営者たち、アッという前に転落するエリート社員、自尊心を奪われ強烈な椅子取り競争が迫られる再就職事情…アメリカ資本主義の強烈さを垣間見た気持ちになった。

 ちば合同労組ニュース 第125号 2020年12月1日発行より