リフ・ラフ

労働映画

映画紹介『リフ・ラフ』

 労働者階級を描くイギリス映画は何本も観たが、労働者の連帯感や暖かみを感じる、そんな思いを強くさせる映画だ。ケン・ローチ監督で1990年制作の映画。サッチャー政権時代の最後あたりのロンドンが舞台。
 主人公スティーヴは刑務所を出た後、建設現場の仕事に就く。そこでは雇用保険も払わない雇用主がムショ帰りや偽名などワケありの労働者を日雇いしている。現場責任者の口癖が「毎週木曜日は給料日。しょーもない奴はクビになる日だ」。
 映画は主人公が路上で寝袋で寝ているシーンから始まるのだが、新入りに住む所がないことを知ると、みんなで「空きビル」へ引っ越し作業。スクワットと言い、空きビルや空き家を占拠して住むことは欧州ではよくあるらしい。
 建設現場では、互いにからかったり、助け合ったり。かと思えば、賭博や、偽名のため賃金の小切手を換金できない労働者から手数料をぼったくろうとしてケンカになったり…
 ある日、スティーヴは現場で忘れ物のバッグを見つけ、歌手志望のスーザンと知り合う。彼女が歌う酒場のステージに仲間と出かけるが、ちょっとした「騒動」が起き、スーザンが『With A Little Help From My Friends』を歌う。「自分は歌うのが下手だけど、君のような友達がいればなんとかやっていける」という歌詞。かつてなくビートルズの曲がイカした感じに聞こえた。
 映画は、スーザンともハッピーエンドにならず、組合活動家ラリーの解雇や仲間の転落死と続く。主演は『トレインスポッティング』に出演したロバート・カーライル。彼の軽快な感じが映画を成り立たせる。最終シーンはトレスポのノリだ。

ちば合同労組ニュース 第85号 2017年8月1日発行より