映画紹介『モリーマグワイア(邦題・男の闘い)』

労働映画

映画紹介『モリーマグワイア(邦題・男の闘い)』

 1969年制作の米映画。1870年代の米ペンシルバニアの炭坑が舞台。アイルランド移民の抗夫は労働組合に結集したが、さらに秘密結社「モリーマグワイア(モリーズ)」が組織され、過酷な労働と生活のために闘った。
 そんな中、ジェームスという労働者が仕事を求めて鉱山にやってきた。新顔に対し、モリーズの指導者キーオたちは警戒し喧嘩になるが次第に彼を信用するように。しかし彼は警察から送り込まれたスパイであった…

 ジェームスは、老父と暮らすメリーの家に下宿。仲間の信頼を得るためにジェームスは警官を殴る。ある時、モリーズは隣の鉱山管理者の殺害を依頼される。ジェームスも賛成し、計画実行。現場には警官隊が。ジェームスは決死の活躍で仲間を救う。もはや彼をスパイと疑う者はいなかった。
 だが警察は一網打尽の時を待っていたのだ。後日、仲間の1人が警察官に殺され、復讐しようとした1人が逮捕された。モリーズは鉱山管理人の家を破壊し火を放つ。さらにダイナマイトを手に鉱山に向かい、警察隊に逮捕される。

 モリーズたちは、ジェームスの証言で死刑を宣告される。警察署長の地位を得たジェームスはメリーに結婚を申し込む。ジェームスを慕い炭坑を出ることを夢見ていたメリーだったが、仲間を裏切った彼と結婚することは自分の心が許さなかった。
 スパイが主人公で感情移入できないがモリーズの存在を初めて知った。実在の組織だが、鉱山側や警察は、労働組合を抑制するため犯罪者集団として過酷な弾圧を集中した。その実像は必ずしも明らかではない。

 ちば合同労組ニュース 第144号 2022年7月1日発行より