パラサイト 半地下の家族

労働映画

映画紹介『パラサイト 半地下の家族』

 半地下に暮らす全員が失業中の貧しいキム一家。大学受験に落ち続け浪人中の息子ギウはエリート大学生の友人から「僕の代わりに家庭教師をしないか?」と持ち掛けられる。ギウの向かった先はIT企業社長パク一家の高台の大豪邸。
 ギウは言葉巧みにパク家の信頼を得て、同じく美大浪人中の妹ギジョンを家庭教師として紹介。やがて兄妹は同家の運転手や家政婦を追い出し、父ギテクを運転手として、母チュンスクを家政婦としてパク家に迎え入れる。

 

 こうして、半地下住宅で暮らすキム一家と高台の豪邸に暮らすパク一家、対極にある2つの家族が交差する。最高の就職先を得たキム一家だが、やがてパラサイト計画は綻びていく。映画後半、2つの家族を隔てる「におい」、さらにもう一つの家族をめぐる「地下室」が壮絶なラストに向かって物語をサスペンス仕立てで進行させます。
 ソウルは不動産バブルの真只中で東京よりも家賃が高いとも言われ、貧しい人びとは半地下(パンジハ)と呼ばれる格安物件に住む。ソウルの建物には防空壕代わりに半地下が設置されているのだ。もちろん日当たりは悪く、多くは天井が低くてまっすぐ立つこともできない。トイレは逆流しないように一番高い場所に設置されている。

 

 韓国は、日本以上に過酷な「格差社会」「競争社会」とも指摘され、受験の大変さは日本でもニュースになる。若者の4人に1人は失業者。
 そんな韓国社会の現実が、2つ(3つ)の家族の描き方や様々な伏線、会話やアイテムとして巧みに練りこまれている。

 ちば合同労組ニュース 第127号 2021年2月1日発行より