ハリエット

労働映画

映画紹介『ハリエット』

 南北戦争の時代、800人を超える黒人奴隷解放を成し遂げたハリエット・タブマンの半生を描いた映画。当時、米国社会には「奴隷黒人」と「自由黒人」が存在し、自由黒人は身分証明書を持ち歩き、奴隷黒人は1人の人間として扱われない時代でした。

 メリーランド州で黒人奴隷である両親から生まれたミンティは6歳から働き始め心身を虐げられて生きてきました。奴隷主が死に、奴隷はバラバラに売り払われると聞いたことをきっかけに、ミンティは夫や家族を残して北部のフィラデルフィアに逃亡。逃亡奴隷を自由州や隣国カナダへ逃すための秘密結社「地下鉄道」に助けられる。
 奴隷逃亡を援助することが非合法化(逃亡奴隷法)されるが、「地下鉄道」は、食料や衣料品の提供、隠れ家を結ぶネットワークを築き、「車掌」と呼ばれた引率者が逃亡奴隷を連れ、真夜中に「駅」から次の「駅」へと旅をした。会話から秘密が漏れるのを防ぐため鉄道用語を使ったのだ。
 ミンティは「ハリエット・タブマン」と名乗り、命を賭して地下鉄道の車掌として活動を始める。自伝によれば、約10年で自分の両親を含む約300人を誰も捕まることなく自由に導く。ハリエットに掛けられた賞金額は合計4万㌦超。南北戦争が勃発すると、北軍のスパイや斥候として活躍、初の女性指揮官として兵士を動かした。南北戦争後も黒人と女性の権利のために終身活動した。

 日本公開は20年で、ちょうどBLM運動が世界の注目を集めた時期。20㌦紙幣の肖像に採用される予定だったがトランプ前大統領が中断したこともニュースになった。

ちば合同労組ニュース 第138号 2022年1月1日発行より